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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第4章 中学入学編Ⅰ
59/179

第55話 晴れの神

2023年も残すところわずか。

バトル的には今回の話が今年最後だと思います。

それでは本編です。

「特性! そうか、カナデも十指選だから。」

「それを使うんっすね、ここで。」

 一誠や本庄さんが驚きの声を上げる中、カナデさんは日本神話における太陽の神の名前を口にします。

晴れの神(アマテラス)。」

 次の瞬間、落合さんの放った〝サンシャイン〟の光など目がないほど、カナデさんの背後がまばゆく光り始めます。そしてその光を放つのは、白にところどころ赤いラインが入った着物をまとい、黄金の太陽の冠をつけた黒い長髪の女性。

「〝サンシャイン〟が打ち消された。」

「これが私の特性、晴れの神(アマテラス)。あなたの光はこの神の前では無力。」

 カナデさんの指はこの9ターン目終わりでもすべて自由に動かせる状態。今回はまるで防御技でも使うかのように発動させたところを見ると、カナデさんの特性は発動を自分の任意のタイミングで行えるようですね。

「【いっせいなで〝晴れ〟】」

 カナデさんの攻撃。落合さんは4か所がかかります。

「【るせーどーで〝オーロラ〟】」

 その技名通り、カナデさんの腕を幻想的な光のカーテンが包み込もうとします。たしか〝オーロラ〟は3か所を上げて固める技。

「これならどうだ。」

「無駄。」

 〝オーロラ〟の光さえも晴れの神(アマテラス)が発する光には敵わず。

「私には、天候系の上げて固める技は一切効かないの。」

「一切、効かないだと……。」

 〝サンシャイン〟も〝オーロラ〟も系統は天候系、そしてともに上げて固める技。

「あなたの戦い方とは相性が悪いでしょうね、そして私の番。」

 そういうと、カナデさんはすべての指を上げて宣言を開始。

「【いっせいなで」

 去年の一誠の誕生日に鋭人さんにやられたフェイクが思い返されます。でも、カナデさんは指を動かすそぶりはありません。

「〝晴れ〟】」


 Turn 12

 Tasuku 0pt       Kanade 5pt 

 【〝sunny〟Lv.1(S1)】

 R()()()()()         R○○○○○

 L()()()()●         L○○○○○


「なんでアンタは攻撃にかかってないんだ。」

「言ったでしょ。晴れの神(アマテラス)は、天候系の上げて固める技は一切効かないって。自分の攻撃も含めてね。」

 確かに、カナデのさっきの〝晴れ〟はいつもと違って、〝晴れ〟の光自体はカナデにも当たっているのに、カナデの指が日焼けする様子がない。彼女の後ろにいる晴れの神(アマテラス)の力だろう。

 この特性、かなり強い。このゲームで固める技の代表格である〝晴れ〟を封じるわけだから。しかも、相手も上げていれば攻撃にかかるのが〝晴れ〟なのに、それがないとなると感覚がバグるかもしれない。

「【るせーどーで〝手術〟】」

 落合君が治した指は左薬指。カナデはすぐさま自分の指を8本上げた状態にしてこういう。

「あなたがどこの指も上げなければ、〝ツインパワー〟。そして私は今から数を宣言する。今上がっている指の合計、16以外の数字を。」

 落合君的には、〝ツインパワー〟を起こされてはまずい。もし〝ツインパワー〟がここで起きてしまうと、カナデは10pt。対して落合君はポイントを持っていないから、〝ブラックホール〟なんかで確実に指を固められてしまう。いや、もうほとんどの指が固められているからカナデは数あてで抜けていくかも。対して落合君が数あてで当てたとしても普通の〝シールド〟で2回は防がれてしまう。とにかく落合君的には不利だ。

「【いっせいなで〝20〟】」


 Turn 14

 Tasuku 1pt       Kanade 5→10pt 

 【〝20〟】(T.P)

 R()()()()()         R○○○○○

 L()()()○○         L○○○○○


 カナデさんは左手を抜きます。

「くそっ。なんで俺の出す数字がわかる。」

「わかるんじゃなくて、あなたがそうするように仕向けたの。」

「なんだと。」

「わからないようね、説明してあげる。」

 そういうとカナデさんは抜いたばかりの左手のうち、親指以外の4本を上げます。

「あなたがさっきの状況で取れる選択肢は4つ。どこの指も上げないか、薬指を上げるか、小指を上げるか、両方上げるか。うち、どこの指も上げないは〝ツインパワー〟になってしまうと思わせることでつぶす。薬指、小指どちらか一方を上げるって選択は私が数あてするって言うことであの状況で一番当たる確率の高い17、ああ、私の指は8本上げてるって前提だけど、それでつぶす。結果あなたにとって一番リスクが低いのは2本とも上げることって誘導するわけ。まあこれは、おじいちゃんの受け売りだけどね。」

 なるほど、可能性を1つずつつぶし、心理的に誘導する。加えて薬指は中指や小指と一緒に動かしたくなるものですから、そういった意味でも落合さんの思考が2本とも上げるに傾いたのかもしれませんね。カナデさん、恐るべし。

「くそっ。【るせーどーで〝11〟】。」

 落合さんは数あてを仕掛けましたが、カナデさんが上げた指の数は1本のみ、合計は9。

「あなたはもう詰みよ。」

 カナデさんは再び数を宣言します。


 Turn 16

 Tasuku 1pt        Kanade 10pt 

 【〝9〟】

 R()()()()()         R●●●●●

 L()()()○●           


 投影終了。晴れの神(アマテラス)は消失するが教室自体は西日のオレンジ色に染まっている。

 落合君が序盤は押していたこの試合。でも蓋を開けてみれば、カナデの圧勝だった。特に特性を使って一気に流れが傾いた。

「私が勝ったから、万倉さんとの勝負の辞退はなし。」

「まだだ。もう一回。」

「別に構わないけど、後日の方がいいな。ほら、負けから学ぶことだってあるよ。あなた今日、万倉さんにも負けたわけだし。」

「そんなの必要ねえよ。もう一回。」

「わかった。それはそうと1つ聞いていい?」

「何をだ。」

「なぜ、あなたがそこまでして十指選になりたいの? 今のあなた、どこか焦っているようにみえるんだけど。」

 落合君は一瞬沈黙。俺も何となく感じていたことだけど、図星だったみたいだ。

「勝負を挑んでおいて負けて、何も語らないのも野暮か。」

 彼は開き直ったように語り始める。


「妹のためだ。」



次回は12/16までに更新予定です。

たぶんその次は設定集、その次が一週休む予定です。

(ちょっと先まで展開を書いておきたいためです。)

よろしくお願いします。

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