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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
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第84話 B2 VS D2

オリエン編入ってからなんとなく察している人もいると思いますが

作者の都合で水曜更新が続きます。

それでは本編です。

「勝負、今からか?」

「ああ、そうだ。」

 俺の質問に河佐君はそう答える。

「ちょっと、いくらリーダーだからって勝手に決めていいわけ? もうちょっと私らと話し合ってから――。」

「俺も安田(やすだ)さんの意見に賛成だ。お前の独断でここまで来たが、お前は自分以外のみんなのことを考えてない。開始早々、かなり歩かされて三河(みかわ)なんてもうくたくただ。」

 そういった彼が見つめる先には、息切れしながら遅れて現れた小太りの男子がいる。たぶんあの子が三河君だろう。

比婆(ひば)、そんなちんたら話し合ってたら勝てるもんも勝てないぜ。これはスピード勝負、相手チームの技板がそろう前に叩くんだよ。現にもうマップに表示されている奴はあらかた探し終えたじゃねぇか。それも最短コースでな。」

「比婆君、私たちは大丈夫です。現にさっきC1チームにも勝てましたし。」

「そうだぜ。それに幸い〝イセノ〟は手だけ動かしてりゃいいんだからよぉ、いい休憩にもなるだろ。」

「……くそっ。」

 どうやらB2チームは河佐君のワンマンチーム、チーム仲は最悪の状態らしい。不満は出るが、それでもみんな従っているのは結果が出ているからみたいだ。

「さあどうなんだ、D2チームさんよぉ。」

 この勝負を受けるとなると、圧倒的に俺たちの不利。なぜなら、俺たちの使える技板はたったの4枚なのに対してB2チームは見たところ、12、13枚くらい持っているからだ。

「売られた喧嘩は買うのが礼儀、ここで受けなきゃ武士の恥だ。」

「千草さん駄目です、今は。」

 謎の武士道に目覚めている千草さんをナユユがなだめている。それをフォローするように尾関山さんが言う。

「そやで。この勝負、受けん方がええな。うちら、技板4枚しかないし……。」

「「尾関山さん!」」

 俺とナユユが懸命に人差し指を立ててシーっと静かにするように促すが、時すでに遅し。

「ほお、まだ4枚しかないのか。そんな君たちに朗報だ。俺たちは今、技板を13枚持っている。」

「朗報? 俺たちにとっては悪い知らせにしか聞こえないが。」

「いいや。この勝負に勝った方が、負けた方の技板を総どりするっていうのはどうだ。悪い話じゃないだろ?」

「はあ、そんな話、誰が乗るか。」

 落合君は受けないつもりだ。

「九山君、どうしますか。」

 ナユユは俺の判断を仰いでいる。

 俺も最初は勝負を受けない方がいい、そう口に出しかけて考え直す。

 今の俺たちがほかのチームに追いつくためには、より多くの技板を集めなければいけない。この勝負に勝てばてっとり早く手に入る。それに相手は勝負を自分から挑んできた。ということは、たぶん〝イセノ〟をするうえで押さえたい〝雨〟や〝晴れ〟のような基本技は一通りそろえてきているはずだ。それは絶対に欲しい。

 たとえ不利でも、優勝を目指すなら。

「受けよう。」

「九山お前!」

「ここで退いたら、優勝できない気がするんだ。」

「さすが一誠殿だ。」

 千草さんは俺を支持し、落合君は気に入らない顔だが、黙った。そして以外にも気に食わない顔をした河佐君はさらなる提案をする。

「もう一つ、条件追加だ。俺たちが勝ったら、九山一誠、お前が持っている十指選の指輪もいただく。もらえる技板の枚数が俺たちとお前たちのチームで公平でない分、それで補ってやるよ。」

「構わない。」

「いけませよ九山君、それは……。」

「いいんだ。」

 ノーデも瞬きの一瞬で了承してくれた。そして俺のことをじっと見つめたナユユも腹を括る。

「わかりました。た、ただし、これ以上の条件は飲みません。それでいいですか。」

 俺の方からB2チームの方へ向きながらナユユはチームとしての回答を伝える。

「うちがポロってしもうたことはすまんな。でも、ほんまにええんか、奈湯ちゃん。」

「うん。」

「リーダーがそういうなら。」

 尾関山さんも合意、落合君も舌打ちをしたが反論はしない。

「なら交渉成立、とりあえず、場所を移すぜ。」



 ということでやってきたのはキャンプ場エリア。普段はキャンプ客でにぎわうらしいが、この2日間は近芽台中学が施設ごと貸し切っているため、客はいない。その代わりに運動会でよく見る学校の白テントがポツンと設営されていて、生徒会役員一人と先生がいる。

