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行列のできるスキル鑑定士  作者: ポムの狼
雪残る

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第5話 再会

 ブルームトの直近の目標は、ただ一つ。服を手に入れて、自分が生きている事をサラに伝えることだった。


 ブルームトが考えた作戦は、皆が寝静まってから夜な夜な服を探すというものだった。


 サラと一緒に過ごしながら、夜になるのを待った。




 やっと夜になり、サラはベットに入ると「アルジャン、おいで」と呼んできた。


 くるくる回って困っていることを表現したが、サラにはまた伝わらなかった。

 ブルームトはサラの足元で丸くなった。

 サラは不満げだったが、静かな寝息をたてて寝始めた。

 サラが寝始めてしばらくたったので、部屋を出て服を探しに行こうとベットから降りたブルームトだったが、ふとサラの顔を見ると、サラは寝ながら苦悶の表情を浮かべていることに気が付いた。瞼には涙が光っていた。

 何か寝言も言っているようだったので、ブルームトは近づいて聞き耳をたてた。


「……行かないで………店長……ブルームト……」


 昼間のサラは気丈に振る舞っていたが、サラはブルームトが想像していた以上に傷ついていたらしい。

 ブルームトは自分のせいでサラが泣いていることに、胸が締め付けられるような思いだった。


 ブルームトはサラの瞼の涙を鼻でつついた。


 サラはまだ辛そうだったが、こうしてずっと見ている訳にもいかない。


 待っててくれ…… 必ず、服を見つけて戻ってくる


 固い決意のもと、ブルームトは狼の足で器用に扉を開けて出ていった。




* * *




 使用人の制服なら、簡単に拝借できないだろうか……


 ブルームトはそう予想して、城の中を彷徨った。


 偶々運よく執事らしき人が前を歩いているのを見つけた。ブルームトは【気配遮断】を使って、執事の後を尾行した。


 執事は仕事終わりなのか、ロッカールームのような部屋に入っていく。


 ここだ!


 ブルームトはさっきの執事が制服から私服に着替えて出ていくのを見送ってから、ロッカールームに侵入した。


 辺りをきょろきょろ探していると、未使用と思われる、制服が何着か整理してしまってある棚を発見した。ありがたいことに下着から靴下。革靴に至るまで常備してあった。


 いい職場だな。


 ブルームトは城主のリオネルに感謝してから、一式を拝借した。

 久しぶりに人型に戻ると肩のこりを感じた。狼の姿も嫌いではないが、人型の方がしっくりくる感じがした。


 ブルームトはまた【気配遮断】を使いながら、サラの部屋まで戻った。





* * *




「サラ」


 ブルームトは寝ているサラにそっと声かけた。


「なぁに……まだ夜だよ……」


 サラは寝ぼけているようだ。


「サラ、起きて。会いに来るのが遅くなってごめん」


 サラは今度はぱっと目が覚めて起き上がった。


「ブルームト! なんで! 夢?」


 サラは目の前のブルームトを信じられないらしい。ブルームトは笑ってサラの頬を両手で包んだ。


「夢じゃないよ」


「……ほんとに………」


 サラは大粒の涙をこぼしてブルームトに抱きついた。


「今まで何処にいたの? 死んだって聞いたから、私すごく辛かったんだよ……」


 ブルームトはパウラを助けるために魔国へ転移していたことを説明した。


「サラ、一緒に逃げよう。俺はサラのことが諦められないんだ」


 ブルームトの言葉にサラの表情が曇った。


「……できないよ。私の実家がリオネル様から結婚の支度金をもらってたの。勝手にいなくなるなんてことできない。せめて、もらった金額分はしっかり働いて、リオネル様にも説明してからじゃないと。

 リオネル様との結婚は陛下が反対しているから、恐らく許可されることはないの。

 ベランジェ領を立派な避暑地にしたら、ここを出る。それまで応援してくれるかな?」


 サラらしい判断だとブルームトは思った。


「分かったよ。サラが納得できるまで、待ってる」


 ブルームトは再び、狼の姿に変身した。

 サラはその姿を見て、目を丸くした。


「アルジャン!? え、ブルームトがアルジャンだったの…… 私……」


 サラは両手で顔を隠して真っ赤になった。


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