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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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113/114

113 ピクニック

『メグちゃん、アメリカ政府が、ブラジルのMMJの合弁会社にスマホと空間通信カードの技術を教えろって言ってきたんだって』

「みぃー」『お断りしておくの』

『岩本社長に伝えておくね』


『メグちゃん、ベトナムのMMJの合弁会社に、アメリカ政府がベトナム政府をとおして、スマホと空間通信カードの技術を教えろって言ってきたんだって』

「みぃー」『またにゃの。お断りしておくの』

『立て続けだよね。岩本社長に伝えておくね』


『メグちゃん、アメリカのアッボル社が、MMJに技術提携を申し込んできたんだって』

「みぃー」『アッボル社がにゃの……。ひさしぶりに社名を聞いたの』

『メグちゃんがポップル社を作る前に株を集めていた会社だったね』

「みぃー」『そうにゃの。そのアッボル社が、にゃんの技術提携にゃの?』

『アッボル社側のパソコンとインターネット技術と、MMJ側のスマホと空間ネットワーク技術を技術交換したいんだって』

「みぃー」『パソコンは、ウチのパソコンがあるからいらにゃいの』

『だよねー。あと2ヶ月もすれば宇和島工場で、新パソコンと演算コアの生産を始めるからね』

「みぃー」『インターネットも空間ネットワークがあるからいらにゃいの。それにアメリカのインターネットは止まったままににゃってるの』

『イーちゃんがそんなことを言ってたね。空間ネットワークに送ってきたコンピューターウィルスを送り返したら、アメリカのインターネットが止まったって』

「みぃー」『パソコンもインターネット技術も間に合ってるの。お断りしておくの』

『岩本社長に伝えておくね』


『メグちゃん、岩本社長から連絡があったよ。パソコンで仮想空間に入る技術の特許が、日本の審査をとおったんだって』

「みぃー」『本当にゃの?』

『本当だよ。今までの変な特許審査官の人たちが、みんないなくなって、スピード審査で対応してもらえたんだって』

「みぃー」『良かったの。とおったの初めてにゃの』

『良かったねー。おめでとうー。前の空間ネットワークやスマホの特許はムチャクチャなこと言われて、全部ダメにされたもんね』

「みぃー」『だからにゃの。審査をとおったのがうれしいの』

『お祝いパーティーをしないとね』

「みぃー」『みんなでバーンとお祝いパーティーにゃの』

『盛大にやっちゃうよー』


『メグちゃん、岩本社長から連絡があったよ。日本の魔力通信事業の認可とスマホ販売の許可がおりたんだって』

「みぃー」『すごいの。これで日本で空間ネットワークが自由に使えるの。スマホも売り出せるの』

『ずっと保留にされてたもんね』

「みぃー」『ガンガン売っちゃうの』

『工場も増設しちゃう?』

「みぃー」『宇和島工場を昼夜操業に変えれば生産数は足りるの。でもパソコン生産も始まるから人がいにゃいの』

『人かー。東京なんかだと人が多いから、工場にも人が集まりそうだよね』

「みぃー」『決めたの。パソコン工場が動いたら新しい工場をバーンと建てちゃうの』

『岩本社長に伝えておくね』


 ◇


 今日は撫子ちゃんとメグちゃんとジョーちゃんといっしょに、ドラゴンネストダンジョンにエンシェントドラゴンを見にきたよ。

 エンシェントドラゴンの生息地は、2000mクラスの山脈に囲まれた広い広い盆地で、深い森におおわれたところだよ。木の緑が目に優しいね。森の木は全部エンシェントトレントだけど。

 盆地の中心には大きな湖があってそれを囲むように12個の小さな湖が均等に並んでいる。そのうちの7個の小さな湖には、イビルユグドラシルが1本ずつ生えているよ。

 イビルユグドラシルは、幹の直径150m、高さは5Kmくらいの黒い巨大な針葉樹なんだ。大きいよね。

 最近、わたしは伸びない身長にあきらめがついてきて、大きいものを素直に大きいと言うことができるようになってきたよ。これがサトリの境地というやつだね。


「今日はメグちゃんやジョーちゃんの本体といっしょにピクニックご飯を食べられると聞いて、楽しみにしていたのですわ」

『メグちゃんもジョーちゃんも撫子ちゃんといっしょにご飯を食べるのを楽しみにしていたよ。ジョーちゃんに不思議花飾りをつけてもらうね』

「お願いするのですわ」

「ここにしておくの」


 撫子ちゃんの左肩の上で待ち構えていたジョーちゃんが、幼ドラシル花飾りを撫子ちゃんの髪にポンとつけたよ。あれでくっつくのも不思議だよね。


「メグちゃんですわー。ジョーちゃんですわー」

「みぃー」『撫子ちゃん、こんにちはにゃの』

「撫子ちゃん、ひさしぶりなの」

「メグちゃんもジョーちゃんもひさしぶりですわー。メグちゃん、ジョーちゃんの本体ですわー。小さくてかわいいですわー。いいニオイもしますわー。癒されますわー」


 撫子ちゃんが暴走して、メグちゃんとジョーちゃんにほっぺたスリスリしてるよ。いや、あれは暴走じゃないね。今日の撫子ちゃんはファンデーションをつけてなかった。最初からこれをねらっていたんだ。策士撫子ちゃん、おそるべし。


