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ちび白猫と小さな赤ちゃんと現代ダンジョンへ  作者: 南瓜と北狐


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11 スキンヘッドおじさんの忠告

「こんにちはー。買い取りお願いしまーす」


 レイスの魔石やミスリルブレスレットの売却と、院長先生のポーションやシェードの魔核の購入を依頼するために、探索者協会の島屋出張所に来たよ。

 わたしを見たスキンヘッドおじさんが、目をむいて立ち上がったけど。


「何かあったのか! レジ袋をかぶって服も穴だらけじゃないか」

「レイスのダークアローで服に穴があいちゃったんです。服だけでケガひとつしてないですよ」

「そうか……ちょっと待ってろ」


 奥から何かを持ってきたよ。なんだろうね。


「ワイシャツだ。良かったら使え。捨てる予定の物だ。一度も使ってないが、5年ほどロッカーに置いたままで少し変色している」

「ありがとうございます。レジ袋をかぶったまま帰ろうと思っていたから助かりました」


 わたしはそのまま流れるように、ミスリルブレスレット売却と病気治癒ポーション購入の話を、スキンヘッドおじさんにしてみたよ。スキンヘッドおじさんは「そうか、それなら」と呟いて目をつぶってシンキングタイムに入ったよ。ジョーちゃんは出張所の机の上で超合金ヴァルキュリアの手や足を動かしたり、変形させたりしている。球体関節すげー。メグちゃんはわたしの横でフワフワ浮かんでいるよ。

 スキンヘッドおじさんは目を開けると真剣な表情で話し始めた。


「病気用の魔法や魔法陣での病気治癒魔法は未だに見つかっていない。病気治癒のポーションは大まかに分けて2種類あってな、製薬会社が作る治癒ポーションとダンジョンの宝箱からしか出ない万能薬がある。治癒ポーションは1本10万円で買えるが、何本飲んでも軽症の病気にしか効かない。重症の病気は万能薬でしか治せない。現状は万能薬が足りず1本1億を超える値段だ。それでも取り合いになっている。お前みたいな子供に言うことでは無いが、探索者協会には軍閥貴族の天下りが多い。協会で上の地位について好き放題やっていて万能薬もそいつらに賄賂を渡さないと手に入らん。だからまず病気治癒ポーションと体力回復ポーションを院長先生に飲ませてみろ。それで治らない場合、万能薬の調達を考える」


「みぃー」『アドバイスさん情報にゃの。スキンヘッドおじさんは嘘を言ってにゃいの』

『そっかー。まず病気治癒ポーションと体力回復ポーションだね』


「探索者協会には軍閥貴族の天下りだけじゃなく、軍閥貴族のコネで入った職員が多くいる。そいつらが上の者と組んで、探索者が持ち込んだ物を価値が低い、無いと言って安く買い叩くことがある。お前みたいな騙しやすそうな探索者からな」


『わたし、騙しやすいんだ……そんなことないと思うけど』

「みぃー」『美紀ちゃんは、たまにへっぽこにゃの』

『へっぽこ……』


「大きな支部では組織ぐるみでやっているし、小さなところでは個人でやっている。魔石や魔核くらいなら、そうそう変な値段はつけられない。だが、こういうミスリルブレスレットはまずい。何も考えずに渡すとネコババされることもあると考えろ。物を預ける時は必ず預り書をもらえ。映像で残しておけ。物を売る時や買ったりする時は、必ず自分で物の価値や値段を先に調べろ。それにお前みたいな新人探索者がこういう物を売れば目立ってしまう。探索者協会の中で情報がまわる。悪いやつらが寄ってきて喰い物されるぞ。ここまでの話は理解できたか?」

「はい、理解できました」


『喰い物にされる……院長先生も言ってたね』

「みぃー」『アドバイスさんが、これも本当のことだって言ってるの』

『そんなことまでわかるんだ。すごいねー』


「探索者が探索者協会以外にもダンジョン品を売ることができる。ダンジョン品取扱事業免許を持っている企業団体のことだが、大抵は手数料を10%にしているな。探索者税と手数料で3割だ。こういうところも玉石混交だ。ビッグアイテム社は客をごまかして利益を上げようとすることが多い。うちと似たりよたりだ。おまけに情報管理がずさんで探索者と守秘義務契約を結んでいても情報の漏洩がひどい」


