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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第4章 中学入学編Ⅰ
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第42話 自由の女神

今回はバトル回です。

それでは早速本編です。

 「案ずるな。母上から簡単にこのゲームのルールは教わっている。」

 とは言っていたが相手は初心者。圧倒して勝つのは抵抗もあるし、勝負を早く終わらせる手っ取り早い手、それは。

「俺は今からどこの指も上げない。だから……。」

「心配には及ばぬ。そんなことをしなくても、私なら一誠殿の指の上げ方をすぐに分析し、出す数字を当ててみせよう。」

 とかなり自信がある旨を千草さんは淡々と言った。

「でも……。」

「勝負をするからにはそこは譲れない。正々堂々、いくら体調が悪いとは言っても勝負は一度きり。私は全力の一誠殿と戦いたい。一誠殿はどう思っている?」

俺も好き好んで負けたくはない。でも、状況が。

『一誠、今の最善は勝つことです。』

 ノーデ。

『この現象は刀型の〝イセノ〟投影装置が主な要因でしょう。となると〝イセノ〟の勝敗が何かしらの影響を及ぼす可能性もある。例えば、私が耐えられないほどの電波が発せられ消滅するというような……。』

「それはだめだ。それだけは。」

『落ち着いてください。こういうのは勝ったら一誠の方がハッピーエンドはお決まりでしょう。あなたが納得できる試合をしてください。』

 苦しそうに、それでも精一杯の笑顔でノーデはいった。こいつは自分のことよりも俺の方を優先する節があるから、注意はしているけど。でもノーデの言うことも一理ある。

「俺も負けたくはない。やるからには勝つよ。」

 今は目の前の彼女の気持ち、そして俺の本当の気持ちに従って。

「それでいい。ではゆくぞ。【いっせいのーせ〝4〟】」

 勝負が始まった。

 千草さんの掛け声は「のーせ」か。俺は右の上から3本の指を上げて外れた。

「【いっせいのーで〝雨〟】」

 その宣言とともに部屋の天井にできた雲から水滴が降り注ぐ。


Turn 2

Tigusa 0pt    Issei 0pt 

            【〝rainy〟Lv.1(S1)】

 R○○○○○        R○○○○○

 L○○()()()        L○○○○○


 千草さんは一誠の〝雨〟に左の下3か所だけかかりました。

「【いっせいのーせ〝3〟】」

 そしてまた数あて……。一誠は右小指以外の9本を上げているので外れですが。

「【いっせいのーで〝4〟】」

 この宣言に千草さんはどこも指を上げていません。つまり、〝ツインパワー〟で一誠に5ptが入る。

「【いっせいのーせ〝8〟】」

 一方の千草さんは技を使ってこないですね。これも一誠は2本だけ上げただけで外れましたが、ちょっと不気味でもあります。でもやはり、2つしか技が使えないというのは不利すぎるのでしょうか……。


Turn 5

Tigusa 0pt    Issei 5pt 

【〝8〟】

 R●●●●●        R○●●●●

 L●●()()()        L○●●●●


「【いっせいのーで〝4〟】」

「うむ、大体わかった。」

 千草さんは何かを悟った顔をしている。

「一誠殿、もしかして私が数あてしかしていないから、それを憂いてそなたも先ほどから数あてしかしないのか?」

「……そうだな。」

「ならいらぬ心配だ。今から私は技を使う。一誠殿も全力でこられよ。」

「わかったよ。」

「最も、あと私のターンで数えて2ターンで、大体決着はついてしまうが。」

 あと、2ターンでだと。俺は今〝シールド〟分の5ポイントを持っているからそう簡単に決着がつくとは思えない。

 でもそんな常識は彼女には通用しなかった。

 千草さんは右手を高らかに上げて、左手を抜いた。この仕草は〝タイムスリップ〟、でも彼女の宣言した技はそれをはるかに超える技。

「【〝究極の(アルティメット)タイムスリップ〟】」

 その宣言とともに赤いオーラに千草さんの右手が包まれる。そしてまるで漫画の主人公が覚醒でもしたかのような、赤い電撃と効果音、そして本物かと勘違いしてしまうくらいの風圧が俺を襲う。

「いきなり、か。」

 でもどうして。

『どうして、驚いて、いるのです?』

 ノーデが質問する。そういえばこいつはこの技をまだ知らない。というか、だんだん悪化しているのか、ノーデの言葉がとぎれとぎれだ。

「本当に大丈夫かよ、ノーデ。」

『彼女が、〝アルティメットタイムスリップ〟を使った瞬間から、だるさが増したような気がします。あの技の影響か、もしくは、彼女が片手になって勝ちかけていることが要因か……。』

いずれにしろ、俺が勝った方がいいってことか。

『それで、私のさっきの質問ですが。』

「ああ、〝アルティメットタイムスリップ〟はタイムスリップって名前の通りの効果、片腕にして、すべての指を全回復させる効果にプラスして,宣言から次の1ターンにかけて〝究極化〟っていう無敵状態に入る技だ。この状態になると、そのあとに発動する技は全部S3よりも大きい攻撃力、防御力になる。」

『えっと、つまり〝シールド〟何枚分かでは語れなくなると。』

「そう。しいて言うなら(シールド)無限ってところか。でも〝究極化〟そのものは50ptっていう莫大な手術ポイントをためてようやく発動できる技、普通は使えない。それを可能にするのが。」

『〝アルティメットタイムスリップ〟。』

「そう。これも〝究極化〟に並ぶレベル10の変化技。最上位の技だけど、それゆえに技板はレア、持ってる人は少ないんだ。それに使う条件も厳しい。普通なら、まだ使えないはずなんだけど。」

「何が起きたという顔だな。」

千草さんは俺のリアルの表情を読み取ったのだろう、淡々と解説を始める。

「この技は普通、自分のターンで数えて15ターン以上経たないと使えないらしい。でもその経過ターン数の制限を取っ払うのがこの特性。」

 千草さんは右腕を上げ、腕輪を見せつける。あの腕輪に、特性が付与されているんだろう。そして彼女の後ろに何かいる。

自由の女神(リベルタス)だ。」

 それは某合衆国にある像に似ている。だが、等身大で顕現しており、〝アルティメットタイムスリップ〟の影響もあってか、優しさよりも威圧感が勝っている。

 そして、それら〝イセノ〟の状態は、目の前の彼女にも影響を及ぼしたんだろう。

「拙者の次のターンで決着をつけようぞ。」

 それは、彼女が勝負の中では初めて見せる、感情が乗った言葉だった。



ようやく2つ目の特性、出すまでまあまあ時間かかってしまったな……。

次回は9/9までに更新予定です。

よろしくお願いします。

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