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第32話【残り26日:夢 消えゆく光】
第32話【残り26日:夢 消えゆく光】
4月10日
僕は夢を見た。
前にも見たことがある。
薄暗い寂しい世界。
手を広げる。子どもの手みたいに小さい。
少し遠くに。
雪のように白く淡い光。
前と、違うところ。
その光は、弱々しくなっていた。
今にも消えてしまいそうな揺らぎ。
震えているように。
ふわふわとしたその光は、何も言わない。
でも、確かに伝わる。
深い孤独。
壊れてしまいそうな、静けさ。
僕は、その隣に座る。
何も言わない。
何も聞かない。
見えない手で大きく包み込むように温める。
――それを望んでいる気がした。
しばらくして。
声が、聞こえた。
「離れて」
一瞬、息が止まる。
「もうすぐ消える」
「だから、早く離れて」
矛盾していた。
離れて、と言いながら。
離れてほしくない、声だった。
僕は、迷う。
離れるか。
ここにいるか。
答えは、決まっていたのに。
「隣にいるよ」
「逃げない」
光が揺れ、わずかに色づく。
それ以上、言葉はなかった。
目が覚めるまで、ずっと。
僕は、隣に座っていた。
じんわりとした温度だけが、残っていた。
――残り26日




