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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
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第92話 追い風

前回から始まったバトルの続きです。

ちなみにバトル回が始まると、1試合につき何個か初出の技を出すようにしています。

さて、今回は……。

それでは本編です。

「それって……。」

 尾関山さんはこれ以上口に出さないが、言いたいことはわかる。俺たちも持ってる技だ。

 西見さんの宣言でC4チームの前に出現するのは、人一人は入れそうな銀色のカプセル。今、その蓋が開く。

「いくつ入れる?」

「今あるポイント、全部です。」

「全部⁉ 大丈夫?」

「大丈夫です!」

 四苑君はきっぱりと言う。

「四苑君がそういうなら……。」

 西見さんは腕輪を操作。C4チームが入れるのは1つ1つが1ptと書かれた色とりどりの球、それを7つ。すべての球が入った途端、蓋が閉じ、カプセルが地中、いや水中に姿を消す。


 Turn 10

 D2 team 6pt  C4 team 7→0pt 

            【〝time capsule〟Lv.3】

 R○●●○●         R●●○●●

 L○●●○●         L●●○●○


 1試合に1回しか使えない貴重な技、〝タイムカプセル〟。

 その効果はまず、先のターン数を指定し、自分の所持している手術ポイントから任意のポイント数を差し引きます。そしてそこから指定したターン数をすぎた場合、この技の使用時に差し引いた手術ポイントを自分のポイントに追加するというものです。

 C4チームは所持していた7ptすべてをカプセルに封じました。

「〝タイムカプセル〟で指定できるのは最低でも自分のターンで数えて6ターン目以降。しばらく戻ってくることはない。」

「まあ、〝タイムカプセル〟いうとるんやし、そう簡単にカプセルを掘り返すことはできんちゅうことやな。」

 一誠と三香さんが話しているように、この技は言うなれば、未来への投資なのです。裏を返せば。

「相手のポイントは0、攻めるなら今ってことですね。」

 11ターン目。互いのチーム全員が技を宣言し終えて二巡目。

「【い、せいので〝晴れ〟】」

 ナユユさんの宣言。この攻撃には誰も指を上げていませんので

「〝ツインパワー〟。」

 これでD2チームのポイントは11pt。直後、C4チームは。

「〝トリック〟です。すぐ!」

「えっ、【〝トリック〟】」

 四苑さんから指示が飛び、高さんは宣言。今度はD2チームのみに出現する色とりどりの1ptの球、それが動き出そうとした直後。

「【〝シールド〟】」

 落合さんは掛け声をつけず、速攻で宣言。可視化された球は光の壁に阻まれます。

「すぐ、攻撃です!」

「【オーエス〝晴れ〟】」

 ボートをこぐときの掛け声そのままに宣言する八幡さん。しかし、出現した太陽の日差しはどの指にも当たらず。


 Turn 14

 D2 team 6pt  C4 team 0→5pt 

          【〝sunny〟Lv.1(S1)】(T.P)

 R●●●●●        R●●●●●

 L●●●●●        L●●●●●


「〝ツインパワー〟、また。」

 俺たちの貯まったポイントは即消化され、C4チームの方はこの〝ツインパワー〟で5ptを得た。これで実質〝タイムカプセル〟でのポイント差はなくなったようなものだ。

 そしてこれはおそらく、意図的だ。

『〝晴れ〟にかかって現実のパドルを上げたままにするのは体力的につらいでしょう。それを自覚してしまうと上げたくなくなります。そして投影されたパドルを持っている人も、その様子につられて上げない。しかし、全員がパドルを下げたままでは〝ツインパワー〟になってしまう。そこを突かれた結果ですね。』

 ノーデの分析はたぶん正しい。俺は自分のパドルを上げるのも力いるなと感じたし、千草さんがつらそうな様子も見てしまったし。俺たちが9ターン目でした〝最高の手術〟もあのとき上がっていた千草さんや落合君、そして俺のリアルのパドルを上げ続けるのはつらいと判断して宣言したものだ。

 それに11ターン目から14ターン目の流れは速かった。時間にして10秒足らず、技の宣言に映像が1テンポ遅れてきていた。冷静に考えれば、1本でもあげてさっきの〝ツインパワー〟は防げたんだろうが、考える暇を与えてはくれなかった。

 瞬きでもしたら落ち着けたか、と思って今一度目を閉じてみるけれど。

『今さら後悔しても遅いですよ。それとも助言でもいりますか?』

 うん、ノーデがなんか言ってきて無理だな。

『あの小さな司令塔には要注意です。』

 そしてその助言は心得てる。

「【せーので〝雨〟】」

 尾関山さんの宣言、C4チームは新たに4か所の指に水滴が落下。

 さて、次は四苑君。要注意人物の番だ。

「【いっすんのーで〝3〟】

 ここで数あて。そしてナユユ、落合君、尾関山さんの3人が上げているが。

「4ですか。」

 外れた。落合君、尾関山さんが1本ずつの中、ナユユが2本上げていてセーフ。

「【いっせいのーで〝晴れ〟】」

 俺の攻撃、だがこれにかかるのは四苑君の上げた1か所のみ。〝ツインパワー〟を阻止された感じだな。

「吉田さん、次はあの技で。」

「あの技って、なんだっけ? 私その、物覚え悪くて。」

「うーん、向かい風の反対です。」

「なんで、直接教えないんだよ。」

「僕が指示出してただ従うだけってのも、どうかと思うので。それに今から忘れていたら、年取った時が思いやられますよ。」

「いや、変な気遣いだな。」

「そうそう、気使わなくても、この中で一番頭良さそうなの、四苑君だし。」

「西見、それ言ってて悲しくならないか。」

 C4チーム、和気あいあいとした感じだな。

「ああ、思い出した!」

 吉田さんは本物のパドルも投影されたパドルも両方上げて宣言する。

「【〝追い風〟】」

 C4チームの背後から俺たちの方に向かって風が吹く。そしてその風がひときわ揺らすのは、四苑君のつけている一つの技板。


 Turn 18

 D2 team 6pt  C4 team 5→0pt 

            【〝Tailwind〟Lv.3】

 R●●●●●        R()()()

 L●●●●●        L()()●○●


『これはまた、興味深い技を使ってきますね。』

 〝追い風〟、5pt消費で使えるこの技の効果は、自分の技板の技を一つを指定し、その技の効果で指定してあるターン数を2倍に引き延ばすことができる技。

 C4チームの狙いはいくつか考えられますが、〝タイムカプセル〟と何かしら連携してくるでしょう。今までの流れからして、1番可能性があるのは――。

 一誠は気づくでしょうか。それとも。

「相手はまたポイントを使った。これで〝シールド〟は張れない。さっきと同じだ。」

 この技が真の意味で〝追い風〟となる前に、叩くか。

「攻めるなら今だ。」


前書きの続き

今回新技登場して、例のごとくイセノ表記で書くんですが、そのとき英語のスペルこうだったのかと勉強になります。

次回は10/12更新予定です。よろしくお願いします。

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