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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
91/179

第85話 チーム戦

お盆ですが、いつも通り掲載します。

それでは本編です。

「【コイヤーッ〝雨〟】」

 河佐君はヤンキーのような迫力で宣言。そして彼が腕輪に着けている13枚の技板の中の1枚が光だし、何もない上空に雲が映し出される。そしてその宣言通り水滴が上がっていない指めがけて、降ってくる。


 Turn 1

 B2 team 0pt  D2 team 0pt 

【〝rainy〟Lv.1(S1)】

 R○○()○○         R○○()()

 L○○○○()         L○○()○○


「まずは3か所、か。」

「だが、お前たちの指も2か所かかってるぜ。」

 弼さんの指摘通り、B2チームの駅屋さんと三河さんの指が1本ずつかかっていますね。どうやらB2チームは指の上げ下げの連携は取っていないようです。

「チッ、何やってんだよ駅屋、三河。」

「すみません……。」

「ご、ごめん。」

「京弥、やっぱりせめてお前の宣言する技くらい……。」

「あァ、口答えかァ?」

 人差し指担当の比婆さんがサブリーダー的な仲介役なのでしょうが、その声を聞かないとなると、これはいよいよ河佐さんの独断チームとなっていますね。

「あの、いきますよ。」

「さっさとしろ。」

「は、はい……。」

 河佐さんの暴言はナユユさんにも飛び火して、思わず彼女も委縮しています。彼女の宣言もおそるおそるという調子で始まります。

「【い、せいので〝3〟】」


 Turn 2

 B2 team 0pt  D2 team 0pt 

              【〝3〟】

 R○●()●●         R●●()()

 L○●○○()         L●●()●●


「4か、おしい~。」

「【コイヤーッ〝晴れ〟】」

 尾関山さんの感想の直後、河佐君は再び宣言。そして今度はナユユ、落合君、俺が1本ずつ、そして相手方の薬指が2本ともかかる。

「安田、何全滅してんだよ。」

「うっさい。それなら先に教えろっつーの。」

「こっちの方が相手には読まれにくいんだよ。」

 チーム仲は依然険悪。だけど、河佐君のやっていることも理解はできる。

「相手も固まっているのはこちらとしても幸いだが、なぜ京弥殿はチームメイトに自分の宣言する技を教えないのだ? 自滅していくだけではないか。」

「これは俺の考えだけど、あえて味方に自分の宣言する技を教えないことで、数あてや〝ツインパワー〟を避けているんじゃないかな。」

「なるほど、敵をだますならまず味方から、というやつだな。」

 俺は千草さんの疑問に持論を述べ、千草さんは納得した。だけどこの持論はあくまでチーム内の信頼関係あってこそだと思う。今やるのは――。

『悪手ですね。』

 ノーデと見解一致。

「【るせーどーで〝8〟】」


 Turn 4

 B2 team 0pt  D2 team 0pt 

             【〝8〟】

 R●○()()○         R()()()()

 L●●○()()         L●●()()


「当たった!」

「右手、抜けさせてもらうぜ。」

「これならいける、いけるで。」

 D2チームは弼さんの数あてが的中し、勢いづいていますね。

「当てられるのが早すぎる。」

「早々に当てられちゃって、これでいけるの? ねえ!」

「落ち着け!」

 比婆さんや安田さんが焦り始めるのを河佐さんは一喝します。

「相手はまんまと墓穴をほった。さっきから数あてばかり。お前らさては〝雨〟〝晴れ〟みたいな指を固める技、持ってないな。」

 D2チームの皆さんは誰も答えません。まあ、実際そうですからね。河佐さん、勘はいいようです。

「沈黙はイエスとうけとるぜ。そして自分から指を少なくしてくれてありがとう。おかげで一層固めやすくなった。」

 まずいですね。今動くのはナユユさんの親指、弼さんの人差し指、千草さんの小指の3か所。

「【コイヤーッ〝晴れ〟】」

 再度日差しがD2チームの動く指すべてに降り注ぎ、D2チームの指は5本とも全滅。B2チームも1か所追加でかかっています。

 D2チームは話し合う時間が足りず、相手からの攻撃に対する連携はお任せになった分、こういうことも起こりうるでしょう。ましてやあの挑発、指を動かさずにはいられないでしょうね。

