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蠢く暗躍 その3

「これが例の天界装備です。もっともこれはレプリカではありますが」


アスティナはリファドたちを集めると自分が用意した装備一式をみんなに見せる。

それはSSSランクの天界装備。その最高級装備のレプリカだった。

だがレプリカといっても性能は同じで歴史的な価値を除き、戦闘という場面だけで見れば本物と偽物に大きな違いはない。


「お前が俺にアレンの説得は一週間待てと言っていたのはこれを用意するためか。だが最高級の装備なんてどうやって用意した」


「私の友人に優秀な武器職人がいるんですよ。おかげでレプリカとはいえ最高級ランクの装備を用意できるんです」


リファドはこの装備を見てこれならばアレン相手にも説得が出来るかもしれないと考える。

そもそも論、ミノタウロスに攻撃が通じなかったのは装備品が貧弱だったから。

今まではアレンが作った装備で戦ってきたが彼を追放した際にシャルに言われてその装備もまた処分することになった。


だがこの武器ならばアレンたちとまともな戦いは出来るはず。

少なくとも装備の差で負けることはないだろう。


「ちょ、ちょっと待ってよ。私達はアレンの説得をするんだよね? なんでこんな装備がいるの?」


「話し合いで戻ってくるなら問題はない。だがもし……俺たちの仲間になることを拒絶するなら戦う必要も出てくるかもしれない」


「そんなのって……」


「まあまあ! 念のためですよ! 念のため! それに説得している最中に他の冒険者や魔物が襲ってくるかも知れないでしょう? そうなった時に柔軟に対処できるように武器を持つだけです」


「……分かった」


本当はもっと反論したかったがミアの立ち位置はギルド内で大きい方ではない。

それにあくまでも念のためと言われた以上、それに反論する理由は持っていないのも事実だ。

リファドやミアたちはそれぞれ天界装備の武器を手に取る。

そしてリファドはその剣を手に入れると早速アスティナにその刃を向ける。


「それでシャルはどこにいる?」


「えー! なんですかぁ! こんな可愛い女の子に武器向けるとか意味分かんないですけどー!」


「俺はシャルに会わせろって言ってるんだ! アイツ……ずっと部屋に籠りきりでなんでかお前が食事を運ぶしどうなってるんだ」


リファドとシャルが喧嘩別れした後からシャルは姿を見せていない。

私生活のほとんどをアスティナが管理しているらしく部屋に入らせてくれと頼んでも彼女によって拒否されていた。


「そもそもシャルはアレンを連れ戻すことに反対じゃないのかな? その確認を取らずにアレンを説得するのもどうかと思うんだけど」


「ーー大丈夫よ。私、反対しないから」


ミアの疑問に答えるように透き通った芯の強い声が響いて同時に金髪の少女ーーシャルが姿を現す。

シャルの見た目に関しては何か大きな変化はない。

だけども何だか前の彼女よりその姿は自信が満ち溢れていた。


「シャル! その……俺っ! すまない! あの時は感情的になってお前の気持ちも汲み取ってやれなかった」


「大丈夫よ。それよりアレンを説得しにいくんでしょう」


「いいのか……お前、嫌ってただろ?」


「今でも嫌いよ。でもリファドと喧嘩をしたくないもの」


「ごめん……でもお前が死ぬところはみたくないんだ」


シャルはその言葉には何も返さず天界装備を手に取った。


「全員天界装備を手にしましたね。これならアレンさん相手でも余裕ですよ!」


アスティナは心の底からそう思っているのかいつもの明るい表情でそう言い放つ。

だがアレンの実力を知っているミアとリファドの表情は暗いままだ。


「行きましょう? アレンを説得しなければいけないものね」


シャルの言葉と共にみんなはアレンの所へと向かうのだった。

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