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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第5章 中学入学編Ⅱ
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第74話 一石二鳥

前回弱気なあとがきを残しましたが、なんとか試合の流れは作れましたので掲載。

それでは本編です。

 弼さんの人差し指から一直線に放たれた黄色い光が、私の左薬指に直撃。薄暗いところに、〝ビーム〟は映えますね。

「一誠にはこの試合、やりづらいかもね。」

「そう、曲がりなりにも人の命がかかっているからさ。」

「そ、それについては、大丈夫だと思います。」

「なぜそう思うのだ? 奈湯殿。」

「それはその、片目モードで……。本気そうだから。」

「あ、あれは俺っちとやった時の。」

「隻眼のスタイルか。」

「へえ、九山君の本気ってあんな感じなんだ。」

 一年D組メンバー+道上さんのやり取りを聞くと、私のこの状態も認知され始めたなと感じます。まあ気を取り直していきましょう。

『【いっせいのーで〝4〟】』


 Turn 2

 Tasku 0pt  Node 0→5pt 

           【〝4〟】(T.P)

 R●●●●●        R●●●●●

 L●●●○●        L●●●()


「九山君、数あては外れましたが〝ツインパワー〟を起こし、5ptゲットだぁ。」

 上戸先輩はそう解説し、サブグラウンドの外の観客はおおおと感心しているが、中は静か。

「むむむ。」

「これって……。」

「どちらかというと弼君のほうが起こした感じよね。」

 カナデの言う通り、頭の中で観戦している俺にもそう映った。万倉先輩のこともある、もしかすると落合君の特性も〝ツインパワー〟が引き金なのかもしれない。だけど、今は何も起こる様子がない。

「【るせーどーで〝ビーム〟】」

 一年の女性陣の言葉に気にする様子もなく、人差し指を上げて、落合君は光線を打ち続ける。

『【いっせいのーで〝雨〟】』

 ノーデの放った水滴は、落合君の左右の小指に命中。

「おっとぉ、これでお互い2か所ずつ固まっている状況になりました。」

「【るせーどーで〝ビーム〟】」

 ひたすら〝ビーム〟を打つ落合君。これに対しノーデは防がないけれど、技を受けた後に少し長考。っていっても30秒くらいだけど。ノーデも何かあるなと感じているはずだ。

 そして間を持たせるためなのか、ここから上戸先輩は饒舌になっていく。

「それではここでぇ、この試合のスペシャル解説役、中等部3年の府中本町君にも解説をしていただきたいとぉ、思います。」

「え、何その無茶ぶり。」

「いいじゃない、元々あなたがやる予定だったんだし、解説くらい付き合ってあげなさい。」

「……はい。」

 そうやって上戸先輩と万倉先輩は府中先輩を強引に解説役に抜擢する。府中先輩は渋々語りだす。

「えっと、ここで指をかけに行くのは定石だね。落合君が〝トリック〟でポイントを奪うのを防ぐには。ただ、さっきの3ターン目は落合君は〝トリック〟を使えたのに使わなかったのはやり忘れかな、それとも。」

「それは落合君のみぞ知ることですね。そしてその彼がここまで〝ビーム〟しかしていないのに関してはどうですぅ?」

「〝ビーム〟ね。あんまり強いと思っていない人も多いと思うけど、個人的には一石二鳥な技だと思っているよ。」

「といいますと。」

「あの技は強みが2つある。1つは相手の指を指定して確実に固められること。落合君は九山君の上げづらいところ攻めているよね。そして。」

『【いっせいのーで〝晴れ〟】』

「おっとぉ、ここで九山君の〝晴れ〟によって落合君は右真ん中の3か所が固まるぅ! あ、すみません。」

 ノーデが技を発動し、上戸先輩が一瞬そっちの方を実況。府中先輩は気まずい表情だが、咳払いして続ける。

「もう一つは回数を重ねると放てる技があること。例えばそう……。」

「【るせーどーで〝レーザー〟】」


 Turn 7

 Tasku 0pt    Node 5pt 

 【〝laser〟Lv.2(S1)】

 R●()()()()         R○○()()()

