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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第79話 わらわの名は


「それは……、僕らのことをドラゴンに話して……」


「納得してもろたてか? そりゃ無理筋やし、相手にとってメリットがなさすぎる。そんな無理な理由が成立するんやったら、やっぱ村人らが言うように、おのれらが騙されてるか、騙し討ちされるのがオチや。どっちみち、さっさと準備せなあかんよなぁ!?」



 肩の上でシャドーボクシングしながら僕らを煽るポンさんに苛つき、インフが一歩踏み込んだ。だけど僕はすぐにそれを止め、「ドラゴンは攻めてきません」と否定するしかない。



「せやったら納得できるように説明してみぃ! でけへんのやろ、できるわけあらへんで。どーせ俺らを売って、自分らだけ大丈夫なように竜のよしみをつこて悪巧みしてきたんやろがい!?」



 ちょこんと地面に飛び降り、僕の服の膝をたくし上げたポンさんは、「なんとか言うてみぃ!?」と執拗に繰り返した。



「そんなのはないよ。ドラゴンたちも自分たちの立場を守るために仕方なく村を襲っただけだって、正直に話してくれたんだ。だから僕らは、彼らがもう村を襲わなくていいように……」


「……いいように? なんやねん?」


「しょ、食料や必要な物資を援助するって約束をしたんだ。嘘じゃないよ、ね、インフ!?」



 しかしポンさんは「へっ」と笑い捨て、中指を立てながら「アホ言いなや」とぶち上げた。



「援助やて? 奴らがエルフに援助を受けるて? ハッ、そんなもん奴らがチマチマ集めるタマかいな。竜族ってもんはな、我が力のみしか信じへんねん。弱さ=悪で、弱者から力ずくで奪い取り、全てを蹂躙してこそ、その価値が認められんねん。それが竜族や。そもそも交渉なんぞ最初から成立せぇへんねん!」


「そんなことないよ! それに今回はインフがいたから……」



 しかし「チッチッ」と否定するポンさん。墓穴を掘ったと言わんばかりに僕を指さしながら言った。



「それが大きな間違いや。竜族同士の立場の優劣がどうやって決するか。世間知らずなウタ坊っちゃんは知らんのやろなぁ。なぁ、姐ちゃん?」



 嫌味ったらしく口を歪めながら交互に僕とインフを見回すポンさん。そしてトドメとばかりにカルラの肩へと飛び乗り、宣言した。



「竜族の優劣は力が全てや。弱い者は強きに屈し、付き従うのが命運と決まっとる。それを戦闘も無しに話し合いやて? アホちゃうの~ん?」



 小型獣とは思えない意地悪さで詰め寄る彼に言い返す術もなく、僕はムググと奥歯を噛みしめた。


 並び立つカルラとタッグを組む二人を説き伏せるには話術も情報も全然足りず、彼らを納得させる方法など僕には思いつかない。村長も同じく僕らを怪しむ目に変わりつつあり、助け舟など出してくれようもない。



「……決まりでしょうかね」



 村長が頷き、今後は僕らを敵と判断し、ドラゴンを迎え撃つ準備をしましょうと提案した。「待ってください!」と引き止める僕に対し、彼は残念ですと首を横に振った。



「本当なんです。僕を信じてください!」


「往生際が悪いでウタ。おのれがそんな悪どい奴やとは思えへんかったわ。幻滅したで」



 思い切り中指を立てながらメンチを切ったポンさん。どうしてわかってくれないんだよと呟く僕に、カルラは残念そうに言った。



「もう少し見る目のある男だと思っていたのに残念だよ、ウタ」



 腰の剣に手を当てたカルラの眼がギンと鋭さを増し、一気に僕との距離を詰めてくる。僕は一つも反応できないまま、迫る剣先をただ漠然と見つめていた。



 金属が衝突する音が響く ――

 思わず瞑っていた目を開けると、目前で鈍く輝くカルラの刀身が揺れていた。



「……え?」


「主様、もはやこれ以上の議論は無意味です。どうするか、この場で決めるしかないでしょう」



 僕の背後から手を伸ばし、剣を受け止めたのはインフだった。カルラとポンさんへ沈むほど重い視線を滲ませるインフは、圧倒的な魔力を開放しながら進言した。



「この場にいる全てのエルフと害獣を駆除してしまえば済むだけのこと。主様、一声いただければ、わらわが遂行いたします」



「化けの皮が剥がれたで!」と軽く震えながら戦闘態勢をとるポンさんとカルラ。だけど違う。僕がしたいのは、そんなことじゃないんだ!



「そんなことするはずないじゃないか!? どうしてインフは、いつも、いつもそんな誤解を生むことばかり言うのさ!」



 僕の反論に、インフの頬がピクッと反応する。「主様は……」と、何か言いかけて止めた彼女は、その鬱憤を吐き出すようにカルラとポンさんを睨みつけながら言った。



「だったら教えてやればいいのです。主様が、主様が、どれだけこいつらのことを考えているのかということを。知らしめてやればよろしいのです!」



 僕は嫌な予感がして、彼女を止めようと迷わず手を伸ばした。

 しかし圧倒的な魔力に抑え込まれ、僕の身体は全く動かなかった。




『ならば教えてやろう。……わらわの名は、インフェ・グレーゴル・ドルード12世。真竜国が女王にして、其の国を統べる者よ!』





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