第33話【残り8日:カウントダウンの正体】
第33話【残り8日:カウントダウンの正体】
4月12日
あれから校内で偶然、岬さんと顔を合わすと、マサオの話を少しして終わる。
火車くんの視線が痛かった。
でも、恋愛とか、そんな雰囲気は微塵もなかった。
秘密基地。
長谷川さんが温かい野菜スープを用意していた。
炭酸もむせる。
暖かい日なのに、ペンギン特製ドテラを着ていた。
マサオはフラフラしていた。
「マサオ、病気なの? 病院行く?」
「うるせぇ」
――残り24日
「・・・ねぇ、マサオ。あの数字、何の締め切り?」
「あれは南の島へのバカンスに行く日だ・・・俺だけ特別なんだよ」
「じゃあ何で“乗っ取り”とか“慈愛特訓”とか、あんなに真剣にやってたんだよ」
「バカンスに行くのに“人間”のほうが楽しそうだろ」
「・・・でも日に日に元気ないよね」
「ちょっと風邪ひいたんだよ」
「・・・」
――
4月27日
マサオは毛布に包まれて、クッションの上で横になっていることが多くなった
ヒヨコたちに囲まれている。
呼吸の音が、浅い――聞き覚えがある音だ。
弱っていく。
ユキマルと重なる。
傍でヒレを握っていた。
「・・・なっ!?」
マサオがヒレを握られていることに気づいて驚く。
僕にアッパーを繰り出そうとした。
ヒレは驚くほど遅く空を切り、足がふらついて、自分の勢いに負けて、床に転がった。
「マサオ!」
「勝手に触んじゃねぇ」
無視して駆け寄って抱き上げる。
冷たい。怖いほど、軽い。
「離せぇ・・・子分のくせにぃ・・・力入れすぎだろ」
言葉も小さく掠れた声だった。
僕は抱きしめたまま。
カウントダウンの日にち『残り8日』を指差した。
「・・・これが、バカンスの予定?・・・マサオ、本当のこと言ってよ!」
「・・・」
「・・・」
「風邪だって言ってるだろ」
「何日風邪なんだよ・・・じゃあ病院行こうよ」
風邪じゃないのは分かりきっていた。
マサオの瞳に苦悩が揺れる。
長い沈黙があった。
「・・・あと8日間で『慈愛』が分からないと、俺はいなくなる」
「いなくなるって」
「天国っていうバカンスだろ」
「・・・やっぱり。なんで・・・早く、教えてくれても良かったのに」
「お前泣くだろ」
「泣いてないし」
涙がこぼれていた。
――残り8日




