第70話 奥の手
今回の話はできたのがギリギリだったので、間違いとかあるかもしれないです。
作者も気づいたら修正していきます。
それでは本編です。
月が太陽を覆い隠していきます。普段はまだ日が出ている時間なのに一足早く、夜へ。
『皆既日食ですね。ちなみに本物の日食は専用の眼鏡で見なければだめですよ。』
「ノーデよ、今それを言うことか?」
私の小言に一誠は的確にツッコミを入れます。
「〝日食〟により、〝ツインパワー〟が強制発動しましたぁ。この技はポイントこそ増えませんが、〝ツインパワー〟が発動したという事実を得ることができる技ですぅ。そしてこれは副会長の特性、多手の王にとっては大きな意味を持ちますぅ。」
「そう。これで私の腕は増える。」
暗闇を光が徐々に打ち消して、露になる多手の王。万倉さんの言葉通り、多手の王の腕は5本、顔は3つへ変化しています。
「厄介ね……。できれば2本のままでいてほしかった。」
カナデさんも愚痴るほど。
「ちなみに5本目の腕役は本来、本町君にお願いしてもらう予定だったのですがぁ、今いないので、会長……。」
上戸さんは梶田会長に目線を向けます。会長の嫌そうな顔にさらに彼女は手を合わせ……。
「仕方ないな。」
「お願いします。指の上げ下げはお任せしますので。」
ため息交じりにこちらも愚痴をこぼしますが、ちゃんと頼みを引き受ける模様。梶田会長の右手が5本目へ、〝イセノ〟表記ではCとでもしましょうか。
「さあて、どうするのかしら。」
「【〝手術〟】」
万倉さんのあおりに乗らず、カナデさんは薬指を治します。
「カナデっちは攻めないんっすね。」
「たぶん〝火葬〟を警戒しているんだ。あれでポイントを一気にためられたらひとたまりもない。」
「九山君は実際、体験してますよね。」
「確か、一撃必殺の〝ドラゴンフレア〟に必要なポイントは30pt、対して現状、万倉副会長が〝火葬〟をした場合、得られるポイントは最大腕5本分の25pt、今万倉副会長は3ptだから、あと2ptためられると終わり、だから三好さんは自分の指をすぐに治したいはずだ。」
本庄さんの一言を皮切りにイセノ部面々が考察しています。
「あなたがその気なら、こんなのはどう?」
万倉先輩はそういうと技を宣言し、この試合でまだ光っていない技板が赤く光りだします。
「【〝種火〟】」
Turn 25
Miroku 3→0pt Kanade 9pt
【〝pilot fire〟Lv.2(S1)】
R●○●●● R○○○○●
L●●●●● L
A●●●●●
B●●●●●
C●●●●●
〝烈火〟と打って変わって、指先よりも小さな炎が出現。遠目から見ればただの赤い点、それがカナデの指に迫る。このターン、カナデを守る壁、〝ハーフゴッドウォール〟はない。
「わざわざ貴重なポイントを使って放つのが、あんな小さな炎……。」
「〝シールド〟を使わせるのが目的か。」
確かに3ptしか使っていない技に5ptの〝シールド〟で防ぐのは割に合わないだろう。
そう考えたのか、カナデは防がず、〝種火〟はそのままカナデの小指に着弾。しかし何一つ変化なし。カナデはその小指に対して〝手術〟を施し、指は全回復する。
「もともと〝雨〟で固まっていた箇所だけど、普通に〝手術〟できるようだし、どうやら大した技じゃないようね。」
「さあね。【〝手術〟】」
万倉先輩のあの口ぶり、何かありそうではある。
「なら防御を完全にさせてもらう。」
しかしカナデは強気に、再び宣言する。
「【〝ハーフゴッドウォール〟】」
「2枚目!」
「ウォール系に防御技は併用できないはずじゃ。」
「いいや、あの技は違いますぅ。〝ハーフゴッドウォール〟は2枚張ることで完全な〝ゴッドウォール〟となるんですぅ。」
上戸先輩の解説通り、入れ替わりで張られていた光の壁はより分厚く、より強固に、そして常時張られる〝ゴッドウォール〟へと進化する。
