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20話「罪と罰」

3年前、黄瓦城の後宮において一つの大きな事件が発生した。事の起こりはある日の昼下がり、玄武(シェンウー)宮の主、寒貴妃・張蘭々が彼女の息子にして当時3歳の第四皇子・民優(ミンヨウ)が息絶えているのを発見した所から始まる。

「皇上!臣妾没有(私ではありません)!臣妾没有!皇上!無実です!誓って無実です!」

民優殺害の犯人として捕らえられたのは淑妃・葉赫那拉嘉歓(ジャファン)であった。彼女は皇帝の前で跪き、その疑惑を泣き叫びながら否定したが寵妃の涙の前にはその全てが無力であった。

「黙れ子ども殺しの毒婦が!お前の顔など見たくない!この女を冷宮に入れろ!」

淑妃の顔に恐怖と絶望の色が走る。冷宮とは即ち罪を犯した妃嬪たちを収監するための打ち捨てられた宮殿であり、そこに入れられた者は腐りかけた食事を与えられ、病を患っても治療すら受けられないと言われている場所なのだ。そしてそれを証明するようにこの冷宮に入れられた妃の中で生きて出てきた者は未だかつて居ないのだ。

皇上恕罪(お許しを)!貴妃娘娘恕罪!」

「皇上、、、、早く彼女を連れて行って下さい、、、顔を見るだけで震えが止まりませんの、、、」

「連れていけ!」

「皇上!皇上!」

淑妃の両脇を屈強な男が固め、そのまま無理やり彼女を引き摺ろうとしたとき、「お待ちください」と言う声がした。

「皇上、どうか一度お静まりください」

「皇后娘娘、彼女は民優を、、、民優を、、、」

「寒貴妃、少しお黙りなさい。皇上、まだ本格的な調査は行われておりません、この状況で寒貴妃の主張のみを容れて淑妃を冷宮送りにするのはあまりにもはやりすぎかと」

「皇后、状況的に考えて淑妃以外に考えられぬのだぞ」

「皇上!私では、、、!私では!」

「淑妃、あなたは少し落ち着きなさい。皇上、それはあくまでも状況証拠に過ぎません。国の頂点に立つ者が状況証拠に頼ったと嘲笑を受けるかもしれません」

「黙らぬか!皇后、お前は何故罪人を庇う!もしや加担していたのではあるまいな!?」

「皇上!皇后娘娘は関係ありません!私が、、、私が、、、!」

皇后を疑い始めた瞬間、淑妃は彼女を庇うかのように叫びだした。

「淑妃!冤罪を認めるのはお止めなさい!」

「ですが、、、皇后娘娘まだ罰せられてしまいます」

「皇上、今一度お考え直しを、このままでは宮中の規律が保たれません!」

「黙れ!早く連れていけ!それから皇后は半年の禁足だ、居宮から出すな!」

「皇上!皇上!」 

引き摺られていく淑妃の悲鳴混じりの声が響きわたり、皇后もまた皇帝を睨みながら連行されていった。後に残されたのは侍衛と侍女、皇帝と寒貴妃、そして場を圧する沈黙のみであった。

「皇上、、、」

「江花は東廊宮に入れろ、門を施錠し開けることを禁ずる。侍女は一人だけ付けることを許そう」

「ですが、、、」

「早くやらぬか!」

「、、、是」

命令は早急に実行に移された。数分後、淑妃とその娘・第一公主の陳江花の住む朱雀宮の前庭には荷物と共に宮殿を追い出された江花の姿が有った。

「凌侍衛!これはどういう事なの!?」

「皇上からの命令です、淑妃娘娘は第四皇子殺害の罪で冷宮へ、あなたは東廊宮へと」

「何かの間違いです、額娘(母上)がそんな事をするはずが有りません!」

「第一公主、ここはどうか抑えて下さい、皇上のご命令ですから、、、」

「、、、父上に、父上にお目にかかりたいわ」

「皇上はもう、あなたには会わないわ」

門の外から冷たい声が響いた。第四皇子の母・寒貴妃だ。

「貴妃娘娘、何かの間違いです。母は人を殺したりしません!」

その言葉を鼻で笑って寒貴妃は江花の前を歩きながら話し出した。

「娘であるあなたは当然そう言うでしょうね。でも、私は息子を殺された、あなたの母に!この思いがわかる?」

「ですから貴妃娘娘、これは、、、」

「一公主、間違えないように。あなた達母娘が命を長らえている時点で皇上のお慈悲です、ならば文句を言わずに罰を受けるのが筋だわね」

江花は何も答えなかった、答えられなかった。そんな彼女を見て寒貴妃は満足そうにニヤリと笑って門の方へと向かった。 

「早く連れて行きなさい、不快でならないわ」 

その言葉を最後に寒貴妃はその場を去った。

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