第53話 部活紹介
普段なら何日か前にはある程度載せる話ができていて、載せる日は見返してちょっと修正するだけなのですが、最近忙しかったため、今回は本日出来立てほやほやの話です。
それでは本編です。
「あいつ無謀だよな。相手は副会長だぜ。」
「俺たち1年が敵う相手じゃない。さっきのレクチャでもそうだった。」
万倉先輩と落合君を取り巻くギャラリーは口々にそういう。そんな中、一人だけ違うことを言った。
「万倉さんの特性、わかったかも。」
それはギャラリーの中にいる、カナデの声。俺は思わずそこまで近づいて聞いた。
「勝負、見てたのか?」
「うん、面白そうだったから。」
「どんな感じだった?」
「一誠がやった時と同じ。」
「同じ?」
「そう。数あてが無効化されて、〝火葬〟、〝ドラゴンフレア〟の流れで彼は負けた。違いといえば決着が早かったくらい。でも、今のでだいたい万倉さんの特性、察しがついた。」
「えっ、わかったの。教えてよ。」
「いや、まだ確証はないの。だから私との勝負で彼女の特性を丸裸にしたい。」
「はあい、そろそろ部活紹介の時間ですよ。一年の皆さんは整列。」
上戸先輩の一言ではけていく一年生。
「戻りましょう。」
「うん。」
俺はクラスの列に足先を向けて2、3歩歩き、後ろを振り返る。すると万倉先輩が落合君に手を差し伸べていた。
「ほら、立ちなさい。さっきの威勢はどこへ行ったの?」
「うるせーな。今日は負けたけど、これで終わると思うなよ。」
すごい、アニメでよく聞く敵の捨て台詞を吐いている落合君。そんな彼が立ち上がった瞬間に万倉先輩は耳元で何かをささやいて、彼は少し驚いている。
「はあい、九山君もさっさと整列してくださぁい。」
上戸先輩に言われて、急いで俺はDクラスの列に並ぶ。さっき何をささやいていたのかは気になるが、仕方ない。
その後ほどなくして部活紹介が始まった。司会は引き続き上戸先輩。いつの間にか生徒会以外の上級生もステージの前に待機している。
「まずは運動部からです、どうぞ。」
待機勢のうちの1グループが壇上に上がった。バットにグローブを携えて。
「トップバッターは文字通り野球部です。日々の活動はキャッチボールやバッティング練習、あと試合もやってます。甲子園出場を目指して、部員一同日々汗を流しています。経験者はもちろん、初心者も大歓迎、かくいう俺も一年から野球を始めて、ガリガリでしたが、今となってはかなり筋肉つきました。」
そういって説明している部員は腕をまくり、力こぶをつくる。女子からはキャーっていう歓声が聞こえた。
「筋肉に興味のある方も、あとマネージャーも募集しているのでぜひ見学、体験入部にいらしてください。」
「以上野球部でした。続いて、陸上部ですね。」
と言って登場したのはまさかの。
「実は陸上部でもある万倉よ。実は生徒会と掛け持ちしてるのよ。」
意外、でも陸上部といわれたら、なんか納得する。あんまり目線をやらないようにしていたが、万倉先輩の太もも、結構太いし。
「活動としては距離こそ違いはあるけれど、基本走る。それだけ。経験者で差があるってわけでもないし、ストレス発散にもいい。一応、大会にも出るけど、そこは任意。自分のペースで大丈夫だし、私のように掛け持ちでもいいからまずは体験入部してみて。私もみっちり鍛えてあげるわ。」
そういって陸上部の説明は終了。一定数のざわつきがあるのは需要の表れか。
この後、サッカー部、テニス部、バレー部、バスケ部、剣道部、柔道部などなど、運動部の紹介が続いた。
「むむ、やはり剣道一択だな。」
千草さんがそう言ってたのが聞こえた。彼女は経験者だし、そうだろうな。
『一誠は運動部とか興味ないんですか?』
「興味はあるけど、入りたいっていうとどうだろう。それに俺が一番入りたいと思っているのは。」
「続いて文化部ですぅ。」
吹奏楽部、演劇部、図書部、美術部、家庭科部、はやりのEスポーツ部などなど。そしてやっと俺が気になっている部活が紹介される。
「〝イセノ〟部の部長をしています、府中です。この部活の目的は何かをかけての勝負ではなくて、〝イセノ〟を純粋に楽しむことです。といっても一応大会に出場して、目指せ、全国制覇っていうのもありますが。エンジョイ勢でもガチ勢でも気軽に声をかけてくれればと思います。」
「あの人確か……。」
「元十指選の府中本町さんだね。かなり強いよ。」
大数君が言った。
「大数君は決めてるの? 部活。」
「いや、いろいろ体験して決めようかなって。九山君は?」
「俺は、〝イセノ〟部が気になってて。」
「そうか、好きそうだもんね。」
「うん、一回逃げたこともあったけどやっぱり好きだった。それにこれから、もっと強くならないと未来は切り開けない気がするんだ。」
「未来ね……。いいと思うよ。」
意味深の大数君の表情が少し気になった。
部活紹介も終了、そして体育館の行事も全て終了。一年生はそれぞれのクラスの教室へ。戻るとさっそく今後の行事について説明を受けた。授業は明日から、そして一週間後にはオリエンだそうだ。
一日が終わった。
今日から体験入部できる部活もある。〝イセノ〟部も確か今日からだったはず。
「大数君、このあと……。」
「ごめん、今日は用事があって。」
手を合わせてそういった大数君は荷物を取りまとめて帰っていった。仕方ない、他をあたるか。そう思っていたところに。
「九山っち。」
話しかけてきたのは薄赤色の短髪で小柄。名前はそう、本庄君。
「今日すごかったっすね。〝イセノ〟の試合。」
「負けちゃったけどね。」
「いやいや、相手は生徒会ナンバー2。そのあと試合を吹っ掛けて即負けしたどっかの誰かさんとは大違いっすよ。」
本庄君は小柄な割に声は大きい。これじゃ聞こえるだろと思ったら案の定、落合君がこっちをにらんでくる。本庄君は「じょ、冗談っすよ。」と笑いながら自分の発言を撤回する。
「で、本題っす。部活一緒に回ってみないっすか?」
「そうだね。2人でいいかな。ほかに誘える人がいれば。」
俺は周囲を見渡した。
教室に残ってる男子は俺と本庄君、落合君だけか。落合君にはちょっと声かけづらいけど……。女子はというと、カナデ、千草さんとナユユと固まって話しているだけ。意外とみんなすぐに部活見に行ったのか、それか帰宅部かな。
そして教室に唯一残っている女子陣に近づく一人の男。それに気づいたナユユが口を開く。
「えっと、落合君ですよね。」
「むむ、もしかして拙者に用か?」
千草さんが警戒している。そういえば自己紹介の時、落合君は盛大に告白していたな。
「アンタじゃないぜ、用があるのは三好さんの方だ。」
落合君はナユユと千草さんから目線をカナデの方に向ける。
「え、じゃあ、私に告白するの?」
にやけ顔で応じるカナデ。たぶん面白そうくらいな感じで、断る気満々だろう。
だが、彼の思惑は違ったようだ。
「アンタと勝負したい。そして俺が勝ったら、万倉先輩との勝負を辞退しろ。」
実はここまでが当初想定していた2話前のサブタイトル「宣戦布告」の回でした。思ったより長くなり分割、作者の見通しが甘かったですね。
次回は12/3までに更新予定です。余裕をもって更新できるよう頑張ります。よろしくお願いします。




