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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第5章 中学入学編Ⅱ
82/179

第77話 再三再四

入学編は20:00から更新を始めましたが気づけば20:39。1分ずらしでここまで続けてこれたのは感慨深い。

それでは本編です。

「あきらめたくない、だと……。」


 ノーデの言葉に眉間にしわを寄せる落合君。そして何かが爆発したように口を開く。

「お前と俺とじゃ言葉の重みが違うんだよ。俺がどれだけあの、事故の時を後悔して、真奈のことを心配したと思ってる。お前はただ、勝負に勝ちたいとかそんな軽い気持ちなんだろ。それとも、何か? 俺に匹敵するほどの理由であるのか?」

 何か、触れてはいけない箇所に触れてしまったみたいだ。

『不快にさせたてしまったのなら申し訳ないですが、理由は言えません。ただ、断言します。この命を懸ける理由であると。』

 胸に手を当て、ノーデは堂々と答える。確かにノーデ自身は、命懸けだ。

「むむむむむ。」

「さっきから再三再四、『むむむ。』しか言ってないですけど。大丈夫ですか?」

 心配したナユユが千草さんに質問する。俺も地味に気になっていた。

「いや、一誠殿の真意がわからなくてだな。」

 そういうと千草さんも自分の気持ちを吐露し始める。

「私は弼殿の事情を聴き、拙者にも何かできることをと思って、この場を準備するところまでこぎつけた。だから弼殿には勝ってほしいし、事情を話せば一誠殿も適当に切り上げるだろうとそう思っていた。それに〝究極化〟に対抗できるのは私が持っている技板の〝アルティメットタイムスリップ〟だけだと思うのだが、この技板は希少で、一誠殿も持ってないはずだ。だから負けは確実、なのになぜあんな表情をしていられるのか。」

「千草さん、本当にあなたの言う通り。私は本町があの特性を発動させてから負けたところを一度も見たことがない。絶望的なこの状況、案外九山君も、心の中では負けるとわかって割り切っているんじゃないかしら。」

 万倉先輩は半分嫌味を交えて言う。対する千草さんは首を横に振る。

「いや、あの目は、まだ勝つつもりでいる目だ。だから、わからない。彼の真意も、勝負の行方も。」

 俺の真意……。正直もやもやしている。

 ノーデは命を懸ける理由があるといったけれど、それは俺のわがままでもあるわけで、本当は俺が落合君の言葉に向き合わなければいけなかったのではないかと思う。ただ、俺がもしこの場に立っていたら、果たしてノーデのようにやれただろうか。決心が揺るがなかっただろうか。ノーデのように言い返せただろうか。

『人の考えは人それぞれです。そんな迷える若人一人一人を見つめ、救うのも私の役目ですよ。』

 さっき脳内空間から去る前にノーデはそう言っていた。

 ノーデはすごいな。ただ、俺もいつかは……。

「まあ、いい。どうせお前はもう俺には勝てない。それをわからせてやる。」

 落合君は宣言を開始する。

「【るせーどーで〝雨〟】」


 Turn 27

 Tasku 3pt  Node 0pt 

【〝rainy〟Lv.1(U)】

 R()()()()()        R()()()()

 L○○○()○        L○○()()


 水滴は降り注ぎます。私の指にも、弼さんの指にも。

 私が小指のみを下げたのは〝ツインパワー〟で弼さんにポイントを貯められるのを防ぐため。対して、弼さんの方は、〝ツインパワー〟を狙って一気にためようとした、あるいは……。

 もう少し、データがあれば。

『【〝ミラー〟】』

 私は宣言し、目の前に等身大の鏡を出現させます。その鏡が映し出すのは弼さんの姿、そしてその腕に吊り下げている技板。そしてその中の一つの絵柄が写し取られ、光とともに〝ミラー〟の技板の中へ。

「あれ、僕が神社で渡した技板だ。使ってくれていて嬉しいな。」

 こちらこそ、大数さんには感謝ですね。

「ここでぇ、〝ミラー〟、落合君が使った技板の中から1つを写し取りましたぁ。」

「さて、何をコピーしたのかな。このターンで使う気配はなさそうだけど。」

 この技で何をコピーしたのか。それを確認する手段は使用者の腕輪か、先ほど投影された鏡の裏側から覗くこと。対戦相手の弼さん、そして観客の皆さんはこの技板が使われて初めて知るのです。

