第63話 タイムラグ
時がたつのも早いもので。初掲載からそろそろ1年、ここまで続くとは思っていませんでした。日々読んでくださっている読者の皆様、ありがとうございます。
それでは本編、どうぞ。
Turn 15
Node 7pt Makoto 5pt
【〝3〟】
R●●●●● R○○○●●
L●●●●● L●●●●●
「当てられたっす。こういうときは……。」
本庄君は道上先輩を見る。
「どっちでも、ここは本庄君に任せるさ。」
道上先輩はそういった。でも正直どっちでもいいからこそ、迷うところかもしれない。相手が片手を抜くのを許すか、あえて抜けさせるか、その一瞬の判断は。
24、23、22。この脳内空間では進みこそ遅いが確実に、時刻表示が進んでいく。
「【〝シールド〟】」
残り21秒時点で本庄君は宣言、同時に光の壁が展開しノーデの片手抜けを阻んだ。でもこれで使った。
『【いっせいのーで〝雹〟】』
ノーデの宣言、氷のつぶてが本庄君めがけて飛んでいく。
Turn 17
Node 7→0pt Makoto 0pt
【〝hail〟Lv.4(S2)】
R○○○○○ R○○○●●
L○○○○○ L●●●●●
かかったのは7本、その指すべてが氷に覆われます。
「何が起こったっすか。」
「今の技は〝雹〟、下げた場所を2倍で固める技。1か所につき2回〝手術〟が必要だ。」
道上さんの説明に補足すると、使用コストは7pt、攻撃力はS2、つまり〝シールド〟1枚では防ぎきれません。効果を簡単に言えば〝雨〟と〝大雨〟の中間の技です。
「くっ……。【せいっす」
「待って今は」
「〝2〟】」
道上さんが制止するよりも前に宣言。しかし私が8本上げたため、これは外れます。
『【いっせいのーで〝晴れ〟】』
私は速攻で次の技の宣言。上がった指は1つもない、つまり。
「〝ツインパワー〟」
「ああ、さっきは〝狐雨〟の方がよかった。相手がわざわざポイントを使ってくれたわけだから。でもさっきので〝シールド〟が張れるようになってしまったさ。」
「残り10秒をきって、ちょっと焦ったっすね。」
道上先輩と本庄さんは反省し、作戦会議するようです。どうやら30秒フルで使いそうですね。さて一誠の方はどうでしょうか。
『何か気がつきましたか?』
「きゅ、急に出てきてびっくりするじゃん。」
一誠は幽霊でも見たかのように驚き、退いています。
「で、何? 気づきだっけ?」
『そう、この試合を見ていての気づきです。ただ茫然と見ているだけでは一誠のためにならないと思いまして。』
「なんだか先生みたいだな。」
『師匠だとは自負していますよ。』
「ついに自分から言うようになったか。」
そういわれたら口に出していうのは初めてですかね。
『手短にお願いしますね、おそらくこの脳内空間で1分程度しか時間はありませんから。』
ちなみに大体現実の1秒がここの5秒間に相当します。今私の背後で映し出されている映像も0.2倍速再生されているのです。
「えっと、本庄君は右手3本をセットでよく上げていたかな。」
一誠は自分の右手の親指から中指までの3本を上げ下げさせながらそう答えました。
『よく気付きましたね。私もそこを狙って当てにいきました。お見事。』
頭をなでてあげましょう。
「さすがに撫でるはちょっと。」
一誠、私たち以外には誰も見ていないというのに顔を赤らめて、思春期ですね。
『それと?』
「それと? まだあるの?」
その様子では、もう1つは気づきませんでしたか。
『やっぱりまだまだですね。』
「褒めた後で、失望したみたいな顔するなよ。」
『褒められるところは褒めますがそれ以外は別です。』
「切り替え早いな、まったく。それでもう一つって?」
『時間のかけ方です。同じ技を使うときはあまり時間をかけず、違う技、違う傾向を出そうとするときには時間をかけているということですよ。』
「ああ、言われてみれば。」
『まだ本庄さんが慣れていないのもあるのでしょう。しかしこの傾向がつかめればこちらの回避が容易です。また、こちらが意図的に次に違う攻撃をさせることも。』