『なるほど、素で〝ゴッドウォール〟をするには20ptを貯めなければいけませんが、その前までにポイントを奪われてしまったり、他の技へ使ってしまうことも多い。そう考えると〝ハーフゴッドウォール〟は〝ゴッドウォール〟を確実に張るためのサポート技といったところでしょう。』
サポート技、確かにそういった技もあるだろうな。ちなみに俺はそんな技を持っていないが。
「これで指は全回復。そして〝ゴッドウォール〟と晴れの神の布陣では、私の指を固めることはできない。あなたが〝火葬〟をしてポイントを得ても〝トリック〟で奪える。」
「確かに〝トリック〟は自分の指がすべて動けば使えるものね。自分のポイントを使って防御を強化して、いつでも人のポイントをとれるようにする。そういえば、とある大会で本町もあなたのおじさんと戦った時、そんな感じで負けてたわね。嫌らしい戦い方はおじさん譲りかしら?」
「そこは、否定しない。」
カナデがこんなあっさりと認めるということは孤空という人はよほど嫌らしい戦い方をしていたんだろう。
「ならこちらは正々堂々、情報開示しましょう。あなたが気になっていた〝火葬〟。この技は1試合に1回しか使えない、そして〝火葬〟で得たポイントは次のターンで使わないと消滅するの。」
「一度燃えてから燃え尽きるのは一瞬だものね。」
「そして今から使わせてもらうわ。」
万倉先輩は上戸先輩と会長に視線を送り、こちらには聞こえない声で呟いている。やる気だ。
「【〝火葬〟】」
Turn 29
Miroku 1→25pt Kanade 0pt
【〝cremation〟Lv.4】
R××××× R○○○○○
L××××× L
A〇××××
B×××××
C×××××
24本を死滅させた万倉さん、それに加えて。
「カナデの小指が……。」
「それは私が仕込んだ〝種火〟。〝種火〟は発動後私のターンで2ターン後に効果が発動し、あなたの指を1か所固める。もちろん、威力はさほどでもないからただの〝手術〟で治るけど。」
効果が遅れて発動する時限式の技のようですね。
「何が正々堂々よ、仕込み終わった後でネタ晴らし?」
「やられたらやり返さなきゃ。」
「あの二人、なんかいつもバチバチしてない?」
一誠は半分呆れて言っています。
「まあ、ジェラシーみたいなものですよぉ。副会長は、孤空さんにあこがれていましたからねぇ。」
「ニコ、バカ。なんでそんなこと言うのよ。」
「1本残せ、の腹いせですぅ。」
上戸さんのカミングアウトに万倉先輩は顔を赤らめています。察するに、孤空さんにかわいがられていたカナデさんへ嫉妬しているというところでしょうか。
「へえ、意外とかわいいところもあるじゃん。」
カナデさんもニヤリ顔。
「さっさとしなさい。次は三好さんの番よ。」
「そうね、当てさせてもらう。」
今動くのは、上戸さんの方の指1本。
「よく考えたら、なんで万倉先輩は自分の指を残さなかったんだ?」
『その答えはおそらく、信頼しているからでしょうね。』
「えっ。」
「【いっせいなで〝1〟】」
Turn 30
Miroku 25pt Kanade 0pt
【〝1〟】
R××××× R●●●●○
L××××× L
A〇××××
B×××××
C×××××
2だ。
「外れた……。」
「やっぱりニコに任せてよかった。今度は三好さん、アンタのその忌々しい壁、ひっぺ替えしてあげる。」
万倉先輩の宣言開始。その一瞬、灰色に光る技板。このタイミングで放つ技は。
「〝ドラゴンフレア〟、じゃない!」
「だけど来ますよ、大きいのが。」
俺とナユユの言葉通り、万倉先輩は大技を放つ。
「【〝火砕流〟】」
万倉の奥の手〝火砕流〟とは。カナデvs美六戦、次回決着!
などと週刊の漫画なら最後のコマに書かれてそうですが、次回の本編を一切書いてないので作者は何とも言えない。しかし勝負が佳境なのは間違いないです。
次回は4/20までに更新予定、よろしくお願いします。