「メグちゃんとジョーちゃんは最近なにをしていたのですわ?」

「みぃー」『みんなでリオのカーニバルを見に行ってきたの』

「サンバカーニバルなの。遊ぼう将軍なの。人がいっぱいですごかったの」

「ブラジルのカーニバルですわ。わたくしもいっしょに行きたかったですわ」

「今度は京都に行くの。映画村も行くの」

『ジョーちゃんがまた映画村に行きたいって言ったんだよねー。メグちゃんもまた京都に行きたいって』

「みぃー」『平安神宮や祇園を見るの。お昼ご飯はお寿司食べ放題にゃの』

「京都もいいですわー。行きたいですわー」


 わたしはピクニックシートを敷いて、ピクニック弁当を出したよ。今回のメインは天むすだよ。天ぷらを全部ご飯でつつんでいるから、普通のおにぎりに見えるけどね。きなこおにぎりも作ってみたよ。


『みんなー、お弁当の準備ができたよー』

「みんなでピクニックなのー」

「美紀ちゃん、ありがとうですわ。わたくしもお弁当を作ってきたのですわ」

『撫子ちゃん、ありがとね。座って食べようよ』


『いただきます』

「みぃー」『いただきますにゃの』

「いただきますなのー」

「いただきますですわ」

『わたしは撫子ちゃんの玉子サンドからいくよ』

「わたしは美紀ちゃんのおにぎりからいただきますわ」

「わたしはタコさんウインナーからいくの。肉食なの。もぐもぐなのー」

「みぃー」『きゅうりマヨサンド、おいしいの。きゅうりの塩もみが……いや違うのこれは昆布出汁の浅漬けの素にきゅうりをくぐらせているの。昆布のうまみを感じるの。昆布のうまみとマヨネーズのハーモニーがすばらしいの……』

「メグちゃん、サンドイッチをほめてくれてありがとうですわ。……メグちゃん、独り言モードになっているのですわ。ご飯を食べる時にもなるのですわ」

『おいしいものを食べた時にも、たまになるんだよねー』


「山の頂上だから見晴らしがいいですわ」

『イビルユグドラシルがちょっと邪魔だけどね』

「イビルユグドラシル、魔物に見えないのですわ」

『近くに行ったら、太い枝や幹のところに大きな眼がたくさんビッシリと開くんだよ。しかも木の癖に白眼部分が血ばしっていてね。わたしたちが動くと全部の眼がギョロっと動いて、ずっと見つめ続けてくるんだ。ちょっとこわかったよ』

「それは夢に出てきそうですわ」

「攻撃もすごいの。防ぐのが大変なの」

『眼から直径3mくらいあるダークボールを飛ばしてくるんだよね。根っこもグニグニ動かしてきて、潰そうとしてきてねー』

「サイレンも鳴らしてくるの。ずっと鳴っててうるさいの」

『サイレンが鳴ったらエンシェントドラゴンが、すっ飛んでくるんだよ。あのフヨフヨ飛びまわっている灰色の細長い龍が、撫子ちゃんが見たがったエンシェントドラゴンだよ』

「大きいのですわ。たくさんいるのですわ」

「3000体もいるのー」

「3000体ですわ! 集まってきたら大変ですわ」

「集まってくるのー。ずっと追いかけてくるのー」

『エンシェントドラゴンたち、イビルユグドラシルの指令で動いているのか、操られているのかわからないけど、わたしたちがこの盆地から出るまで、ブレスをはきながらずっと追いかけてくるんだよねー』

「サイレンが止まると追いかけるのを止めるの。そのあとはイビルユグドラシルの周りをグルグルまわっているの」

『ジョーちゃんは最初グルグルまわっているのを見た時に「あんなにグルグルまわっていたらコンクリートになるの」って言っててねー』

「コンクリートですわ?」

「あの頃は絵本を信じてしまう子供だったの。今はもうだまされないの」

『絵本で黄色い虎がグルグル回っていたら、溶けてバターになる話があってね。ジョーちゃんがそれを読んで灰色のエンシェントドラゴンが溶けてコンクリートになるって思いこんでいたんだよ。他にもあってねー』

「美紀ちゃん、それ以上言ったらダメなのー。むーなのー」

『ジョーちゃん、もう言わないよ。ごめんねー』

「聞きたいですわー」

「ダメなのー。禁止なのー」

「あきらめるのですわ」

『あきらめると言えば、わたしたちもイビルユグドラシルを倒すのをあきらめたんだよね』

「美紀ちゃんたちがですわ!」

『エンシェントドラゴンを全部片づけて、イビルユグドラシルを攻撃したんだけど、攻撃が効かなくてねー』

「魔導砲を撃っても、すぐに治っちゃうのー。穴をあけても、すぐに塞がるのー」

「みぃー」『半日、攻撃し続けてもダメだったの』

「メグちゃん、今日は独り言が長かったのですわ」

「みぃー」『サンドイッチの種類がたくさんあったの』

「ネットのレシピを見ながら、毎日一種類ずつ作って、アイテムボックスに入れていたのですわ」

「みぃー」『撫子ちゃんには、三つ星シェフの称号をしんていするの』

「ありがたく頂戴するのですわ」


 わたしと撫子ちゃんは食べすぎて、お腹がポンポコだよ。大食いチャンピオン、メグちゃんとジョーちゃんはいつも通りだけどね。

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