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170 出発前夜(後編)

「アイリス達は、明日からのガルタイトへの出発に不安とかあるのか?」


「あー、その話かぁ……」


 俺はアイリス達にも明日からのガルタイトへの出発についての不安はないか聞いてみた。

 アイリス達の反応からも、どこかで不安を抱えているように見受けられるが?


「不安は……、無いわけではないね。 私は一応、第二王女としてガルタイトのやり方には許せないとは思ってたし。 でも、そのガルタイトも今は厄介な異世界人のヤスカワって人にいいようにされているって聞いて、私達がそのヤスカワに勝てるのかっていう不安があるんだよね」


「ボクもだね」


「私も……」


「胡桃ちゃんは……、言うまでもないよね」


「ん……」


 アイリスは、確かにガルタイトのやり方には第二王女として許せないというのはあったが、安川に掌握されている現状では、その安川に勝てるのかという不安を抱えていた。

 まぁ、ここまで暗殺だったりスタンピードだったり、ダンジョンだったりと色んな手を使ってきやがったしな。

 エミリーやクレアも同じ不安を抱えているようだし、ひなたが胡桃に確認を取った所、やはり一番不安を抱えているのは胡桃だったようだ。

 やはり、胡桃の両親が安川と繋がっているというのが要因なのだろうか?


「クリスタさんは?」


「私は……、アキト様とは別でいい思い出のない場所なので……」


「ああ、元々向こうの第三王女だったせいで……」


「はい」


 クリスタは元々はホムンクルスで、ガルタイトの第三王女だった子だ。

 ただ、今は亡きザナ王女やアン王女とは意見が合わなかったため、俺達が召喚された際の生贄にされたのだ。

 幸い、ホムンクルスの中で複数の命を抱えた為に、時間経過で復活できたのだが、生贄にされたという事が嫌な思い出として刻まれているようだ。


「それでも、私達はみんなと力を合わせてヤスカワと今のガルタイトに立ち向かわないといけないからね。 割り切るしかないんだよ」


「そうだね。 後ろ向きになったら、勝てる戦いも勝てなくなるしね」


「うん。 ある意味……、出たとこ勝負」


「ん……!」


 だが、アイリスはそれでも力を合わせて立ち向かう必要性を訴える。

 エミリーもクレアも胡桃も同様だ。


 後ろ向きになったら勝てる戦いも勝てない……か。

 確かにそうだな。


「こちら側にはイリアゲート様やクロウ様もいますからね。 七絵様達の様子も見ましたが、結構やる気でしたよ」


「そうか」


「七絵ちゃん達も相当溜まってたしね。 安川へのフラストレーションが」


「あの件でそれが伝わったしね。 憎しみで向かうあの子たちを私が止めた件で」


「湊の暗殺の後でだな」


 クリスタも割り切った後で、そう言った。

 確かにこっちにはイリアさん達魔族とクロウ中佐率いるゼイドラムの軍もいる。

 七絵達もやる気だったみたいだし、最早ウジウジとしていられないな。


「とにかくありがとう。 これで俺も割り切れるよ」


「ううん、お兄ちゃんが不安を吐いてくれてよかったよ。 一番抱え込みやすいから」


「うぐっ!?」


「あはは、確かにねー」


 アイリスに痛い所を突かれたな。

 確かに抱え込みやすいのは自覚してるはずなんだが……。

 後ろでひなたが笑ってるし……。


「とにかく、これで明日に備えて眠れるな。 みんなも悪いな」


「気にしたらダメ。 じゃあ、そろそろ寝ようか」


「そうだね。 折角だし、大部屋でみんなで寝ようか」


「賛成ー!」


「やれやれ……。 胡桃もいいか?」


「ん。 アルトちゃんたちも一緒に」


「ああ、そうだな」


「アルト達とおチビーズの子とモチちゃんも巻き込もうか」


「うん、それいいね……」


 そろそろ眠くなってきたが、ひなたが大部屋で一緒に寝ようと提案し、エミリーが率先して賛成したようだ。

 そこにメイジフォックスウルフ一家と、フェアリーキャットのモチを巻き込んでみんなで一緒に寝る事になった。


 みんなに不安を打ち明けたおかげでよく眠れそうだ。


 そして、翌日。

 ついに出発の時を迎えるのだった。



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