『CMをよくやってるあそこかー。アイテム売るなら♪ビッグアイテム♪の』


「公益財団法人のダンジョンアイテム協会もダメだ。あそこも軍閥貴族の天下りが多いうえに補助金目当てで情報たれ流しだ。使わない方がいい。適正な価格で買い取りをしていて、顧客情報厳守の企業も数社ある。そこは裁判所の開示請求以外では顧客情報がオモテに流れたことはない。お前でも大丈夫だろう」

「どこなんですか?」


「みぃー」『飽きてきたの。ずっと難ちい話にゃの』

『ここからが重要だよ。メモをしておかないと』


「クリスティール社、フィリップル社、サザビール社だな。この3社は自前でオークションもやっている。ゼネラルダンジョン社やシェルダンジョン社も評判がいい」

「メモしておきますね」


『メモメモ』


「それと裏技に近いが、探索者同士の物品の交換には探索者税がかからない。例えばミスリルブレスレットと万能薬やシェードの魔核を交換すれば、税金がかからなくなる。いわゆる節税対策だ。交換する物の価値が大きく違う場合や商業規模で交換を繰り返すような場合は税務調査が入ったり、追徴課税になることがあるから、書類は全て残しておけ……」


 他にもいろいろなことを教えてもらったよ。こういうことを話してくれるのは院長先生くらいだから、スキンヘッドおじさんの話はありがたいね。

 ミスリルブレスレット7個は、スキンヘッドおじさんに預けて帰ったよ。もちろん預り書をもらったけどね。その時に判明したのが、スキンヘッドおじさんの名前が伊集院さんだということだ。名前がカッコ良すぎてびっくりしたよ。わたしの田中と交換してくれないかな。


 10階層 レイス

      レベル19魔石 10個 収入1万4250円



 薬局で病気治癒ポーションと体力回復ポーションを買って、養護院に帰ったら、院長先生にワイシャツ姿とボロボロの服を見られて怒られたよ。哲雄にいと佳代ねえはどうしたんだって。

 ステータスを確認したら、レベル14になっていたから、もう探索者高校に入学できるねということで、中学校卒業まではダンジョンに入らないという約束を院長先生としてしまった。お金を稼ぐことにかまけてレベルのことを忘れていたよ。お金の魔力にやられていたようだ。「明日も島屋ダンジョンに行きます」って、スキンヘッドおじさんに言ってあるから、伝話してダンジョン禁止の件を伝えておかないと。

 ポーションのことは、今日は言い出せなかったよ。怒られているからなかなかね。駄菓子を配る許可をもらうのも明日に延期だ。ちびっこたちよ。明日に乞うご期待だ。


 ◇


 今日は3時のおやつの時間を作ってもらって駄菓子のばら撒きだ。


『ふっふっふー、みんな駄菓子を食べて、わたしの軍門にくだるがいい』

「あーうー、だーうー」


 養護院でお菓子を食べる姿がめずらしいからか、ジョーちゃんもクルクル飛びまわって、みんなが駄菓子を食べる姿を見ているよ。ジョーちゃんが駄菓子を食べられたら一番いいんだけどね。


「お菓子〜」

「ひとり10個だよー」

「ぼく、これ〜」

「わたし、これ〜」

「ケンカしたらダメだよー」

「わかった〜」

「みきねえちゃ、ありがとう」

「これ、すっぱい」

「酢イカはねーこっちはヨーグルト味だよーおいしいよー」

「ガムが当たりだ〜」

「ハズレ〜」

「飴、当たった」


 3時のおやつ作戦成功。また計画するよ。

 院長先生に病気治癒ポーションと体力回復ポーションを飲んでもらったよ。院長先生の目に涙がにじんでいたのには困ったよ。これで体調が良くなってくれたらいいけど。


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