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18話「帰還」

「本当にお世話になりました、カンピオーニ大将閣下にもお伝えください」

「おー、なんてことはない。中尉も元気でな」

休暇を利用して帰郷していたガーディアンズの士官、ガブリエーレ・パッドリノ中尉はその声を背に欧州方面軍所属の戦艦・ミュンヘンから東京港へと降り立った。戦艦ミュンヘンを中心とした艦隊は演習の為ちょうど欧州から本部・東京へと向かう所であり、欧州方面軍司令官・イニーゴ・カンピオーニ大将の提案により彼は乗せてもらう事になったのだ。

(まずは元帥の所へ向かおう、これは早めにお渡ししておくべきだ)

足早に軍港区を抜け、最寄りの駅からガーディアンズ都市交通鉄道に乗車する。

この帰郷の最中、彼は同じくガーディアンズ士官の女からとある重要な情報を、それこそ敵対するレストニア教国が2人に対して8人もの人員を割くほどに重要な情報を託されていた。その事も有り、彼は知己を得ていたイニーゴ・カンピオーニに東京に向かう艦に乗せてもらえないかどうか相談していたのだ。

「じゃあミュンヘンに乗っていくといい、ちょうど第三艦隊が演習のために東京へ向かうところなんだ」

意外にもあっさりと未だ若い大将は言った、もしかしたら織り込み済みだったのかもしれない。その実がどうであれ、彼はこれ幸いとミュンヘンに乗り込み、そして何事もなく東京へと帰還したのだった。

(これがガーディアンズの艦隊でなかったら、、、)そう考えると彼の背中を冷たいものが稲妻の如く駆け巡る、彼はガーディアンズ士官として戦場に行く覚悟は有るが、死ぬ覚悟は正直言ってまだ出来ていないのだ。

「ガブリエーレ・パッドリノ中尉、只今帰還しました!」

入り口でそう言って敬礼をしたとき、元帥執務室には2人の男がいた。

片方は言うまでもなく彼の上官でありガーディアンズ最高司令官・火神春翔、今一方はわからないがどうも仕事人間と言う印象を抱かせる風貌の男である。

「副官が戻ったようですな、では閣下、私はこれで」

「ああ、色々助かったよ、村井中佐」

「これが仕事ですから、では」

ささっと荷物をまとめて執務室を後にする「村井中佐」を敬礼で見送り、彼は改めて上官の元へ向かった。

「今回の件、君にも迷惑をかけた。それ以上にせっかくの休暇をしっちゃかめっちゃかにしてしまって申し訳ない」

「やはり織り込み済みだったんですね?まぁお気になさらないでください、母だって理解してくれてます」

「それは良かった、、、で、王大佐からは」

「チップと、それから口頭で情報を受け取っています」

そう言ってチップを春翔に渡す。彼はそれを不思議そうにまじまじと眺めて「彼女、なんていってた?」とガブリエーレに訊ねた。

「先日の仁帝国御前会議にて令王国の併合が決定されたと、対外的には令王国王家断絶によってと言う事らしいですが真の目的は他に有るようです」

「厄介だね、とりあえず今香港にいる部隊は急ぎ撤収させなくては」

チップのロックを解除しつつ彼は呟いた、交易等の関係上本来敵地であるはずの香港にもガーディアンズやラマスティア教諸国の軍や民間人がいることも少なくないのだ。

「早急に手配します」

「うん、、、、うん?」

報告書を読んでいた春翔がいきなり素っ頓狂な声を上げる。

「どうしました?」

「いや、仁が艦艇増産体制に入ったらしい」

「艦艇増産体制?今ですか?」

その事実はガブリエーレにも少なくない違和感を抱かせた、令王国併合とそれに伴う人口増加への対応その他により艦艇を建造する時間的余裕はほぼ皆無に等しいはずなのだ。 

「なるほど、令王国併合の主目的は令王国の持っていた技術の直接掌握か」

「ですが令は仁の属国、令の持つ技術は全て仁も持っているのでは?」

「いや、秘匿していたという可能性もありうる」

「秘匿?なぜですか?」

「理由は3つ考えられる、1に致命的な技術的欠陥を持っていた、2に凄まじく金がかかる、そして、、、」

そこまで言ってガブリエーレは遂に上官が言わんとしていることに気がついた。

「3に人道的に問題が有った、、、」

「おそらく、出来れば前半2つの内どちらかであってほしいが」

ガブリエーレは自分の背中が冷や汗でビショビショになっていることに気がついた、それだけ衝撃的だったのである。

「それについての調査も手配しましょうか」

「いや、それに関しては海蘭に任せよう、それに令併合の理由も少し気になる」

「たしかに、王の淑令(シュリン)には息子がいたはずです、それもまだ8歳」

「、、、やだねぇ、流血の予感」

そう言って首を振る上官を前に、ガブリエーレは何も言うことは出来なかった。

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