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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第3章 リンデン王国編

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第94話 依頼


 姿を現したのは、ドワーフの男だった。

 背は僕と同じか、少し小さいくらいのはずなのに、肩幅は僕の2倍以上あるんじゃないかというほどガッシリしている。顔も毛むくじゃらで、髪までぎっしり繋がった、THEドワーフという姿をしている。作業着のような前掛けをして、右目にだけ丸眼鏡のようなものを掛けた店主は、油で黒ずんだ手袋を外しながら、カルラの差し出した手紙を受け取った。



「……なんと、ニコルの紹介か。筆跡も、魔力印も確かに本物だ。こりゃ驚いた、アレが冒険者など紹介してくるとは、一体どんな天変地異の前触れだ?」



 目を擦りながら、自分の頭がおかしくなったんじゃないかと叩いてみせる。「そんな驚くことなの?」と僕がポンさんに告げ口すると、どうやら地獄耳で聞こえていたらしく、「当然だ」と僕に言った。



「普通、他国の冒険者には、外に並んでるような対外用の店を紹介するもんだ。しかもそれが"流れの冒険者"となれば尚更だ。お主ら、なにもんだ?」



「何者と言われましても」と僕が困っていると、眉をひそめた店主が近付いてきた。もしかして殴られるんじゃないかと顔を隠した僕の前を素通りし、彼はそのままインフの目前にやってきて、物珍しそうに下から顔を覗き込んだ。



「お主、まさか竜族か?」



「ほう」とインフが自分の正体を見破った店主に微笑みかけた。しかし僕は、簡単に見破られてしまったことに慌てて、ポンさんのフワフワな毛をムチムチと引っ張りながら、どうしようどうしようと視線を右往左往させていた。



「なるほど、そういうことか。あの子がここを紹介したのも頷ける。……まぁいい、だったらついてこい」



 店主は勝手に納得し、僕らを店の奥へと招き入れた。僕はまた襲われるんじゃないかと挙動不審に辺りを見回しながら、さらに暗くなっていく廊下の奥へ奥へと進んだ。人一人がやっと通れる通路の先に招かれた僕らは、そこで不自然に並べられた武器の数々に目を奪われる。表に並んでいた埃だらけの粗末なものとは一線を画し、見事に手入れされた武器・防具の数々は見事というよりなく、初めて本物の一品を目にした僕は、目を丸くしてそれらを見つめていた。



「悪いな。おかしな輩相手に仕事をしている時間が無駄なんでね。客はこっちで選ばせてもらってる。自己紹介が遅くなったな、ワシの名はゼラルギー。リンデンでしがない武器屋をやってる。……で、何がほしい。剣か、それとも防具か?」



 本来の自席にどっしりと腰掛けたゼラルギーは、頬杖つきながらこちらを見つめ、指先でコツコツと天板を叩いた。なるほどと納得した様子のカルラは、それより先に聞きたいことがあると彼に尋ねた。



「まず最初に確認させてくれ。なぜ貴方は彼女が竜族であると気付いた?」



 カルラの質問を無表情で受け止めるゼラルギー。

 しかしそれを笑い捨てたのは、ほかでもないインフ自身だった。



「……何かおかしかったか?」


「簡単な話だ。おいドワーフ、お前はさっきの女の親か? それとも親族か?」



 話の流れがサッパリわからない僕は、ポンさんを抱えあげて「どういうこと!?」と聞いた。ポンさんは僕の顔を遠ざけながら、「ホンマにニブいやっちゃな」と呆れながら言った。



「ギルド窓口のニコルっち。あれ、竜族やねん。そんな彼女の紹介やし、姐ちゃんのこともそうやと思たと考えるのが普通やろな」



「えー!」と間抜けに驚く僕に「なんだお前は……」と不審者を見るように前置きしつつ、ゼラルギーが返答した。



「ワシはあれの親代わりみたいなものだ。それにしても驚いた。まさかニコル以外の竜族が訪ねてこようとはな。お主、どこの何者だ?」



「真竜国だ」と一言で答えたインフに、ゼラルギーは「時代も随分と変わったもんだ」と首を振る。落ち着き払ったみんなとは異なり、僕は次々に飛び交う衝撃の事実に目を回していた。



「なるほど、理解した。しかし貴方は見たところ普通のドワーフ族とお見受けするが?」


「そりゃそうだ。ワシは正真正銘、普通のドワーフだからな。その昔、ニコルが子供の頃に西の山で親と死に別れたアイツをワシが拾い、育ててやっただけのことだ。それと同じような匂いの奴がやってきたんだ、気付かん方がどうかしとる。どうやらまだワシも耄碌(もうろく)せずに済んどるらしい」



 昔を思い出しながら懐かしそうに語ったゼラルギーは、「まぁそれは置いておくとして」と話を切り上げ、今一度僕らの目的を聞いた。



「ゼラルギー殿、端的に聞かせてほしい。窯炉を造るためにベルファイト鉱石とリゾナ硝石を買い付けたい。用意いただくことは難しいだろうか?」



 フムとあごひげに触れたゼラルギーは、インフの顔を見つめながら息を吐き、目を瞑りながら言った。



「わざわざワシを頼ってもらって申し訳ないが、こればかりは難しいな。しかもその相手が真竜国の者となれば尚更だ。理由は言うまでもなかろう?」



 悪意があって言っているわけでないことは僕にもわかる。しかしそれでもリンデンで生きていくためにはこうするほかないと僕らに詫びた。



「やはりそうか。しかし我らも子供の使いできているわけではない。どうにか鉱石を手に入れる必要があるのだ。どうにかならないか?」



 数秒間考えを巡らせたのち、ゼラルギーは浮かない表情のまま、「一つ……」と切り出した。



「お主らに依頼したいことがある。聞いてもらえるか?」



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