5話 スカッとする人狼ゲーム【最終日】
ホールに残ったのは、3人だけ。
朱莉、桃華、そして黒銀
橙里の姿は、もうどこにもなかった。
テーブルの中央に置かれた血の付いたメモが、静かに事実を告げている。
『橙里は夜の間に襲われ、死亡した』
朱莉はメモを握りしめ、指先が白くなるほど力を込めた。
(橙里……霊媒結果を最後まで伝えてくれたのに……狼に食い殺された……)
桃華の肩が、細かく震えていた。
「橙里ちゃんまで……もう、本当に私たちだけ……」
黒銀は壁に寄りかかり、腕を組んで黙っていた。
でも、その視線はどこか冷たく、計算高い光を宿しているように見えた。
朱莉は深く息を吸い、声を絞り出した。
「3人で……決着をつけよう。
もう、誰も逃げられない」
3人はホールの中央に集まった。
円を描くように立ち、互いの息遣いが聞こえる距離。
シャンデリアの薄暗い光が、3人の影を長く伸ばしていた。
ホールに集まると、黒銀が最初に口を開いた。
朱莉をまっすぐ見据え、低い声で。
「……朱莉。お前は桃華に票を入れてくれ。
そしたら練習時間を半分、分けてやるよ。男子バスケ部と女子バスケ部、平等に使えるようにしてやる。
約束する」
あたしにもう迷いはない。
朱莉はゆっくり前に出て、黒銀を真正面から睨みつけた。
「そんな手には乗らない。黒銀……あなたが狼だよ」
黒銀の眉がピクリと動いた。
朱莉は一気に言葉を叩きつける。
「初日……青馬があんたを庇う発言をしたとき、青馬が狼と分かっていたから、あなたは下を向きながら発言を流していた。
2日目……青馬を撃つとき、手がすごく震えてたよね。
仲間を失うことが怖かったのかな。
緑弥を『真占い師さま』って言ったのも、緑弥の発言が偽物で裏切り者だと分かっていたから。
緑弥とグルになって、桃華を誘導しようとしたよね。
それだけじゃない!私たち女を舐めた発言も、全部許せない!だから絶対、やっつける!」
桃華の目に、涙がぽろぽろとこぼれた。
「……ずっと、朱莉ちゃんが狼だったらって……悩んでたの。怖くて、怖くて……信じたくなくて……
でも、今全部晴れた。私も、黒銀をやっつける!」
黒銀の顔が、歪んだ。
「ふざけるなぁ!俺が……騎士だ!」
まさかの発言に、朱莉と桃華が同時に息を飲んだ。
朱莉が即座に切り返す。
「守り先は?」
黒銀は慌てて言葉を並べる。
「えっと……白樹を……いや、茉黄を……橙里を……朱莉を……桃華を……」
めちゃくちゃな答えに、朱莉は冷たく笑った。
「嘘……全部嘘だね。もう、早くやっつけよう!」
桃華が黒銀の両腕を後ろから抑え、朱莉がゆっくりと拳銃を構えた。
黒銀は、意外にも抵抗しなかった。
やけに従順に、両手を上げて。
「……撃てよ」
朱莉「あんたは女の敵!後悔しなさい」
朱莉は引き金を引いた。
カチッ。
しかし……何も起きない。
黒銀が、にやりと笑った。
「ははは……そんなの、昨晩に抜いといたよ」
次の瞬間、黒銀の目が輝き、体が異様に速く動いた。
「俺が……狼だ」
黒銀は一瞬で桃華を振り払い、朱莉と桃華を同時に押し倒した。
「女2人なんて……雑魚だ」
人狼の黒銀が正体を明かして攻めてきた。
ついに最後の死闘が始まる。