「え、えっと。次はうちの番で……。」

 そしてそれが引き金となったか、尾関山さん、おどおどしている様子。ちょっとしたパニックになっていて何をしたらいいかわからない様子。

「ここはさすがに〝手術〟だ、どこでもいいから。」

 ナイスアシストですよ、一誠。

「じゃあ、九山君のところ、〝手術〟。」

「おい、俺のところじゃないのかよ。」

 弼さんは不満を漏らしますが、これで一誠の薬指のみ動く状態に。しかし依然、ピンチです。

「大チャンスだな、6か、7か。お前ら、指上げんなよ。」

 河佐さんは勝ち誇ったように宣言します。

「【コイヤーッ〝7〟】」


 Turn 7

 B2 team 0pt  D2 team 1pt 

【〝7〟】

 R●●()()()         R

 L●●●()()         L()()()()


「外れた。」

「くそっ、6かよ。」

「〝手術〟だ。弼殿の指を。」

「わかってんじゃねえか。」

 これで俺たちD2チームの動く指は2本。

「まぐれださっきのは。【コイヤーッ〝6〟】」

 B2チームのこの数あても外れ、俺たちはさらに〝手術〟。

「京弥、お前の数あては不調だ。ここは別の方向から攻めた方がいい。」

「さすがに宣言、交代した方がいいんじゃないの。間違いなくさっきのチャンス逃して流れが変わったから。」

「うるさい! 俺なら勝てるんだよォ、まだ!」

 完全に河佐君は自分一人で押し通すつもりだけど。相手チームのこととはいえ、見てられないな。

「さすがに、相談した方がいんじゃないかな。これはチーム戦、なんだし。」

「なにか、勝ったつもりでこっちの心配か。九山お前、頭、お花畑かよ。」

「お花畑、ではないけど。」

 だめだ、河佐君は自分が見えてない。冷静に考えれば流れがD2チームの方にきているのはわかるはずなのに。

 俺もノーデに指摘されてそれとなくわかるようになってきた、焦って周りが見えてなくなる、あの現象。俺も経験があるからこそ、見ててつらい。そして、だからこそ何かできないかと思ってしまう。

「あの……。」

「一誠殿。」

 俺の言葉を止めたのは千草さん。

「これは勝負だ。チームの在り方、どちらが正しいかは勝って示すべきではないか。」

 千草さん、冷静だな。そこは武士の心意気ということだろうか。

「B2チーム、次の宣言を。さすがに長考しすぎだ。あと20秒以内に宣言しなければ不戦敗とみなし、D2チームの勝ちとするぞ。」

 先生がB2チームに注意する。今回のオリエンテーションでは1ターンにつき最大1分までと持ち時間が決まっている。

「京弥、さすがに俺が宣言しようか。」

「【〝最高の手術〟】」

  比婆君の助け舟に技の宣言で返す河佐君。これでB2チームは固まっている5本の指を治して5ptを得る。さすがに改心して自分たちのチームの指を治したのか。

「ふふ、ははははは。」

「どうした? 頭おかしくなったか。」

「いいや落合、俺は悟ったよ。俺たちの勝利に変わりはないってな。」

 たぶん、何か思いついたって感じだな。

「勝つ? 俺には〝シールド〟1枚分は確保して守りに入ったようにしか見えないがな。」

「おめでたい思考だなァ、初期装備だけで勝てると勘違いしたやつを見ると笑えてくるよ。」

「なんだと。」

 何かあるな、これ。

 ここでやられちゃいけない技は。さっき勝負が始まる前に確認した俺たちの使える技は4つ。指を治す〝手術〟、博打技の〝ルーレット〟、ポイントを送る〝タイムカプセル〟、10ポイントで使える〝強化シールド〟。

 初期装備っていってたな。これがもし、俺たちの技板をさしているのなら。攻撃技が1つもないから、数あて頼みなことか。いや、それは〝雨〟〝晴れ〟がない時点で察している気がする。

 だめだ、思いつかない。

「ナユユ……。」

 俺はナユユの方を見て、その目を見て、心配事を口にするのはやめた。

 それは迷いのない、決意の目だったから。

「皆さんすみません、少し賭けに出ます。」

 ナユユは宣言する、いつもより力強く。

「【〝ルーレット〟】!」


河佐とナユユが気付いたD2チームの弱点とは?

そして博打の行方は?

次回は8/24までに更新します。よろしくお願いします。

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