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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第5章 中学入学編Ⅱ
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第69話 重なるとき

小説家になろうの予約投稿、10分ごとにできるように変わっているのにびっくり。

ということで前回は実は予約機能を久しぶりに使ってみました、やっぱり便利。

ちなみに今日はリアルタイム更新ですが。

それでは本編です。

「腕をたくさん持てる……。」

「そんなのありなのか。」

 万倉先輩の特性が明らかになり、さらにざわつくサブグラウンド。

「えっ。このゲームのルールはお互いの指10本っすよね?」

「あら、指10本なんて誰が決めたのよ。」

 本庄君が道上先輩に確認を取ろうと聞くが、回答したのは万倉先輩本人。

「ルールにも干渉できるのが、特性。これくらい不思議じゃない。」

 そこにカナデが補足を入れる。特性を使うカナデ本人が言うと説得力が違う。

「じゃあ、こちらもお披露目といきましょう。ちょうど、晴れてきた。」

 万倉先輩はそう言いながら上の方を指さす。

 雲間から見えるのは夕日、そしてそれに照らされた顔が2つ、腕を4本持った巨大な阿修羅像。たぶんあれが万倉先輩の特性そのもの。今まで俺が見てきた特性もそれを使う人の後ろに何かしら人が投影されていたからな。

「三好さん、どこで副会長の特性に気づいたんですか?」

 上戸先輩がカナデに質問する。そしてそれは。

「俺も気になる。」

 特性を言われた今なら全部合点がいったけれど、それを見破るヒントがあったかといわれると……。俺はてっきり数あてを無効化する特性とか思っていた。

「生徒集会での一誠との試合、弼君との試合、そして今も、万倉さんは数あてで抜けようとしていなかったでしょ? そこからなんとなく。」 

 言われてみればそうだな。

「そうね。私の特性上、たくさんの腕を持てたその腕分、数あてで抜けないと勝てない。だから私は正攻法でない勝ち方を狙っているの。」

「〝ドラゴンフレア〟は使えば、腕をすべて抜くことができます。それは副会長の特性と相性が良かったんですよぉ。」

 なるほどな。

『一誠、これは数あてゲームなんですよ。』

 そしてノーデ、なぜおまえがドヤ顔なんだ。

「ちなみにあなた、どこまで見抜いているの?」

「特性意外だと、〝火葬〟。あの技はおそらく、あなたの指を死滅させてその本数分のポイントを得る技。でもそれじゃあ、万倉さんが有利すぎる。だから何かしら制約もあるはず。」

 そうか。俺が万倉先輩と戦った時、あの時はたしか一気に20ポイント増えていた。つまり20本、万倉先輩と上戸先輩の指全部を死滅させたってことだ。だから俺の最後の数あては当たって抜けられた。

「それも見抜かれているんですねぇ。さすがです。」

「本当あなた、おじさんそっくりね。」

「私のおじさんのこと、知っているの?」

 カナデの顔付きが変わる。

「ええ、だって私たちに進むべき道を示した人だもの。まあ、それはあとで話してあげるわ。それより三好さん、気づいたのはそれで全部?」

「ええ……。」

『たぶんそれだけじゃないですね。』

 それだけじゃないって……。

「何がそれだけじゃないのかしら。」

 しまった、ついノーデの言葉に反応して口に出してしまった。視線が一気に俺に集まる。

「どうすんだよ、これ。」

『一誠、これから私の言う通りに言ってください。』

「ええ……。」

 とはいってもとっさに言い訳も思いつかなかった俺は周りの視線に耐えかねて、渋々了承した。

「万倉先輩の阿修羅像、変ですよね。」

「というと?」

「阿修羅は三面六臂、3つの顔に6つの腕が多い。でも今は2つの顔に4つの腕、不自然だ。このことから予測されるのは……腕はまだ増えるということ。」

 ナユユや本庄君は「えっ。」と驚いている。かくいう俺も自分で言いながら同じく驚いていた。

「九山君、よく知ってるね。」

「士義さんに目を付けられるほどはあるわね。少しは成長しているじゃない。」

 大数君や万倉先輩に感心されているけど、これに気づいたのは俺ではないんだよな。

「だぁい正解、九山君もすごいですね。そう、この特性ははじめみんなと同じ腕2本でスタートし、ある条件で1本ずつ腕が増えていきますぅ。つまりその条件はすでに2回起こっています。」

 2回、だから2本追加なのか。でもその条件って。

「そしてそれを強制的に起こす技がこれ。」

 万倉先輩は右腕を振り上げる。すると腕輪の技板が黄色に光だし、周囲は晴れ始めているというのに暗くなる。

「【〝日食(エクリプス)〟】」

 宣言とともに太陽に月が重なり、そして。


 Turn 23

 Miroku 8→3pt  Kanade 8pt 

【〝eclipse〟Lv.4】(T.P)

