4話 スカッとする人狼ゲーム【3日目】
3日目 朝
ホールに集まったのは、5人だった。
朱莉、桃華、橙里、黒銀、緑弥。
そして、茉黄の姿が……ない。
テーブルの中央に、また血の付いたメモ。
『茉黄は夜の間に襲われ、死亡した』
朱莉は息を飲んだ。
(茉黄……占い師COしてた子が……狼に殺された?
本物だったってこと……?)
桃華が小さく震える声で言った。
「茉黄ちゃん……狼に狙われたんだ……」
橙里が静かに呟く。
「……真占い師が死んでしまって、偽占い師が残ってる可能性が高い。」
黒銀が苛立ったように舌打ち。
「クソ……また減ったな」
緑弥は黙って腕を組んでいたが、目が少し泳いでいるように見えた。
朱莉は心の中で整理した。
(茉黄が本物の占い師だったら……
彼女が青馬を狼って言ったのは正しかったってこと。
でも、青馬はもう死んでる……残りの狼は……?)
橙里が、静かに霊媒結果を告げた。
「……昨夜の結果。青馬……狼だった」
朱莉はホッと息を吐いた。
(よかった……茉黄の結果は本物だったんだ。)
さらに橙里が続ける。
「それと占い師の緑弥……なぜすぐ結果を言わない」
朱莉も言葉を重ねる
「あんたは、いつも黒銀とつるんでばかりで、2人が人狼と裏切り者なんでしょ?」
緑弥「うるせぇ!違うからな。俺は本物の占い師だ!」
でも、次の言葉で、場が一変した。
緑弥「朱莉を占った結果、狼じゃなかった」
朱莉は一瞬、固まった。
(桃華が仮に狼なら、このゲームは終わる、、
でも、桃華は処刑したくない。)
朱莉は心の中で盤面を高速で整理した。
【処刑済み】
一茶:市民
青馬:狼(確定)
【夜襲撃】
・白樹:市民(騎士?)
・茉黄:本物占い師の可能性大
【生存】
・朱莉:市民(緑弥→白)
・桃華:市民?狼?(緑弥→黒)
・橙里:霊媒師(ほぼ確定)
・黒銀:市民?人狼?→人狼で疑う
・緑弥:?(偽占い師濃厚だが狼の可能性も有)
縄数はまだ1人余裕はある……人狼は最初2人
青馬が1人死んだから、残り狼は1人。
そして1番怪しいのは緑弥は、今日の占い結果を何も考えずに報告したこと。緑弥目線なら、桃華が狼になるから、占い結果をわざわざ言う必要はない。
だから、緑弥は敵で間違いないね!
仮に裏切り者だったとしても緑弥をやっつけたい。
よし、こうしよう!
朱莉は立ち上がった。
「みんな、聞いて。私の提案があるよ!
占い師の1人は偽物だよね。
茉黄が本物で、緑弥が裏切り者が濃厚で、みんなもそう思っているはず。
吊り数的には、あと1回だけ余裕があるよ。
ただ、緑弥が狼の可能性もあるよね。
だから今日は皆で力を合わせて緑弥を処刑しよう。
女子をバカにするのも許せないよね!」
桃華が一瞬、目を伏せて考える。
でも、すぐに頷いた。
「うん。朱莉ちゃんと一緒に戦うよ!」
橙里も静かに頷く。
「私も……緑弥をやっつけたい」
黒銀が突然立ち上がった。
「ふざけるな!裏切り者かもしれない緑弥を吊るって……お前ら、頭おかしいのか?
今日人狼の可能性が高い桃華を吊ったら勝ちだぞ!」
朱莉は黒銀を真正面から睨んだ。
「何であんたは、緑弥を庇うことに必死なの?」
黒銀の顔が赤くなった。
「んなことねぇ!俺も……緑弥を怪しんでる!
緑弥が、動揺しながら声を上げる。
「お前……裏切るの?黒銀……」
黒銀は緑弥を睨み返した。
「お前は元々怪しいだろ……!」
男子陣は完全にボロボロだった。
黒銀と緑弥の間に、明らかな亀裂が入っている。
緑弥が後ずさりながら言った。
「俺は……しらねぇ。部屋に帰る……!」
でも、緑弥の1歩は遅かった。
朱莉が叫んだ。
「今だ!わたしたちで退治しよう!」
桃華、橙里、朱莉の3人が、一斉に緑弥に飛びかかった。
「やっやめろ……!」
緑弥が叫ぶが、3人の女の子は容赦なかった。
橙里が緑弥の腕を押さえ、桃華が足を押さえ、あたしは、首元をしっかり絞める。
「ひぎやぁぁぁ……!」
緑弥の声が、苦しげに響く。
朱莉は冷たく言った。
「女3人いれば、男にも勝てるんだよ」
緑弥が気絶したところで、3人は処刑ボタンに手を伸ばした。
朱莉が囁く。
「来世は……良い人生を歩んでね」
処刑の音が、ホールに響いた。
緑弥の体が、ゆっくりと倒れる。
黒銀はその場にはいなく、先に部屋に戻っていた。
─────
夜。
部屋に戻った朱莉は、ベッドに座り込んだ。
(……終わった?緑弥が狼だったら……これで市民側の勝ち……?)
でも、心の奥に小さな棘が残っていた。
(万が一……桃華が狼だったら、どうしよう。
緑弥が真占い師で、桃華を狼って言ったのは……全部本当だったら?
いや、そんなはずない……桃華は……)
朱莉は枕を抱きしめた。
涙が、ぽろぽろとこぼれる。
(桃華は……絶対、市民だよね?
信じたい……でも、怖い……)
あまり寝れなかった。
外の闇が、いつまでも部屋に忍び寄っているように感じた。




