第41話【幻想的な光景】
第41話【幻想的な光景】
朝の出席確認が始まる。
雑談も増えて、教室に体温が戻る。
隣の席で。
シャボン玉を作るおもちゃや水鉄砲など。
机の上に無造作に置きだした。
「・・・噓でしょ」
僕は頭を抱えた。
鼓動が速くなる。
ゴソゴソとリュックを探りだす。
「・・・コケッ」
――え?
視線を落とす。
白いニワトリがいた。
2羽。
心拍数が上がる。
「連れて来たんだ?」
「当然だろ」
「・・・え」
「私の子分どもだからな」
ぶっきらぼうに言う。
その言い方。
その間。
その、どうでもよさそうな感じ。
「・・・炭酸いる?」
思わず、口から出た。
瞬間。
晴夏がピタリと止まる。
数秒、沈黙。
「遅ぇんだよ」
「いつも」
僕の瞳が潤む。
次第に、視界がぼやける。
「おい、子分1号」
「何だよ、その顔」
「・・・飯、ちゃんと食ってるか?」
涙が、溢れた。
晴夏は、ギョッとした表情をして目を見開く。
あぁ、僕が泣いている時
君は、そんな顔をしていたんだ。
やっぱり、ペンギンだと。
どんな表情をしているのか。
理解するのは。
「難しいよね・・・」
ボロボロ泣いた。
「何が!?」
「おい、どうした!?」
晴夏の顔に、理解不能と心配の色が追加で混ざっていく。
ただ、理解できない表情を読み解こうとする不器用さが残っていた。
涙を止められなかった。
「おい! ホラッ! 見ろコレ!!」
晴夏はお嬢様モードが完全に抜けていた。
ゆっくりと顔を上げる。
晴夏が、りんご大のシャボン玉を何十個も作り、
教室が一瞬で幻想的な光景に変わっていた。
ぷかぷか浮かぶシャボン玉に囲まれながら。
無邪気で眩しい素敵な笑顔だった。
「噓でしょう!!」
僕は思わず笑ってしまう。
教室中が困惑した。先生が優しく注意。
晴夏は渋々シャボン玉遊びをやめた。
それでも、なぜかドヤ顔で満面の笑みだった。




