163 最終決戦前のそれぞれの動き
最終章、始まります。
後半のガルタイトのシーンは、三人称視点です。
ご注意ください。
【Side アイリス】
『そうか。 確かにそろそろガルタイトに攻め入っておかないと、ヤスカワにいいようにされる可能性もあるな』
「うん。 こっちの問題もあるけどね」
私は昨日のアキトお兄ちゃんの決意をお父さんに報告していた。
お父さんもそれに同意していた。
このままでは、ヤスカワにいいようにされる事を懸念しているのだろう。
しかし、この国にはまだ問題がある。
あのダンジョン事件で発覚した反国王派閥の存在だ。
『あの反勢力の者達は、エリスとルークが対応してくれる。 アイリスは、アキト君と一緒にガルタイトに攻め入る準備をしてほしい』
「エリスお姉ちゃんとルークお兄ちゃんがやってくれるなら大丈夫か……。 分かったよ」
どうやら、国内に燻る反国王の勢力にはエリスお姉ちゃんの諜報部隊とルークお兄ちゃんの騎士団が対応するみたいだ。
この二人が作った部隊は、かなり強いのでそこは信頼してもいいだろう。
これで私もガルタイトへ攻め入るための準備を心置きなく出来る。
何せヤスカワのユニークスキルが再度使えるようになるのは3か月後。
侵攻に掛かる時間を考えたら、2か月しか余裕がないからね。
『あと、ゼイドラムの軍も協力してくれるようだ。 クロウ中佐が根回ししてくれたようだ』
ゼイドラムの軍も動いてくれるみたい。
これなら何とかなりそうだね。
『もう一つ。 シンシア君から報告を受けたイリアゲート君も魔族の一部を引き連れてガルタイトへと向かうようだ。 中間基地を構えて情勢を見るようだ』
一方で、イリアお姉ちゃんの方は一部の魔族と共にガルタイトに向かっているみたいだ。
中間基地を設けて、情勢を見る予定だ。
何かがあった場合にすぐ報告できるためだろうね。
「じゃあ、私はアキトお兄ちゃん達と一緒に最終決戦の為の準備をしておくよ。 七絵ちゃん達の様子は?」
『既に冷静な形で動いているナナエくんとノブテル君以外の子は、ようやく落ち着きを取り戻した。 ユナ君の行動が効いたんだろうな』
「あの時はびっくりしたよ。 憎しみばっかりだったみたいだし」
『仕方がない部分もあるがね。 では、これでひとまず通信を切るよ』
「うん」
私が頷いた所で、お父さんとの通信を終えて、水晶玉を仕舞う。
そして背伸びしながら、私も気合を入れなおす。
「さて、私自身もそうだけど……。 七絵ちゃん達も最終決戦の為に鍛えておかないと……」
そう独り言ちながら、私はひとまずトイレで用を足すことにした。
時間が惜しいけど、これは重要だしね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【Side ガルタイト】
一方で、ガルタイトでは……。
「くそっ! ここまで仕込んでおいて、何で失敗続きなんだ……!!」
誰もいない玉座の間で一人頭を抱えるのは、暁斗達の後に召喚された者の一人、安川 凶その当人だ。
支配欲の強い彼は、あらゆる手段を使ってガルタイトをモノにしようとしていた。
そのついでに他の国も……。
元々、彼は政治家の息子であるがゆえに、彼が起こしたいじめや事件も権力でもみ消していたのだ。
それだけでは飽き足らない故に、支配欲が生み出され、この世界に召喚された際にそれが表に出たようだ。
しかし、それも全て暁斗達によって跳ね返され、取り巻きを含めた勇者達やザナ王女も既にいない。
彼は追い詰められていたのだ。
「俺様のクローンホムンクルスも、強化兵士も……、もう作れない! あの国王が使えなくなったから……! それに俺様のスキルは三か月後まで使えない!」
玉座には氷漬けになったヘイト・ゾア・ガルタイトの姿があった。
必要なヘイト国王の血が無くなった事でホムンクルスを生み出せなくなったので、氷漬けにして保管しているのだ。
「こうなったら……、ここに簡単なダンジョンを作って魔物で固めておくか。 そして……、この本に書かれた技術を使って……」
そう独り言ちながら安川は、分厚い本を手にして氷漬けになっているヘイトの方を見た。
彼が持ってる本は、禁忌の合成魔獣の本であり、その作り方が書かれていた。
安川は狂気の笑みを浮かべて、その本のページを開き始めたのだ。
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