 L●●●●()         L●()()()


 その赤い光は〝ビーム〟よりも細く、眩く、私の右中指を貫通していきます。

「ここで〝レーザー〟、この技は〝ビーム〟と名前の付く技を3回使うたびに1度使え、相手の指1か所を3倍固めにする技ですぅ。」

「えっと、間がよいのか、悪いのか。言おうと思った矢先に使われちゃったね。」

「あれ? なんか似たような技をさっき見た気がするっすね。」

 解説を聞いて、本庄さんは疑問を感じたようです。そしてそれにこたえるのは彼のお目付け役となりつつある道上さん。

「たぶんそれは万倉副会長がさっきの試合で使った〝烈火〟だろうさ。あれと〝レーザー〟の効果はほぼ同じ、だけど〝レーザー〟は攻撃力がS1と弱い分、〝ビーム〟3回で放てるという軽い条件で使えるという違いがあるのさ。」

「なるほど条件に違いが。でも、っていうことは〝シールド〟1枚で防げたんっすね、さっきは。」

「だけど、防がなかったのさ。」

 そう。ここでは防ぐ必要はないと判断しました。この技がありますので。

『【〝大手術〟】』

 〝レーザー〟を当てられた箇所に私はこの技を施します。

「ここでぇ九山君は、〝大手術〟。1か所につき2回分の手術を施しますぅ。ただ、〝レーザー〟は3倍固めですので、九山君の右中指は3倍固めから通常固めとなりました。そして、ポイントの変動はなしとなりますぅ。」

「これ、意外と誤解されがちだよね。手術系は指がその効果で治らないとポイントは入ってこないんだ。とくに〝大手術〟は2pt得られる分、もったいないね。」

 もちろんそれは承知の上です。

「一誠ってあんな技、持ってたっけ?」

 カナデさんが疑問に思うのも無理はありません。なぜなら。

「あれは今日、購買部で九山っちが買ってたっすよ。変化球が欲しいとかなんとかで。ただ、あの技しかめぼしいものがなかったみたいっすね。」

 本庄さんの発言通り、一誠や私が使う技板で追加されたのはこの技のみです。

「【るせーどーで〝ビーム〟】」


 Turn 9

 Tasku 0pt     Node 5pt 

【〝beam〟Lv.1(S1)】

 R●()()()()        R●()()()

 L●○●○()        L●()()


「チッ。」

 〝ビーム〟はノーデの右人差し指に直撃するが、落合君は舌打ち。理由は指の形を見ればわかる。

「落合君、〝ツインパワー〟、狙いにいきましたね。」

「でも、一誠が小指も上げたから起こせなくて悔しそう。」

「むむむむ。」

 D組女子はそんな反応。

『【いっせいのーで〝雨〟】』

 この攻撃に落合君は、新たに親指両方がかかった。さすがにもう7か所も固まっているから次は治しに来るだろう。

「【るせーどーで〝最高の手術〟】」

 案の定、落合君は右手5本を治す。

『【〝最高の手術〟】』

 ノーデも上げて固まっている5か所を一気に下げて、治していく。たぶん〝大手術〟もここで一気に治すために前もってやったんだな。そして。


 Turn 12

 Tasku 5pt  Node 5→15pt 

        【〝max operation〟Lv.3】(T.P)

 R●●●●●        R●()()()

 L()●●●()        L●()()


「これはぁ、ファインプレー。〝最高の手術〟を施しながら、その動作で〝ツインパワー〟も発動させる、まさに一石二鳥なプレイングだぁぁ。」

 上戸さんの解説通り、普通であればそうなのでしょう。しかし、今回は。

 弼さんの口元が緩んでいます。そして声こそ聞こえませんが、こうつぶやいているように見えます。


「2回目だ。」


今回掲載しちゃって活動報告する機会を逃してしまったかも。

しかし、報告以前にまず本編書くのに相当時間使ってるからなんかそこまで手が回らない。

なので、この前書き、あとがきで活動報告してるようなもんです。

次回は5/25までに更新予定です。よろしくお願いします。

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