ただ、いつ時間のかけ具合に気づいて変えてくるかは警戒しないとですが。
「お前、やっぱりすごいな。」
『それほどでも。そろそろ時間ですね、私は戻ります。一誠もよく観察するのですよ。それこそ本庄さんになりきれるくらいには。』
そういって私は現実に。20ターン目です。
「【せいっす〝晴れ〟】」
本庄さんは〝雹〟にかかった箇所を治しに行かず攻めるようですね。この攻撃には私の右親指のみかかります。
『【いっせいのーで〝晴れ〟】』
「【せいっす〝雨〟】」
私の宣言終了と同時に開始された宣言。今までで一番、間が少ない。
Turn 22
Node 5pt Makoto 0pt
【〝rainy〟Lv.1(S1)】
R○●●●● R○○○●●
L○○○○○ L●●●●●
〝晴れ〟の連続している流れを変えてきた。時間をかけずに。
「言ったとおり、今までオレと相談していたことでパターンを変えるのに時間をかけてしまっていたがそれが読まれていたみたいだな。」
『【いっせいのーで〝4〟】』
得意げに語る道上先輩にもノーデは動じることなく、数をあてに行く。そして、ノーデが1本、本庄君はおなじみの右手3本上げ。
ノーデが当てた。そしてさっきの攻撃で全滅した右手を抜く。
「条件は整ったさ、本庄君。ついにあの技を使うとき、君が世界の中心に立つのさ。」
「そうっすね。」
道上先輩は本庄君の肩に手を置き、それに応じるように本庄君も宣言を開始する。
「【〝白夜〟】」
Turn 24
Node 5pt Makoto 0pt
【〝midnight sun〟Lv.6(S2)】
R●○○●●
L●○○○○ L●●●●●
太陽が私と本庄さんの周りを円を描いて回りますが、落ちることはありません。それもそのはず、この場は今極地、下は氷、上は日差し。上げ下げ関係なく、固まる。
初見の技ですが、防いだ方がいいでしょう。
『【〝シールド〟】』
「それだけじゃあ、防ぎきれないっすよ。なんせ2倍固めっすから。」
そう、これはあくまで軽減措置。2倍固めを通常固めにするための。〝シールド〟を突き抜けた日差しは私の上げた指を焼き、下げた指は冷気によって凍り付く。
「〝狐雨〟の上位互換、それが〝白夜〟っす。〝雨〟、〝晴れ〟4回ずつ使用で放てる劇強技っす。」
「しかも〝サンシャイン〟や〝雪崩〟と違って時間がたてば回復するといった効果もない。〝シールド〟で弱められこそしたが九山君、君の指はすべて固まったのさ。そして」
「【〝タイムスリップ〟】」
本庄さんの宣言とともに出現した時計、その針が巻き戻っていきます。そして、12に長針と短針が重なった時、始まりの指すべて自由に動かせる状態に戻ります。片手のみとなって。
「そろそろ決着つけるっすよ。」
なるほど、〝白夜〟を放ったのは確実に私の指5本すべてを固め、私が〝手術〟で治している間に数あてで勝つため、〝シールド〟で私のポイントを使わせるのも目的のうちだったのでしょう。もし使わなかったとしても〝タイムスリップ〟してから〝トリック〟をすれば私は〝シールド〟を使わざる負えなくなり、数あてを防げなくなります。そう考えると、〝白夜〟から〝タイムスリップ〟の流れは既定路線だったということになりますね。
本庄さんの言葉通り、この先数ターンで確実に決着はつく。それなら。
『【〝タイムスリップ〟】』
再び時計の針が巻き戻る演出とともに、私の手もまた片手だけとなり、始まりの状態に。
『目には目を、歯には歯を。〝タイムスリップ〟には〝タイムスリップ〟をです。』
お詫び:今回登場の〝雹〟という技は当初〝吹雪〟という名前で予定していまして、20話掲載時もそれで載せていたのですが、あとあとで別の効果に〝吹雪〟を使いたくなったため〝雹〟へと変更しました。(20話も変更済み、もはや間違い探しレベルの変更ですが。)一応この場で報告させていただきます。
次回は2/24までに更新予定、よろしくお願いします。




