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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第1章 パパス村編

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第12話 アレな血



 一転し村の守り手の顔になったサロムは、生き物の気配がなくなった森をぐるりと見回した。僕はチラリと後方を見やり、恐らく彼女の仕業だろうと悟ったが、素知らぬフリをして誤魔化した。



「おかげで今日は肉なしの坊主だ。ま、村としてはモンスターの不在は喜ばしいことなんだけどな」


「そ、そうですよね」


「とは言え、いないものはいないんだから仕方ない。さっさと戻ってレビンに報告だ。腹も減ったしよ!」



 武器から持ち替えた森の食材を掲げるも、インフはどこか不満そう。かと思えば村に入る直前になって僕を突然呼び止め、「しばし別行動することをお許しください」と告げ、即座に姿を消してしまった。



「……インフ?」


「なんだよウタ、どうかしたのか。あれ、インフちゃんは? 今までいたのに」


「いや、なんでもないです。ちょっと買い物を忘れたから行ってくるって。それより早くこれを渡しにレビンさんのところへ戻りましょう」



 不思議そうな顔をするサロムの背中を押した僕は、二人で採取した薬草を背負ってギルドに入った。すると僕らを待ち構えていたのか、姿を見つけるなりレビンさんが駆け寄ってきた。



「見ろよレビン、大量に取れたぜ。これで数日分は確保できたな」



 しかしどこか慌てている様子のレビンは、サロムの手を引き、僕に聞こえぬよう彼の耳元で何かを伝えた。「なんだって?」と神妙な表情になったサロムは、僕に荷物を託し、ギルドを出ていってしまった。



「レビンさん……?」


「ウタさん、ごめんなさいね。村のことで少しだけお兄ちゃんに話があったものですから」


「何かあったんですか?」


「いいえ、ウタさんはお気になさらず。お兄ちゃんへの業務連絡のようなものですから」



「そうですか」という僕の相槌に対して、どこか気が気でない様子のレビンさん。しかし僕が気にしたところで話が進むとは思えないので、仕方なく話題を変えた。



「ほら見てください。薬草だけじゃなくて、こんなに沢山食材も採れましたよ。皆さんで食べましょう」


「そうですね! ではそろそろ時間ですし、私も業務を終わらせて料理の準備をいたします。少し待っていてください。あ、ですがその前に……」



 今回の依頼書に判を押したレビンが数枚のコインを差し出した。「これは?」と首を傾ける僕に対し、レビンが「今回の報酬です」と微笑んだ。



「報酬って、お金がもらえるんですか!?」



「当たり前じゃありませんか。こちらが依頼したクエストをこなしていただければ、それに応じた報酬を支払う。当然の権利です」


「でも今回はサロムさんに手伝ってもらったわけですし」


「お兄ちゃんは村の衛兵としての本職がありますので、今回の依頼とは無関係です。それにお兄ちゃんがいただく分は、私が先にいただいておきましたし」



 コイン数枚を挟んでみせたレビンは、「では準備してきますね」と裏手に戻っていった。ひとり残された僕は、この世界で初めて手にした数枚のコインを見つめ、どうにもリアルすぎるその質感に困惑していた。


 多分これはもう夢なんかじゃない。

 川に落ちたあの瞬間から、僕は別の世界に飛ばされてしまったんだ。



「……なんだよ、そんなのって。せっかくずっと、必死で頑張ってきたのに」



 奇妙な流れに流されるまま、僕は知らない村で、知らない人々と、知らない冒険をして、知らないアイテムを手に入れ、知らない生活を始めてしまっている。

 手にしたたった数枚のコインが、その当たり前でなくなってしまった現実を突き付け、僕の心を酷く揺さぶった。



「……主様?」



 急に背後から話しかけられ、思わず肩がビクッとすくむ。振り返ると、顔に血をつけたインフが立っていた。



「え、インフ? どうしたの、その血!?」


「え? ああ、ついていましたか。これはわらわのものではありません。外に置いてある者の血ですわ」



「外?」と質問したタイミングで、着替えを終えたレビンが顔を出した。インフに気付いた彼女も、同じく血で汚れた彼女を心配し、何があったのかを尋ねた。



「いえ、『アレ』が足りぬとお聞きしたもので、少しばかり調達をと」



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