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169 出発前夜(前編)

 エリス王女経由でアイリスから受け入れ反対派のアジトを壊滅させた事など、色んな情報を聞いた。

 懸念の一つが解消された事で、残りの日にちを改めて訓練や冒険者活動で強化していった。


 そして、出発の日が近づいた。

 時間的な余裕をもって、安川のユニークスキルが発動するまで残り三週間という所で、ガルタイトに攻め込もうと決定した。

 まずは、一部のゼイドラムの軍とイリアさん達魔族が構えている中間基地まで魔導馬車で向かう事なった。

 その際に、俺がかつて受け取った試作型の魔導馬車の改造が終わり、その後もリックさん用に3号車、後輩達の為に4号車と5号車が用意された。

 エリス王女に渡された2号車は、一旦クロとミナトに貸し出すらしい。


 いずれも改造が終わっており、ガルタイトまでノンストップで走れば1日で到着できる事となった。

 ゼイドラムの技術者、ヤバすぎる……!


 なお、ガイアブルク領内の一部の冒険者は先に中間基地に向かっている。

 当然ながら一部の騎士団も同行しているようだ。

 その際の先導は、ルーク王子が行っていると聞いた。


 そこで、俺達や後輩達などは明日の昼に出発する事が決まったので、俺達は明日に備えて眠ろうとしたのだが……。


「眠れないな……」


 俺は緊張の為か、眠れなかったのでベランダに出て夜風に当たっていた。

 明日から決戦の為に、俺やひなた、由奈が召喚された地であるガルタイトに向かう。

 戻ると言うべきかはわからないが、俺やひなたや由奈、そして後輩達や鴫野達にとっては因縁の地であることは間違いないだろう。


「あれ、暁斗くん?」


「ん?」


 ベランダで夜風に当たってた所に誰かが声を掛けて来た。


「ひなた。 それに由奈も?」


 ひなたと由奈だった。

 寝間着姿の二人が、なんでここに?


「トイレを済ませたし、部屋に戻ろうと思ったら、ベランダに明るいから気になったんだよ」


「もしかして、眠れないの?」


「ああ……」


 どうやら、トイレを済ませて部屋に戻る所でベランダが明るかったのが気になったようだ。

 しくったな……。

 まぁ、二人は俺を心配してるみたいだし、正直に話した方がいいかな。

 特に由奈は、眠れないのかと聞いて来てるほどだし。


「明日、ガルタイト方面へ向かうからな。 決戦が迫るわけだし」


「そっか。 暁斗くんにとってはあの場所はトラウマものだからね」


「トラウマって程じゃないが……」


 正直に打ち明けるとひなたも由奈も俺の心情を理解してくれた。

 ただ、トラウマって程じゃないが、ガルタイトにはあまり思い出したくはない感じだな。


「私も当時は助けてあげれなかったから、すごく後悔した。 でも、暁斗くんとひなたちゃんに許してもらえたから、私はここにいるんだよ。 私自身もガルタイトにはいい思い出がないし」


「それはどっちかって言うと、私が由奈ちゃんを引っ張りつつ暁斗くんを助けるべきだったんだよね」


「まぁ、それは過ぎた事だしな……。 それより、二人は明日から決戦の地へ向かう事に不安はないのか?」


 ひなたも由奈も当時のガルタイトに思う所はやはりあるようだが、俺はそこで二人に不安はないのか聞いてみた。


「不安がないわけじゃないよ。 でも、ここまで来たんだから思い切ってやるしかないってね」


「私も。 暁斗くん以上の不安はあるよ。 でも、みんなで頑張れはきっと何とかなると思う」


 二人とも不安が無いわけではなかった。

 しかし、それ以上に割り切っている……、そんな感じだった。


「今は暁斗くんには味方も多いんだから、その人達に頼るのも重要だよ」


「そうだな……」


 当初と違い、今の俺にはひなたや由奈以外にも味方がたくさんいる。

 彼らとも力を合わせて、安川やヘイト国王を組み込む可能性がある合成魔獣(キメラ)にも対処できるかもしれない。

 だから、もっと彼らを信じてやる事も必要なんだろうな……。


「あれ、お兄ちゃんとお姉ちゃん達」


「三人とも眠れないのかな?」


「それは私達にも言えると思いますよ。 四人でお手洗いに行ったくらいですし」


「ん……」


「確かに……」


 そんな事を考えていたら、アイリスと胡桃、そしてエミリーとクレアとクリスタがベランダに来た。

 どうもこの5人もトイレを済ませて、部屋に戻る所で俺達の話し声が聞こえたらしい。


 丁度いいや。

 5人にも明日からの出発に不安はないか、聞いてみようか。



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