2話 スカッとする人狼ゲーム【1日目】
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1日目の夜
夜は、洋館の個室でそれぞれが睡眠を取ることがルールとなっている。
役職を確認すると、あたしは市民だった
生存者9人
・朱莉(市民)
・桃華
・茉黄
・橙里
・青馬
・黒銀
・緑弥
・一茶
・白樹
役職一覧
・人狼2人
・狂人1人
・占い1人
・霊媒師 1人
・騎士 1人
・市民3人(1人は、あたし)
ルールによると初日噛みは、禁止らしく悲鳴は聞こえなかった。
床につくと、すぐに眠る。
あっという間に朝の日差しが部屋に入ってきた。
さて、議論場に行こうか。
部屋を出て円卓テーブルに向かった。
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1日目の昼。
9人は円形の椅子に座らされた。
中央の古い木のテーブルが、まるで審判のように鎮座している。
全員「おはようございます」
これから始まるのは人狼ゲーム
会話をしながら人狼を見つけて、処刑しなければならない。
最初に手を挙げたのは、茉黄だった。
「私、占い師COするよ! 今朝、白樹を占った結果……白樹は市民だった!」
即座に緑弥が手を挙げる。
「俺も占い師CO。橙里を占った。結果……橙里は市民」
二人の占い師CO。占い先が被っていない。
朱莉は眉を寄せた。
(……どっちかが狼だよね、普通に考えて)
次の瞬間、橙里がぬるっと手を上げた。
「……私、霊媒師……だよ」
白樹が珍しく口を開く。
「……占い先が霊媒師で狼じゃないって結果が出てる。だから緑弥の占いが少し真に近い……かな」
茉黄が明るく手を叩く。
「あたし、盤面を整理しよう!
占い師2人いて、
・茉黄(私)→白樹=市民
・緑弥→橙里=市民
霊媒師COは橙里だけ。
白樹の発言で緑弥が真寄りって感じかな?」
黒銀が苛立ったように舌打ち。
「いちいちまとめなくてもいいだろ。面倒くせぇ」
桃華が小さく声を上げた。
「しっかりまとめてるのに……ひどいよ、黒銀くん」
青馬がのんびりフォローする。
「まあ、黒銀も急ぎたかったからなのかなー」
朱莉は心の中で少し引っかかった。
(青馬……黒銀を庇ってる? なんで?)
黒銀がさらに声を荒げる。
「桃華、全然話してないよな。狼みたいだぞ」
朱莉が即座に反論。
「あんたこそ、盤面邪魔しようとしてるだけじゃん!
桃華は一生懸命考えてくれてるよ!」
桃華が小さく「ありがとう……」と呟く。
緑弥がニヤリ。
「2人がグルで狼だな」
黒銀がさらに追従する。
「そうだな、狼だ」
そんな中、無口だったパソコン部の一茶が静かに言った。
「スピード上げないか。だらだらしてると夜が来る」
黒銀が即座に噛みつく。
「何だよ、いきなり。黙ってろよ」
一茶は表情を変えずに続ける。
「……黒銀。お前、さっきから朱莉と桃華にばかり噛みついてるけど理由は?」
「ムカつくからだよ。それが何か?」
「……それだけなら、お前が一番怪しい」
その一言で、矛先が一茶に向いた。
緑弥が煽る。
「一茶、お前こそ急に仕掛けてきて狼臭しかしねぇぞ」
その時、アナウンスが聞こえてきた。
1日目の議論が終了しました。
投票をしてください。
議論は収拾がつかなくなり、票は一茶に集中した。
一茶は静かに立ち上がり、処刑台へ。
結果は、一茶が処刑か。
一茶「ぼ、ぼくは死にたくない!」
緑弥「ゲームナンダヨネ!!」
緑弥が一茶を押さえつけ、黒銀が!
バーン!!
拳銃を撃ってしまった、、
黒銀「一度拳銃を使ってみたかったんだよね!!」
処刑の音が響いた。
朱莉の胸に冷たいものが流れ込んだ。
相変わらずサイコなヤツだ許せない。
あたしは怒りが湧いてきた。
隣を見ると桃子が静かに手を合わせている。
みんなも桃子に合わせて手を合わせた。
黒銀と緑弥以外は、、
(……本当に、これでよかったの?)
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夜。
それぞれの個室。
朱莉はベッドに座り、膝を抱えた。
(怖い……誰が狼?
黒銀と緑弥は怪しいけど……もし違ったら?
青馬の庇い方も変だったし……茉黄の占いも……)
頭の中で疑念がぐるぐる回る。
胸が苦しくて、息が浅くなる。
ドアが小さくノックされた。
「……朱莉ちゃん?」
桃華の声が聞こえ、朱莉は慌ててドアを開けた。
桃華は目を真っ赤に腫らしていて、肩を震わせていた。
二人は自然と抱き合った。
桃華が嗚咽を漏らす。
「怖いよ……朱莉ちゃん。
一茶くんが……本当に死んじゃって……
私たち、どうなるの?」
朱莉は桃華の背中を強く抱きしめた。
自分の涙もこらえきれず、頰を伝う。
「わからない……私も怖い。
ずっと考えてた。誰が狼で……
でも、桃華だけは信じたい。
桃華は絶対、狼じゃないよね?」
桃華が顔を上げて頷く。
「うん……私、違うよ。
朱莉ちゃんも人狼じゃないよね?」
「うん。絶対違う!だから……一緒に頑張ろう!
絶対、生きて帰るんだから」
桃華が小さく笑った。
いつもの優しい笑顔。
「うん……頑張りたい。
朱莉ちゃんがいるから、私も頑張れるよ」
二人は額を寄せ合って、静かに約束した。
「……生きて、帰ろうね」
「……うん」
桃華が部屋に戻った後、朱莉はベッドに倒れ込んだ。
涙は止まっていた。
代わりに、胸の奥に小さな火が灯った。
(怖いけど……桃華がいる。
だから、負けない)
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翌朝。
ホールに皆が集まるが、白樹の姿がない。
テーブルの中央に血の付いたメモ。
『白樹は夜の間に襲われ、死亡した』
朱莉はメモに釘付けになった。
(白樹……もしかして騎士だった?
昨夜、誰かを守ろうとして……)
桃華が朱莉の手をそっと握る。
その手が震えていた。
朱莉は強く握り返した。
(……絶対、守る。桃華を。みんなを……できる限り)
黒銀が低い声で言った。
「また一人減ったな。今日こそ、狼を吊るぞ」
ゲームは、まだ始まったばかりだった。
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