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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
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第81話 いざ

指ゲームラノベの金字塔、

いつかそう呼ばれる、大げさな夢を見ながら書く新章です。

それではどうぞ。

「九山一誠だな。」

「そうですけど、何か。」

「いざ、勝負だ。」

 このやり取りが何回あったことか。

『今日この時点までで13回ですね。』

 ノーデよ、数えとるんかい。

 そしてその挑戦を快く引き受け、バッタバッタと倒す俺。はたから見るとそうだけど、実際俺の体を使って勝負しているのはノーデだ。疲れを知らないのは、やっぱりAIだな。

 さて、それはそうと2031年4月13日現在、俺がいるのは白バラ公園。ただいま絶賛待ち合わせ中。ただし、目立ちすぎると勝負を吹っ掛けられるので巨大なバラの花壇をバックに身を潜めている。

「九山一誠だな。」

「は、はい……。」

 せっかく目立たないようにしていたのに、またこのやり取りか。と思って振り返ると知った顔だ。

「なんだトーモか。脅かすなよ。」

「イッセー、おひさ。いやあ、さっき勝負してる姿を見かけて同じ感じで言ってみた。メールとかで知っていたけどお前、なんか人気者だな。」

「えっと、断っておくけどこれはみんな俺を目の敵にしてるからな。」

 ここでお互い一笑い。

「で、本題だけど。」

「十指選の件だよな。俺の学校にも実は2人いるんだ。」

 ノーデを助けるために十指選、左手勢を倒す。その目標が明確になった以上、いよいよ本格的に動かないといけない。入学のバタバタもひと段落した今、そう思いたった俺はいろいろと情報収集を開始した。それで昨日の焼肉会のときに、府中先輩から広王大附属にも十指選がいると聞き、友達のトーモに連絡したというわけだ。

「でも、その前に一つ聞かしてくれ。なんで十指選を探してるんだ? イッセーの今の実力がどうかはさておいて、あの人たちは〝イセノ〟のトップの人たちだ。勝負を受けてくれるかもわからないし、こういっちゃなんだけど、やったとしても勝てないと思うが。」

「実は……。」

 俺はこれまでのいきさつを話した。ただ、ノーデのことは口外するとまずい気もしたから、事故の時の後遺症で再手術しなきゃいけなくて、その費用負担を軽くすべく、士義さんから試練を出されたということにした。

「それで十指選の指輪が一つ、あると。」

「うん、とはいってもカナデと直接勝負したわけではないんだけど。」

「でも、カナデさんはイッセーが持ってていいって言ったんだろ。それは紛れもない、イッセーが勝ち取ったものだろ。」

「うん……。」

 いや、本当はノーデが。そう言いたい。

「にしてもなんだよ、事故の時の後遺症って。今のお前、元気そうだけどな。」

「それはその、なんか、最近視界が狭くなったり、こう、人とは違うものが見えたりすることがあって。見た目で判断できないところもあるんだよ。」

 一応、嘘は言ってない。

「そうなのか、大変だな。まあ、イッセーの事情は理解できたわ。じゃあ、これから登場してもらおう。」

「登場って、誰に?」

「十指選の1人にだよ。」

 えっ、嘘だろ。トーモは何やら身に着けている腕輪に話しかける。誰かと通話してるな。そして近づいてくる足音。

「我を呼んだのは、貴様か。」

 そういって登場したのは。

 紺色の逆立った髪、左目は眼帯、そして見たことのない校章が刺繍された上着を袖を通さずに羽織り、右手に包帯を着用した男子。そんな服装に加え、右手で眼帯を覆い隠し、左手を右手の下に添えるようなポーズ。これはまごうことなき、

