表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/44

第43話【氷の鏡】

第43話【氷の鏡】


豪邸の一室。

大嫌いな父親は海外にいるので悠々自適のはずだった。


「はぁ。 つまらないわね」


私は毎日、退屈していた。

傍には、執事のじいと、侍女の2人が控えていた。


黒髪ロングの切れ長の目。ハスキーボイス。

人を見下したような極寒の冷たい威圧感を放つ。


父親を嫌うようになったのは理由があった。


海外で屋敷にいない父親。母親は私に興味がなかった。

だけど傍にいる肉親が母親しかいないので、いつも近くにいた。

近くにいることは許されていた。


一度、目の前で泣きそうになったことがある。

母親が嫌そうな顔をしていた。

私は泣いてはいけない、甘えてはいけない、と思った。


弱いと、傍にいることも拒絶される気がした。

―—強くあらねばならない。


幼少期、私は目を覚ますと屋敷中で母親を探す。

あちらから私に会いに来ることは無かった。


「お母さま」

「・・・」


いつも、ぼんやりして目の生気がなかった。

居心地はあまり良くない。


それでも近くに居続けたら愛される気がした


定期的に父親から贈り物が届いていた。

私は「要らない」と言った。物なんて欲しくなかった。


私が6歳の頃。

ある日を境目に、母親の姿が見えなくなった。


「じい、お母さまは?」

「・・・遠くに行かれました」


私はこの言葉の重みを知っていた。

大人が子供に言うものだ。


(死んだときの比喩表現だわ)

(子供の私を甘く見ているわね)


執事の言い辛そうな様子を見て、それ以上は聞かなかった。


「ふぅん」


私は数か月前から母親の様子がおかしかったこと。

頭の中で思い出していた。

母親がいなくなったのは、私の責任ではないはずだ。


執事のじいや侍女は優しかった。

だが肉親にさえ甘えられないのに、他人に頼れるわけがなかった。


―—強くあらねばならない。


「なるほど、ね」


元々好きではなかった父親が、その一件以来、大嫌いになった。

だから、父に勧められた私立を蹴り、公立高校に入学するのは

私にとって当然の選択だった。


しかし。

中学校の時と同様に、周りの同級生は私に全く近寄らなかった。


「学校でも、私に釣り合うような人間はいないのよ」


強がる私に、誰も突っ込めない。


友達など今までまともにいないのに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