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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第4章 中学入学編Ⅰ
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第54話 陽光

たぶん今回の投稿で1分ずらし更新は4章前の連続記録を塗り替えるはず。前回の記録はスマホの不調で無念でしたが、今回はそのリベンジなるか。(この話を執筆してるときはうまくいくかわからないのでここでとどめます。)

それでは本編です。

「それはあなたの意思? それとも万倉さんの差し金?」

 カナデは落合君にすぐさま聞き返した。

「察しがいいな。提案されたのさ。そこまで十指選の座にこだわるなら、アンタを倒せってな。そうして万倉先輩との勝負に出させなければ、不戦敗。自動的に万倉先輩の勝ちで十指選の座が一つ空く。そこに俺を推薦してくれるんだとさ。」

 落合君の答えを聞いたカナデは何かを察したようだ。俺は逆にあれって思った。

「そうか、あなた知らないのね。この際教えといてあげるけど、私が仮にこの試合を受けて負けたとしても、あなた十指選になれるか別。」

「どういうことだ?」

「そこにいる一誠を倒さないといけないから。」

 俺の疑問もまさにそこだった。最終的に俺を倒さないと十指選にはなれないって話は千草さんや士義さん、万倉先輩、そしてカナデも知ってそうな内容。つまり、十指選の中で決まったことなんだろう。それをいまさら推薦に変えることはできるのか。

『おそらくですが。万倉さんは初めから彼を推薦するつもりはないのでしょう。』

 瞬きの合間にノーデがつぶやくが、どういうことだ。

『落合さんが勝つとは微塵も思ってないということです。おそらくそれを一度戦って察したのではないのでしょうか。彼女の真の狙いはおそらく情報収集。カナデさんの手の内を知りたいのでしょう。』

 なるほどな。ということはこの様子をどこかで見ているのかもしれない。

「こいつを?」

 俺の瞬きが終わると、落合君は俺を一瞬見て笑う。

「大した事なさそうだな。アンタを倒せれば余裕だろ。」

 なんか、むかつく。

「そ、そんなことないです。九山君は強いです。」

 ナユユが立ち上がって反論する。珍しいな、初対面の人に積極的にしゃべるタイプじゃないのに。

「そうだ。一誠殿はそう簡単に負けるような男ではない。」

 千草さんも。え、なんかうれしい。

『まあ、半分は私の力ですがね。』

 ノーデ、その通りなんだがそれは一言余計だ。

「そんなのはどうでもいいぜ。で、勝負を受けるのか受けないのか、どっちなんだ?」

「そんなの、受ける一択でしょ。」

「決まりだな。」

 そういうとカナデと落合君はお互いの腕輪に自分の技板を通す。同時に教室の投影装置が起動、準備が整った。

「先攻はあなたからでいいわ。」

「その余裕、いつまで持つかな。」

 机2つ分挟んで向かい合う二人。その二人を西日が照らし、一瞬の静寂が訪れる。この瞬間、1年Dクラスの教室でする音は2つ。帰宅する学生の話し声、そして窓から入り込む風がカーテンを揺らす音。窓から見えるテニスコートでは今まさに試合が行われようとしている。右手にラケットを持ったテニス部部員が左手でボールをバウンドさせ、上に放り投げ、ボールはすぐ減速し空中に止まる。

 そこにラケットの接触音が加わった瞬間。

「いくぞ。」

 勝負が始まる。

「【るせーどーで〝ビーム〟】」

 黄色い一筋の光がカナデの左薬指に当たる。落合君の掛け声、万倉先輩に登録されたやつのままなのか。

「確かそこが、アンタの十指選の位置だってきいたぜ。」

「変な気遣い、しなくていいの。」

「九山っち、あの技初めて見たっすけど、どういう技なんすっか?」

 本庄君が俺に質問する。

「あれは〝ビーム〟、相手のどこか1つの指を指定して上げた状態で固める技だよ。」

「1つだけ? 〝晴れ〟とかと比べてコスパ悪くないっすか。あっちの方が何個も固められるし。」

「正直俺もそう思うけど。あの技は何回も打たれると厄介で。」

「【いっせいなで〝晴れ〟】」

 カナデの攻撃。落合君は3か所かかったが、動じることなく2発目の。

「【るせーどーで〝ビーム〟】」


 Turn 3

 Tasuku 0pt     Kanade 0pt 

【〝beam〟Lv.1(S1)】

 R●○●●●         R●●●●●

 L●()()()●         L●()()


