24話「激突」
「第三艦隊旗艦・モンタナ爆沈!」
オペレーターの鋭い報告がブルーリッジ艦橋を貫いた、北米方面軍司令部要員はその顔色を青くし、若き司令官を見つめた。
「閣下」
「全艦隊後退速度を上げろ、なんとしても敵をスペリオル上空まで引きずり込む」
「、、、わかりました」
修羅場と化したブルーリッジ艦橋とは対照的に第三艦隊を壊滅させ、旗艦を撃沈した北米帝国艦隊の士気は最高潮に達していた。我々が負けるわけが無い、我々の勝利は確定した、そのような思いはやがて慢心となり、時に首を絞める。
「このまま一気に制圧し戦勝祝賀会は皇帝陛下をお迎えしてニューヨークだ!楽しみにしておけ!」
アテルイはその巨体を司令官シートに沈め、満足そうに笑って豪語した。
「閣下!敵艦隊がさらに速度を上げました!」
「ふん、、、敵として面白い相手ではないが、、、相手に合わせてこちらも増速だ!一気に食い破れ!」
「北米帝国艦隊増速しつつあり!」
「こちらも増速だ!距離を詰められるな!」
いつの間にかニミッツの額には汗が吹き出していた、彼の作戦は成功するかしないかの瀬戸際、かなり賭の要素の強い物だったのだ。
「後方艦隊スペリオル湖上空へ到達!」
「未だ!後方艦隊より逐次高度を下げろ!50フィートへ!」
「50フィート!?」
魏中尉が信じられないという風に叫んだ、彼女にはニミッツが何を狙っているのか、それが未だにつかめていなかった。
「なに!?敵が高度を落としたと!?」
北米帝国艦隊旗艦・イーグルの艦橋でもアテルイが同じように叫んでいた。
「はい、おそらく50フィート程まで落とすのではないかと」
「小賢しい!それでは撃てぬではないか」
「ではこちらも高度を下げますか」
「無論だ!全艦隊高度下げ!50フィート!」
「よしかかった!」ブルーリッジ艦橋で双眼鏡を覗いていたニミッツがそう叫んだ時、司令部要員は次々と顔を見合わせた。
「あの、閣下、かかったとは?」
「見てればわかるさ」
その頃、スペリオル湖東岸の林の中に男が立っていた。上を見上げる彼の元にさらにもう一人の男が近づき報告した。
「閣下、艦隊の先頭集団がまもなく通過、敵艦隊はすでに補足できています」
「よし、攻撃開始。出し惜しみは無しだ、弾薬庫を空にするつもりで撃て」
「敵艦隊さらに後退!」
その報告に北米帝国艦隊は更に沸いた。イーグル座乗のアテルイも例外ではなく、豪快な笑い声を上げてモニタを見ていた。
「なんだ!何か策が有るのかと思いきや何も無いではないかっ!?」
そんな彼をいきなり何の前触れもなく衝撃が襲った、イーグルは耐えられたが、耐えられなかった艦が次から次へと火球と化していった。
「なんだ!?何が起こった!?」
「攻撃です!攻撃を受けています!」
「そんな事はわかっておる!どこから攻撃を受けておるのか!?」
「ちっ、地上です!」
「なにぃ?」
アテルイは絶句した。それと同じように驚愕の渦にいたのはガーディアンズの面々であった。
「一体何が、、、」
「下だよ」
「下、、、っ!陸上部隊、マッカーサー中将ですか!?」
「そう、彼らが出撃の用意を整えている間にダグラスの部隊をスペリオル湖畔へと移動、更に湖上にも解体寸前の艦を引っ張り出して浮かべておいた。地上部隊と湖上の艦隊は魔導機関を持たないため実弾攻撃に限られる、だから実弾が届く高さにまで敵を誘導したんだ」
誰もが驚愕し、そして若き司令官の才覚に戦慄した。そう、あるいは敵以上に。
「さあ、仕上げだ。全艦隊高度を上げて、後方艦隊を前に、全火力を正面に回せ!」