『中二病ですね。』

 ノーデ、俺も心の中でそう思った。

「先輩、自己紹介していただいていいですか。」

「よかろう。」

 トーモのお願いに応じた先輩は、謎の振り付けをしながら自己紹介をし始める。

「我は、この混沌とした世界を救うために選ばれし十勇士が一人、左中の宮を守護する鵜飼(うかい)辰巳(たつみ)だ。この名、とくと刻んでおけ。」

「俺の一つ上の中二で、十指選左中の鵜飼先輩だ。ちなみにこの服装、全部手作りだそうだ。」

 トーモの翻訳の方が簡潔、そして情報量も多いという事実。

「九山一誠です。近芽台中に通っています。」

「ほう、クヤマ。貴様は何用で我をこの地に召喚した? まさかこの我に勝負を挑もうなどという愚行のためではあるまいな。」

 えっと、理解にちょっとだけ時間はかかるが要はこちらの考えはお見通しってことか。

「話が早いですね。でも、あなたと戦う資格はあると思います。」

 俺は見せる、左薬の指輪を。

「それはまさか、十勇士が一人、ミヨシを倒したというのか。」

 やばい、鵜飼先輩の反応、ちょっと面白い。が、それはぐっとこらえて続けよう。

「正確には違いますが、俺はこの指輪を手にした。この左薬の指輪を。左薬指の一つ上は左中指、あなたが守護する場所だ。この意味、分かりますよね。」

「イッセー、お前もノリノリだな。」

 こういわないと伝わらないと思ったから。

「フッ、どうやらこの右手をまた、使うことになりそうだ。」

 鵜飼先輩はそういって右手の巻き付いた包帯を手首のところだけ外す、そして露になる、漆黒のリングに透明な技板。

「よかろう。光と闇、相反する力を従えた我の右手、その九十一番目の餌食となるがよい。」

 いや、ノーデのみならず先輩も数えとるんかい、と心の中でツッコんでおいて。

「いざ、勝負。」

 今日、俺の方もこのセリフを言うことになるとは。

 俺も技板を腕輪に引っ掛け、公園内の投影装置も起動した。勝負が、はじま……。

「はあい、そこまでぇ。」

 ると思ったところで割って入ったのは。

「上戸先輩!」

「なにやらぁ戦いの気配を感じまして、来てみたらぁ。まったく男の子は戦いが好きですねぇ。」

「お前は、マクラの側近。」

 鵜飼先輩の反応、気を抜いたらツボりそう。

「なぜ止める、お前にその権限があるとでもいうのか?」

「正直、私も勝負には興味がありますが。九山君はまだ、うちの副会長には勝っていません。こういうのは下から順番、あなたの出番はまだ先ですぅ。」

「それも運命(さだめ)か……。」

 鵜飼先輩、受け入れるのはやっ。

 そして上戸先輩は鵜飼先輩から俺の方に顔を向ける。

「九山君にも通告しておきますぅ。今後生徒会やもろもろ忙しくなりますしぃ、そう何度も勝負を挑まれても困りますからぁ、次にうちの副会長とやって勝てなければ、今後一切勝負には応じません。よぉく準備を整えたうえで挑戦してきてください。」

 結構厳しいこと言うなぁ。でも、万倉先輩にもいろいろと予定があるのだろう。いつまでも俺にかまってられないってことか。

「わかりました。」

 それで結局。

「戦えずか。」

「まあ、今日はもともと顔合わせだけのつもりだったし。まあ、少なくとも鵜飼先輩は勝負引き受けてくれそうだったからよかっただろ。」

「それもそうだな、まずは万倉先輩を攻略しないとなぁ。」

『それよりも先に明日の準備でしょう。』

 ノーデのご指摘はごもっとも。明日は、一年生最初の大イベント、林間合宿、通称オリエンテーションがある。

「トーモ、今日はありがとう。」

「いやいや、困ったことがあったら相談にのるぜ。ああ、あと今日は時間がなかったけど、今度〝イセノ〟で手合わせしよう。」

 そういわれたら、トーモと最後に戦った日から一か月以上たつのか。学校が違うと会う頻度も減るから、時の流れを早く感じるな。

「うん。」

 俺はコクリとうなづいた。



 翌日。

 上下ともに青の体操服に身を包み、ボストンバッグを背負った一団が近芽台中学正門前のロータリーに集結する。もちろん皆一年、オリエン参加者だ。そしてそのロータリーには各クラス1台ずつ割り当てられたバスが、計4台止まっている。

「いよいよね。」

「こういうの、わくわくするっす。」

 カナデや本庄君が感想をこぼしている。ほかのみんなも目をかがやせている人が大半みたいだ。

 バスの扉が開いて、順に乗り込む。俺の番、バスのステップに足をかけて言った。

「いざ、オリエンへ。」

実はトーモ君、リアル時間だと約一年ぶりの登場。入学編がどうしても近芽台中学の中の出来事のため登場できず。しかし、作中では1か月、作者の時間間隔がバグりそう。

次回は7/27までに更新予定です。作者も気持ちを新たに、面白くできるよう書いていく所存です。よろしくお願いします。

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