君への愛を世界に叫ぶ
第八章 終わりを積み重ねた果てに
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そこは、すべての悲劇が始まった施設だ。
アンジェラが働いており、ベルフェゴールが主に従って研究に没頭していた場所――今は時が経ち、遺跡と呼ばれるようになっている。
山中に開いた航空機の発着口にヘリは進入した。
――ヘリを降り、電源の落ちた施設をライトの光を頼りに進む。
表現としてはおかしいが、すぐに「見慣れた」区画へとたどり着いた。壁の微かな傷などに思い出が刻まれている。
強烈な既視感がヴァンに眩暈さえ感じさせる。ふらつく足取りの彼を、メディアがそっと支えた。
微かに驚き、彼は彼女の顔を見遣る。
メディアは無言で肯いた。
ヴァンはそれに同じ動作で返し、歩みを速める。二人の想いは一緒だ――成し遂げる。
アンジェラの記憶が化学反応のように、思い出とそこにまつわる場所との接触で感情を溢れさせた。
「メディア――魔法式『妨害』は記録媒体に記録して持ってたりはしないよね?」
ヴァンは歩きながら尋ねる。
「うん」と申し訳なさそうに、彼女は首肯した。
「いいんだ。そんな状況じゃなかったから」
自分を責めないようにと伝える。
「記憶を直接読み取れば、問題なく魔法式『妨害』を遣えるんだ」
アンジェラの記憶から引き出した知識を披露した。
「ただ、それをすると魔法式以外の記憶も読み取るにことに――」
プライバシーの領域に踏み込むことになる。それがヴァンは後ろめたかった。
「いいよ」彼女は真剣な色を瞳に浮かべ了承する。
それから、無言で彼らは通路を歩いた。




