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第35話【残り0日:衝突】

第35話【残り0日:衝突】


5月5日


春だというのに、冷たい雨が降り始めた。

だからなのか、マサオが泣いているように見えた。


マサオは胸をヒレで覆う。息が荒い。

限界なんだと、分かってしまう。


「・・・僕の体を、あげるよ」


言葉にする。


「お前が人間になりたいなら」

「僕の—―」


――ペチンッ

軽い音。


「ふざけんなよ!!」


低い声。


「俺はな」


「お前のいない世界なんて、嫌なんだよ!!」


時間が止まる。


「それ優しさじゃねぇ」


一歩、近づく。


「逃げだ」


胸が詰まる。


「俺を理由にすんな」


視界が滲む。

崩れ落ちる。


「じゃあ・・・どうすればいいんだよ」


絞り出す。

マサオは息を荒くながら、笑った。


「決まってんだろ」


「生きろ」

「一緒にだ」


顔を上げる。

まっすぐ見ていた。


「当然だろ!」


荒い呼吸。

一緒に生きる。


「もしかしたら」

「うん」


涙を拭う。


「万が一にも」

「うん」


立ち上がろうとした。


「ミリ単位の奇跡が、あるかもだろ!!」


膝からガクッとした。


「あはは」


笑ってしまう。


「・・・分かった」


覚悟を決めた。しっかりと立ち上がる。


「おい、子分1号」

「せいぜい祈っておけよ!」


「うん」

「最後まで、隣にいるよ」


そうだ。何があっても。

どんな未来でも、受け止める。

強くありたい。


——―残り0日


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