 落合さんの右人差し指から発せられた光の向かう先は、カナデさんの左人差し指。

「今度は左の人差し指。中指をとばして上げづらい位置を。わざとでしょ。」

 カナデさんの発言はもっともで、薬指というのは単体で一番上げづらい指。周辺の中指や小指などと一緒に動かしたくなるものです。しかし、一本飛ばして人差し指となると、神経を使うでしょうね。

「そういう戦略だぜ。」

「にしても、毎回掛け声つけるのね。〝ビーム〟なら指の上げ下げは関係ないからつけなくてもいいのに。」

「……そういう戦略だぜ。」

「なるほどね。【いっせいなで〝雨〟】」

 カナデさんの宣言で放たれる水滴は落合さんの小指2つ、そしてカナデさん自身の中指、小指を固めています。攻撃と上げづらさ回避で今の指の状態を維持するのも兼ねているのでしょう。

「【るせーどーで〝ハイビーム〟】」

 落合さんの宣言とともに、カナデさんの水滴に覆われた左中指から水分が蒸発、そして一気に日焼けしていきます。確か〝ハイビーム〟は上げて固められた指を下げて固められた状態に変更する技。

「固まっている状態を変える技、でもそんなものに何の意味が……。」

 そう言いかけたカナデさんは、落合さんの指を見て悟ります。

「〝ツインパワー〟ね。」


 Turn 5

 Tasuku 0→5pt     Kanade 0pt 

【〝high beam〟Lv.1(S1)】(T.P)

 R●●●●()        R●●●●●

 L●()()()()        L●()()()()


 落合君に5ptが入る。

「上げやすくしてやったぜ。」

「生意気。」

 カナデが押されてる。

「【いっせいなで〝雨〟】」

 落合君の指は一本もかかっていない。でも、カナデは自分の左親指を固めた。〝最高の手術〟の布石だろう。でも。

「【〝最高の手術〟】」

 落合君に先にやられた。これで落合君の手術ポイントは10pt。

「ならこちらも、【〝最高の手術〟】」

 これでカナデも5pt。〝シールド〟分は確保した。お互いに全部の指が動く今、次で何か仕掛けるのは間違いない。

「〝シールド〟1枚あるから、並大抵の攻撃は防げる、そう思ってるだろ。でもそれが油断だぜ。」

 落合君は宣言する。

「【るせーどーで〝サンシャイン〟】」


 Turn 9

 Tasuku 10→0pt     Kanade 5pt 

【〝sun shine〟Lv.5(S2)】

 R○○○○○        R●●●●●

 L○○○○○        L○○○○○


 落合さんの前に出現した太陽は、通常の〝晴れ〟のときより強く輝き、カナデさんのすべての指を焼け焦げさせてゆきます。確か、〝サンシャイン〟は相手のすべての指を上げた状態ですべて固める技。しかも同じ10ptで放てる〝ブラックホール〟とは違い

「これは攻撃力S2、〝シールド〟1枚じゃあ防ぎきれないぜ。」

 とはいえ、デメリット効果として5ターン後に相手の上がっている指はこの技の効果で固まっていなくともすべて回復するため、発動前の状態に戻る〝ブラックホール〟とは使い分けが重要です。

 さて、今カナデさんの思っていることはこうでしょう。

 たとえ〝シールド〟を張ったとして、攻撃力を落とし〝手術〟で治る状態になったとしても、指が全滅するのはよくない。だから。

「……やるしかないわね。」

 彼女は宣言します。

「特性発動!」


補足:〝サンシャイン〟は攻撃力S2なので最後のカナデの指のイセノ表記は攻撃が通る場合、すべての指で○の2ドット(あとがき欄ルビが振れないのでこう書かせて)です。あくまで、攻撃が通る場合。

次回は12/9までに更新予定。よろしくお願いします。

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