「やっぱり〝究極化〟っすかねぇ。」

「もしそうだとしたら多分使えないまま勝負がついちゃうね。あの技は技板を写し取るだけで、条件は普通に満たさないといけないから。」

 と予想している人もいます。弼さんは逆に割り切ってしまっている様子。

「何をしても無駄だ、【るせーどーで〝晴れ〟】」

 割とすぐに使いそうですね。


 Turn 29

 Tasku 3pt  Node 0pt 

【〝sunny〟Lv.1(U)】

 R()()()()()        R()()()()

 L●●●()●        L()()()()()


「一誠の指が9か所固まった。」

「しかもすべて、〝手術〟では治せない無限倍固めです。」

「これはさすがに絶対絶命かぁ。」

 みんなノーデの負けを確信する。だけどまだだ。俺は、ノーデがさっきコピーした技を知っている。

 それは、今から宣言する技。


『【〝電気ショック〟】』


 Turn 30

 Tasku 3pt  Node 0pt 

          【〝electroshock〟Lv.4】

 R()()()()()        R○○○○○

 L●●●()●        L○○○○○


 私の治らないと思われていた指が、電撃とともに息を吹き返します。

「全回復! できるんだ。」

「確かにいくら〝究極化〟の無限倍固めであっても、固まっている状態に変わりはありません。だから、〝電気ショック〟も適用されるようですね。まあ、なかなかそんな状況お目にかかるものではありませんが。」

 解説の上戸さんや府中さんも驚いていますね。私も不安はありましたが、うまくいってよかったです。

「あれでも、九山君、〝電気ショック〟の技板、持っていたんですか?」

「いいや、あれはさっき〝ミラー〟でコピーしたやつ。あのときと同じ技板が光っていたもの。」

「三好さん、あなたも結構目いいのね。で、なるほど、さっきは薬指のみ動くっていう条件を満たさなかったから、発動させなかった。」

 ナユユさん、カナデさん、万倉さんの特性もちの人たちはこんな会話をしています。弼さんは多少驚きをみせたものの、すぐに気を取り直した様子。

「所詮、その場しのぎだ。また動かなくすればいい。だが、念には念を入れて確実にいく。【るせーどーで〝手術〟】」

 弼さんは左薬指を治し、本格的にポイントをために来ましたね。

 おそらく10ポイントためられたら確実に私の指はすべて固められます。現在弼さんは4pt。〝ツインパワー〟が一度も起こらず、1ターンごとに〝手術〟していくと仮定して多く見積もっても、残りは私のターンで数えて6ターン。治す本数的にはもう一度だけ固める必要がありますがそれを考慮しても7ターンしか猶予がありません。もちろん〝狐雨(サニーレイン)〟等を使ったら私の指が早く全滅させられますが、ポイントをために行こうとしている様子から、そもそも技板を持っていないということにしましょう。

 そしてこの猶予の間に何とかして、この〝究極化〟の弱点を見つけなければいけません。

『【いっせいのーで〝3〟】』

 私はどこも上げず、弼さんは追加で3本上げて合計は7。そもそも外れ。

 続く弼さんは右小指を〝手術〟。

『【いっせいのーで〝7〟】』


 Turn 34

 Tasku 5pt  Node 0pt 

             【〝7〟】

 R()()()()●        R○○○●●

 L●○●●●        L●●●●●


「当たってる! だけど。」

「〝究極化〟がある以上、当たったとしても抜けられません。今度こそ、九山君の方は絶体絶命だぁ。」

 そのあともノーデは数あてを3連続、すべて当てた。落合君も上げ方を複雑にして応戦していたようだけどそこはさすがノーデだ。しかし、当てても〝究極化〟の効果で抜けられない。対する落合君のポイントは〝手術〟で着々と増えていく。

 何かつかみかけてはいるようだけど。ノーデ……このまま終わるのかよ。

「【るせーどーで〝雨〟】」


 Turn 41

 Tasku 8pt  Node 0pt 

【〝rainy〟Lv.1(U)】

 R()()○○○        R○○○()()

 L○○○○○        L○○○()()


 ――そういうことですか。

『何度も確認して確信しました。あなたの特性の弱点。』

「弱点? とんだハッタリだな。そんなものこの〝三度目の正直(ブッダ)〟、そして〝究極化〟にはない。」

『そうでしょうかね……。』


 これは私のとっても賭けですが。

 一か八か、あの手を、使ってみましょうか。


ノーデに秘策あり?

次回6/15までに更新します。よろしくお願いします。

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