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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
99/179

第93話 少し先

前回に続き今回もバトル回、ノーデ視点から始まります。

それでは本編どうぞ。

「というか、お前が仕切るな。」

 一誠の言葉に定期的に突っかかる弼さん。それをナユユさんがなだめます。

「まあまあ。九山君のいうことは私も思ってました。〝タイムカプセル〟のポイントもあと2ターンしたら戻ってくるかもしれませんので……。」

「いや、それはないと思う。」

「何かわかったん? 九山君。」

「断言はできないけど、C4チームの狙い、思うところはあって。」

「それ、話してくれませんか。」

 ナユユさんに促され、一誠は自分の考えを話します。

「確かにそうだったら九山君が言った通りにした方がいいと私は思うんですけど、あくまで私の意見なので……。皆さんはどうでしょうか。」

「異議なしや。」

「俺も、というか、それくらい俺も考えてたぜ。」

「弼殿、そこは張り合わなくてもよい。」

 千草さんが弼さんをいさめます。案外この2人、仲良さそうですよね。

「しかし、結論は変わらない。とにかく今は攻めの一手。」

 千草さんはそういうと、D2チームからC4チームのボートに顔を向け、宣言し始めます。

「【いっせいのーせ〝3〟】」

 上がっているパドルは四苑さんの固まっている1本に、吉田さんの右の1本、上空の手で言うとC4チームの右中指と右薬指2本のみ。

「当たらぬか。」

 続くC4チーム、西見さんが右小指に当たる箇所を〝手術〟。

「【い、せいので〝雨〟】」

 3巡目に突入、ナユユさんの宣言で降り注ぐ〝雨〟は、既に水滴に覆われている指にのみ落ちていきます。

 22ターン目。C4チームの高さんは右親指の箇所を〝手術〟。

「C4チーム、2連続〝手術〟で、まるで何かを待っているみたいやな。」

「もしそうなら十中八九、〝タイムカプセル〟のポイント。」

「そのポイント、最短で戻ってくるならこのターンだが、どうやら違ったようだな。」

 D2チームはそのような感想を小さな声で漏らします。

 ここについては、私ノーデの推測も同じです。〝タイムカプセル〟直後の〝ツインパワー〟の下りは一誠たちの〝晴れ〟から端を発したもの。したがって〝タイムカプセル〟を使う直前では予想しにくい現象です。少なくとも〝追い風〟を使うために必要な5ptを得るまでは、余裕をもってターン数を設定したと考えるのが自然でしょう。

「【るせーどーで〝晴れ〟】」

 弼さんの放った技に四苑さんの左中指がかかり、C4チームはこれで中指を2つとも上げて固まっている状態となりますが。

「右中指を【〝手術〟】」

「ありがとうございます、八幡さん。」

 これでC4チームの右手は自由に動かせる状態に。

「いくで、【せーので〝2〟】」


 Turn 25

 D2 team 6pt  C4 team 3pt 

【〝2〟】

 R●●●●●        R○○○○○

 L●●●●●        L()()()○○


「なかなか当たらんなぁ。」

 尾関山さんの数あても2ではなく8で外れ。C4チーム、1本だけ新しく上げるパターンは何度かあったから、いい線行ってたと思うけど――。現実は甘くない。

 そして次はC4チーム、弟、四苑君の番へ。

「皆さん、やりますよ。どっち抜いてほしいですか?」

「俺は左、残してほしい。」

「同じく。右手結構疲れたからな。」

「私も、利き手なので疲れました。」

「私は、どっちでもええよ。」

「わかりました、行きます。」

 C4チームはそれぞれの意思を確認した後、技名を宣言する。

「【〝タイムスリップ〟】」

 来た!


 Turn 26

 D2 team 6pt  C4 team 3→0pt 

             【〝time slip〟Lv.3】

 R●○●●●        R

 L●●●○●        L●●●●●


 時は少々戻り、C4チームが〝追い風〟を使用した直後のD2チームの相談の場面。

「C4チームが〝追い風〟で指定した技、〝タイムスリップ〟なんじゃないかな。」

「……ああ、確かに。それなら〝タイムスリップ〟のターンも2から4ターンに増えて、数あてのチャンスも増えますね。」

 一誠の考えにナユユさんは共感します。対して弼さんは納得していない様子。

「でも、そう言いきれるか? 例えばB2チームの使っていた〝降霜〟、あれを指定すれば俺たちは自分たちのターンで数えて6ターンの間〝手術〟不能だぜ。」

「確かにそれも強力だけど、今の俺たちには〝手術〟以外の回復技もあるし、技板の枚数が多いことはあっちのチームも察してそうだし。」

「ああ、そういえばうちら、小声で話す前に技板の枚数の話をしとったな。四苑なら聞こえてるかもしれへん。だから四苑たちからすれば、技の選択肢が多い分、〝手術〟を封じるだけじゃ不十分って考えるかもってことやな。」

「そう。それに〝タイムカプセル〟。あの技は〝タイムスリップ〟と相性がいい。」

「むむむ?」

 最初、ピンと来ていない千草さんでしたが、すぐにひらめいたようで手を打ちます。

「そうか。確かに〝タイムスリップ〟を発動するとポイントはリセットされて0になる。しかし〝タイムカプセル〟でその先のターンを指定していればポイントはリセットされず、そのまま引き継げるのか。」

「そう。俺は延長した〝タイムスリップ〟中に〝カプセル〟で送った7ptを引き継いでそれを使って技を放ち、俺たちの指を動かなくしたうえで数あてで当てるって算段なんだと思う。」

「なるほどな。」

 一誠が自分なりにしっかりと考え、それをD2チーム内に発信し、チームの皆さんは少なからず理解を示します。脳内空間でその様子を見ている私ノーデにとって、これは一誠の成長を感じられて素直に喜ばしいですね。

 ただ。

 素直に考えれば一誠の言った通りなのですが、先を見据えるとやはり――。

「だからもし、C4チームが〝タイムスリップ〟をしてきたらこの技で対応したいんだ。」


 そして時は戻り、27ターン目、一誠の宣言。


「【いっせいのーで〝霧〟】」

 D2チームとC4チームの合間に立ち込める白い〝霧〟。それは徐々に濃くなっていきます。そして

「さっきまで少し先にあったD2チームの手が……。」

「消えた⁉」

お詫び

〝タイムスリップ〟発動時にはポイントはリセットされます。作中では序盤(12話)から記載していましたが設定集には記載していませんでした、すみません。(あの時は先を見据えて今後さらに活躍する技の効果をすべて書くとネタバレになると思って伏せていましたが……。)今は修正済みです。

次回10/19までに更新予定です。よろしくお願いします。

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