 R●●●()()         R○○○()()

 L○○○○○         L

 A●●●●●

 B○○○○○


 この技を始めて知ったのは2024年4月某日。あの山での家事の後、病院の一室で。

「へえ、強制的に〝ツインパワー〟を起こす技もあるんだ。」

「そう。手術ポイント5ptに、上げて固まっている指の本数が同じ状態で発動できるの。まあ、ポイントはたまらないから正直、何のためにあるかもわからない技。でも今の私には普通の〝ツインパワー〟すら起こせないからねぇ。」

 ニコちゃんはそういって右手の方を見る。でも右の指は5本ともない。やけどがひどくて、切断するしかなかったから。

「ごめん。私のせいで。」

「別にいいよ。でも右腕はない。左もまともに動かせる状態じゃない。一週間前にこれじゃぁ、大会には出られないね。あきらめるしかないかぁ。」

 残念そうなニコ。

 助けられた私の指は動くのに、助けたニコの指が動かないのは間違ってる。今でもこの手をニコと交換したいくらいだけど、ニコはそれを望まない。

 でも私はニコが強いのを知っている。大会に向けて準備していたことも知っている。どうにかしてあげたい。

 何か手はないか、何か手を、手を。そう考えて……。

「私が、ニコちゃんの腕になるよ。」

「えっ。」

「私の指を動かして、ニコちゃんは技や数を宣言する。二人一役で〝イセノ〟するんだよ。」

「でも、大会でそんなことやっていいのかな。」

「とにかく大会の日、行ってみよう。事情を話せばわかってくれるよ。」

 私はニコに助けられた。だから今度は私が、ニコを助ける番。その思いが私を突き動かした。

 病院の人やニコちゃんの家族も説得し、一週間後の大会の日、ニコと会場に行った。

「そんなの認められません。」

 受付の対応は無慈悲だった。

「でも。」

「ほかの選手は1人で戦うのに、君たちは2人ではないですか。フェアじゃない。駄目なものは駄目です。」

「やっぱりだめだったんだよ、みろくちゃん。」

「でも、このままでいいの? 出たかった大会なんでしょ。」

「それでも、今の私にはその資格がないんだよ。だって、動かせる指がないんだから。」

「そんな、そんなルールおかしいよ。だって工夫すればできるじゃない。」

「喧嘩はよそでやってくれるかな。次が詰まっているから。」

 受付の人は不機嫌そうに言った。この人はエントリーさせてはくれない気はないみたいだ。

「別の人にも聞いてみよう。」

「これ以上迷惑かけちゃだめだよ。あきらめよう、みろくちゃん。」

「僕からも一つ、お願いします。」

 列の後ろから声がした。私たちと同じくらいの黒髪メガネの男子。確かニコとは別のクラスだけど、よく対戦しに来ていた……。

「府中君。」

「そう、そんな名前。」

「みろくちゃん、そんな名前って。あんな地味でも〝イセノ〟ジュニアの部で入賞の経験があるんだよぉ。」

 私とニコのやり取りに呆れた表情の本町。

「それ褒めてるのかな? まあいいや。上戸さんの実力は、僕も手合わせしたことがあるので少し知っています。彼女は僕と同じくらい強いです。」

「いくら入賞経験がある君が言っても、ルールはルール、前例もない。だから駄目だ。」

「ならわしが許可を出そう。」

 今度は受付の人の後ろからの声がした。

「孤空さん。」

 受付の人からそう呼ばれた白髪に長いひげの男はゆっくりと近づいてくる。一目見て、ただならぬ人だと思った。

「駄目ですよ。規定では認められません。」

「頭が固いやつじゃな。時代はもう令和じゃろうに。せっかく少年少女が知恵を絞ってこの大会に出てくれようとする気持ちを組まんでどうするんじゃ。」

「しかし。」

「この大会の責任者はわしじゃ。今回はわしが責任を持つ。これでええじゃろ?」

「……わかりました。」

 私たちが何分かけても説得できなかった受付の人をあっという間に説き伏せてしまった。

「さあて。」

 受付とのやり取りを終えた孤空さんは私たちにこういった。

「わしの権限で認められるのはこれ1回っきりじゃ。だからその1回で証明しんさい。自分たちの価値をの。」

後半は万倉視点となっています。とはいってもノーデの考える万倉視点といった感じです。この物語はあくまでも一誠とノーデの視点しか基本登場させません。ただしノーデはいろんなキャラの心情になりきってくれる便利キャラですけれど。

次回は4/13までに更新予定です。よろしくお願いします。

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