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22話「新米司令官」

ガーディアンズとレストニア教各国の間に戦いが起きることは、実はそんなに多くは無い。

基本的戦いが起きたとしてもごく小規模な物、大きくても方面軍に割り当てられている艦隊を動かせばことは済み、方面軍司令部が動くことは本当に希な事であった。

それだけに北米方面軍司令官のチェスター・ニミッツ大将は悩んでいた。

「アメリカ帝国が?」

「はい、近々大規模な攻勢を仕掛けてくると言う情報が入りました。目標は恐らくここでしょう」

「、、、本部はなんと言ってる?」

「方面軍司令官の裁量に任せる、と」

その言葉にニミッツは頭を抱えた。彼はまだ32歳、世界修復以前からガーディアンズに参加し戦いの経験もあったが、方面軍司令官に就任したのは半年前、司令部が動かねばならないほどの戦いを経験したことが無いのだ。

「閣下」

考え込むニミッツの耳を副官の冷静ながらも知的な声が打つ。

彼の副官・(ウェイ)中尉は彼が艦隊司令官だった頃からの副官で、その性格は冷静そのもの。効率性を重視し、そのためならばどこまでも冷酷になれる、ある意味最も軍人に向いてる人間であった。

そんな彼女の声には迷うニミッツに発破をかけるような、そんな緩い威圧感が含まれているのを彼は敏感に感じ取っていた。 

「、、、全艦隊出撃用意をして待機、それから以降120時間は第一種警戒態勢を維持。トーチカはモードワンに切り替え、、、あと念のため哨戒艦隊を出してくれ」

「わかりました、すぐに手配します」

5分後、ガーディアンズ北米方面軍ボルチモア第一基地、及びニューヨーク第二基地ではけたたましい警報音と共に将兵が慌ただしく出撃の用意をしていた。

「艦の状況はどうなってる!?」

戦艦・アリゾナの艦長チャールズ・B・マクベイ大佐が叫ぶと、けして広いとは言えない艦橋で行き交う人々と衝突を起こしながら一人の兵士が近づき報告した。

「報告します!本艦の機関は良好、あと30分で臨界に達します。その他各種武装、レーダーなどに異常認められません」

「艦対艦連動システムは?」

「それはまだ、、、」

「早急に確認せよ!いざとなったときに使い物にならなければ意味がないぞ!」

「はっ!」

「閣下、全艦隊出撃用意が整いました」

3時間後、魏中尉は感情の起伏の感じられない声で彼女の上官に報告した。新米方面軍司令官はその報告に少し面食らったような顔をしながら新たな指示を出した。

「わかった、整備班は直ちに各艦を回り整備を行ってくれ、出来ればベストの状態で挑みたい」

「わかりました、それから各艦隊指揮官と繋がっています」

「メインに出してくれ」

その言葉に軽く頷きかけた魏中尉がコンピューターを操作すると、彼の目の前のモニタには北米方面軍6艦隊の指揮官の姿が映し出された。

『閣下、全艦隊出撃用意整っております』

北米方面軍第一艦隊指揮官・レイモンド・スプールアンス中将が報告する。

「うん、とりあえず以降120時間は第一種警戒態勢維持のまま待機、相手の出方をうかがう」

『それで、待機した後で勝てる算段は有るのですか?』

隠しきれない不信感を含んだ声が彼に投げかけられる。前北米方面軍司令官在任時の艦隊指揮官の中でも最年少であった彼は、未だ自分が各艦隊指揮官の信任を得ていない事を理解していた。

()()()()算段なら立ててある、相手が動かないかも知れないしね」

『それはあくまで確率論に過ぎません!事は急を要すのですぞ!?』

第二艦隊指揮官が咆哮する、それを手で制しながら彼は言葉を続けた。

「とりあえず120時間は待機だ、相手が動いていない以上下手に動くわけにも行かない。チェスや将棋でも定石だ、『先に動いた者が負ける』、、、まぁそう言うことだろう」

「では解散」彼がそう言うと指揮官達は釈然としない顔をしながらも敬礼をしてモニタから消えた。

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