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第40話【冷たい声】

第40話【冷たい声】


10月1日。


土の匂いが残る、雨上がりの教室。


教室はいつも通りのざわめきに包まれていた。

一番後ろの窓側の席。

「手配済み」と書かれた紙。


僕は横目で見ながら、ぼんやりと外を見ていた。

何も変わらない景色。

自分の中だけが取り残されているような感覚。


――ガラッ。

教室の扉が開く。

担任の先生と知らない女子生徒。


担任が軽く紹介する。


「長らく体調不良でお休みされていた小湊晴夏(こみなと はるか)さんです」


黒髪ショートボブの女子生徒。

なぜか、目が離せなかった。


「よろしくお願いしますね」


冷たい声。ハスキーボイス。

視線を一点に集中させる。

教室の空気が凍った。


「席はあちらですね」


視線が合った。

――ニッコリ

背中が、ゾクリとした。


晴夏は、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

コツ、コツ、コツ。

ほんの少しだけ、歩き方がぎこちない。


違和感。

分からない。


威圧感は殺人的だ。

伏し目がちにする。


すぐ目の前に晴夏が立った。

影ができる。

じっと見られている。


「・・・何?」

「よろしくね、神奈月冬太」

「・・・よろしく」


妙に距離が近い。

心臓の音が耳元で鳴っている。


「お前、どうして私の顔を見ないようにしているの?」


晴夏は怒っていた。

顔を上げる。


大きなリュックサックには可愛いペンギンのキーホルダーが付いている。

そのショルダーを、両手でぎゅっと握っている。

学校に来るのを楽しみにしていたのだ、と思った。

小さな可愛いさが頭の片隅に残る。


「・・・」

「いつも、こんな感じで・・・」

「フンッ! 知っているわ」


「だからお前のために髪を切ってきたのよ」


次第に、首を傾げていく晴夏。


「お前、早く私に慣れなさいよ」



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