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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第3章 リンデン王国編

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第91話 裏の顔


「石が、……売れない?」


「実は現在販売に規制がかけられてましてね……。ウチは鉱石の最大産出国であり、かつ現在の隣国情勢を鑑みて……。ということで、ここから先は察していただきたい」



 商業ギルドを含め、売りたいのは山々だと首を振ったギルマスは、きな臭い何かを匂わせながら半ば強引な門前払いを提案した。しかしこちらも引くことはできず、カルラがどうにかならないかと迫った。



「私もね、どちらかと言うとこんなことはしたくない。しかしデイリット王直々のお達しとなれば、従うしかないのも仕方ないのですよ。わざわざ来てもらって悪いが、お帰り願うしかないのです」


「陛下自らの!? となると、それは……」



「言葉にはせんでください」ととぼけたギルマスは、深々と頭を下げ、僕らに帰るよう促した。しかしカルラとて、ここで引くわけにはいかない。何か手はないのかと食い下がった。



「確かに手がないわけじゃない。が、どうしたって難しいことに変わりはない。従来の十倍の金を前金で払ってもらうか、国がギルドへ委託している依頼を受けるか、そのどちらかしかないな」


「じゅ、十倍だと!? そんな法外な金、無理に決まっている。……いや、待て。リンデン国が委託している依頼というのはどのようなものなのだ?」



 まだ粘るかと言いたげに大きくため息をついたギルマスは、頭を掻きながら少し待てと席を立った。そしてすぐに数枚の紙を手に戻ると、それを僕らに差し出した。



リンデン(ウチ)が求める素材のリストだ。……が、ハッキリ言って、よその者たちに集められるものはない。まぁ、早い話が、体裁を保つための言い訳ってやつですよ」



 一覧には、およそ隣国で手に入れるのが難しい、リンデンでしか入手できない鉱石の名ばかりが並んでいた。石を目当てにやってきた冒険者が、別の石を手に入れられるアテなどあるはずがなく、カルラが残念そうに首を振る。



「本来、ギルドは全ての冒険者のために存在していなきゃならない。俺だって、あんたたちの依頼には、できる限り応えたいと思ってるよ。しかもその相手がそれなりの手練れで、かつギルドへの貢献度も高いとなれば尚更だ。しかしどうしたってイレギュラーは起こる。ここで仕事を続けていく以上、破れねぇ約束ってものはあるものだ。申し訳ない」



 改めて深々と頭を下げたギルマスは、国の内情を晒したうえで僕らに詫びた。そこに悪意がないことは明らかで、カルラもそれ以上は口を挟めず、直接の買い入れを断念した。


 しかしここでポンさんが僕の耳たぶを引っ張り、コショコショと呟いた。頷いた僕は、話を締めようとしていたギルマスに質問した。



「一つ聞かせてください。石は、この国の人たちも買うことができないのですか?」


 誰だキサマという鋭い眼光で僕を見つめるギルマス。それでも真っ直ぐに僕を見つめたまま、一つの揺らぎもなく言った。



「いいえ、国内で消費されると確約していただけるのであれば売ることは可能だ。しかし外への持ち出しが目に見えている者に売ることはできん」



 武器職人であるシェフィールの話では、炉の作成はエルフの祝福が必要になることに加え、それを誂える職人が絶対不可欠となるため、村人たちが村を離れることができない現状では、リンデン国内で窯を開くことは難しいと伝えられている。時間をかければ可能かもしれないけど、僕らには悠長に待っていられる時間はない。



「だけどそれをどう制限しているのですか。仮に国内で石を手に入れて、外へ持ち出そうとする人もいるはずです」



 しかしギルマスは意にも介さず、「簡単なことだ」と僕に言った。



「取引をするうえで、最も重要なことはなんだと思います?」


「重要な? ……なんでしょうか」


「確かに色々な方法論はある。石の消費まで個別に追いかける方法、魔証印を用いた方法など、取り締まるにも方法は様々ある。しかしそれより先に、まず確実なものがあるでしょう」



 ポンさんが「ちっ」と舌打ちする。

 僕はよくわからず、「それはなんですか?」と質問した。



「信用だよ。人と人とのやり取りにおいて、これより重要とするものはない。我々は信用する者にアイテムを売り、そうでない者は排除する。ちなみに、俺が君たちに抱いている信用度は、ゼロだ。なぜなら……」



 これまでカルラへ向けていたにこやかさが一瞬にして消え、ギルマスの視線が途端に迫力を増した。その空気を感じ取ったカルラは、「どういうおつもりか?」とそれを問うた。



「穏便にお帰りいただけたのなら、こちらもそれなりの礼儀を通そうと思いましたが。いや、なんですかね。貴方様を疑うつもりはないのですが、どうも御一方(おひとかた)、この場に似つかわしくない人物がいるようでして」



 ギルマスの視線が横へ流れ、その人物に向けられた直後、どこかに隠していた剣を目にも止まらぬ早さで抜き、躊躇なく斬り掛かった。僕は呆気に取られたまま目の端で一瞬のやり取りを開口したまま見つめ、大きな金属音が響いてから、やっと「な、な、な、なんですか!?」と間抜けに叫んだ。



「お前、ヒュムではないな。何者だ?」




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