「これからB2とD2チームの試合を行う。不正がないか、審判は一応私たち教師と生徒会で行うからな。」

 なるほど、勝負するとなったら近くの投影装置のある場所まで移動しなきゃいけない。そしてそこには生徒会役員や先生がいるわけか。

「まずは整列、お互い、自己紹介しろよ。」

 先生の言葉に親指担当から順に整列し、それぞれの指の担当が向かい合う。

「B2チーム、リーダー河佐(かわさ)京弥(きょうや)。親指担当。野球部の期待のエースだ。」

比婆(ひば)(かける)、人差し指担当、一応生徒会(仮)だ。よろしく。」

駅屋(えきや)帰依(きえ)、中指担当、上から読んでも下から読んでも『えきやきえ』です。あと、図書部です。」

「薬指担当、安田(やすだ)(おう)()、ホルン吹きたいって理由で吹奏楽に入部した。よろ。」

「小指担当、三河安二(みかわやすじ)、好きな食べ物はカツカレーにとんこつ醤油のラーメン。」

 聞いた感じB2チーム、個性強いな。

「えっと、D2チームのリーダーで、親指担当の(ちか)田奈(たな)()です。イセノ部です。よろしくお願いします。」

「人差し指担当の落合(おちあい)(たすく)、テニス部だ。」

「中指担当、尾関山(おせきやま)三香(みか)、軽音部入りたいと思うとったんやけど、そもそも部活自体なくて部員集めからやっとる、興味があったら是非。」

「薬指担当、九山一誠(くやまいっせい)。イセノ部です。」

「小指担当、塩町千草(しおまちちぐさ)。剣道部だ。あとはまあ、あまり語らずともわかると思うが。」

「2人は有名人だからなあ。九山君は十指選並みの実力者、塩町さんもあの塩町グループのご令嬢なわけだし。」

「あと、人差し指担当はサブグラウンドで負けた人。」

「負けた人は余計だ。それにお前も人のことは言えないだろう。」

「あぁ!」

 落合君と河佐君はバチバチしている。

「先攻、高校はこのサイコロ技板で決めるぞ。」

 そういうと先生は2個のサイコロを投影させる。

「丁か、半か。出目の合計が偶数なら丁、奇数なら半だ。さあ、各リーダー、どっちを選ぶ?」

「半だ。」

「じゃあ、丁でお願いします。」

「では振ろう。」

 そうやって先生は掲げた手を思いっきり振り下ろす。サイコロの出目は。

「4、5で半だ。」

「幸先のいいスタートだ。じゃ、B2チームは先攻をもらうぜ。」

「あの、始める前にちょっと相談いいですか。」

 俺は手を上げながら先生に進言する。いきなり始めては連携が取れないと思ったから。

「それは構わない。」

「ありがとうございます。」

 そうしてD2チームは円になり、話し合いを始める。

「えっと、技の宣言は誰がしましょうか。」

「リーダーにお任せじゃダメなん? うち、まだいまいち技わからんし。数あてしかできる気がしないんやけど。」

「その、私一人がずっと宣言し続けるのもその、不安で。」

「じゃあ、俺がやる。」

「いやこれはチーム戦だ。誰か一人に押し付けちゃ、あとで混乱すると思うんだ。ナユユから順に交代制じゃ、ダメかな。」

「まあ、それが妥当な落としどころだろうな。拙者もやりたいし。」

「それなら交代制にしましょう。あと、自分たちの攻撃で自滅するとよくないので、何か合図的なものを決めた方がいいと思うんですが……。」

「今の俺らに、攻撃技は一つもないだろ。」

「さすがにそれを決めようとすると時間かかりそうだからあとに……ああでも、こっちが数あてするときはさすがに指を動かさないようにしよう。」

「そうですね。相手の攻撃の時の指の上げ下げは、各自お任せでお願いします。」

 俺たちの話し合いはそんな感じで終わった。

 対してB2チームの方は。

「お前らは、俺に従ってりゃいいんだ。確認するまでもないよな。」

 と相談する気配もない。

「終わりました。」

「なら、準備しろ。」

 互いのリーダーは技板をセット。俺たちは4枚、あっちは13枚。

「ここで聞くのもなんやけど、勝算はあるん?」

 隣にいる尾関山さんが耳元で俺にささやく。尾関山さんは初心者っていってたから、内心不安なんだろうな。

「大丈夫、今からやるゲームは数あてゲームなんだから。」

 自分にも言い聞かせるように答えて、その直後、先生が開始宣言。

「では、はじめ。」


本当は勝負に入る予定でしたが、なんかその前に書くこと思ったよりありました。

次回こそは……。

その次回は8/17までに更新予定です。(余裕を見て更新予定の〆切は土曜のままでいきます)

よろしくお願いします。


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