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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第3章 ともとして(小学生編Ⅲ)
36/179

第33話 オンラインにて

祝累計1000㎴突破!

これもひとえに読んでくださる皆様のおかげです、ありがとうございます。

いや、少ない、まだまだだと思った方もいるかもしれませんが、作者的にはそもそも読んでくれる人がいるんだなと思っていたので、こういうのは1つずつ祝っていきます。

それでは本編です。

 ネットに接続し、ビデオ通話が始まる。事前にこの通話のリンクはカナデの方にも鋭人経由で送信済み。

「このPCで通話を始めたら、あとからカナデの方から入ってくるって父さん言ってたな。」

 今、カメラに写っている俺の姿だけがPCの画面いっぱいに表示されている。右下の時計の表示を見ると、まだ事前に言っておいた時間まで4分ある。

「なんかこういうのはこういうので緊張する。」

『オンラインで話すのは初ですか?』

 目を閉じるとノーデが質問してきた。

「音声だけなら試したよ。あとメールもか。それこそこの腕輪で。」

 俺は一旦目を開けて、自分の腕輪をさする。まだ使い始めて一週間だけど、少しずつ愛着がわいてきている。

『トーモさんとこの一週間密にやり取りしてましたからね。』

「俺がこういうハイテク機器初めてで、試せるのが今のところトーモくらいだから。あとナユユとも1回連絡し合ったな。」

『ナユユさんは由多さんの腕輪をそのまま使うようでしたね。5、6年前の初期モデルですが、まだ大丈夫なんですね。』

「まあ中身はアップデートしてるみたい。でもこう、自分の姿映しながらやり取りっていうのは初めてだよ。」

本当、自分の顔をこんなに凝視する機会なんて滅多にないだろう。

『ここ10年でかなり浸透しましたからね。中学に入ったらオンライン通話での授業もありますしね。』

「えっ、そうなんだ。まあでも会うなら、立体投影の方がよかったな。」

『二次元より三次元ですか?』

「なんかそれだと、別の意味に捉えられそう。まあ、漫画とかラノベとか好きだけど決してそうではない。俺が言いたいのは、一番は面と向かって話すのだけど、それに一番近い形って意味だぞ。」

『なるほど。しかし、まだ一家に一台、投影装置ってわけではありませんからね。』

「聞こえてますか?」

 PCのスピーカーから女の人の声がした。PCの画面を見ると、俺のとは別にもう一人分枠ができている。名前の欄は「三好(みよし)カナデ」。

 自分の心臓の鼓動が高鳴ってる。でもまだ声の主の姿は見えないからカナデだと断定はできない。

「聞こえてます。カメラオンにしてください。」

 敬語で返事されたから、俺も思わず敬語になった。別の人でも大丈夫なように。

「はーい。」

 それまで黒い画面が一気に鮮明になる。中央に映るのは長い金髪を黒いヘアゴムで止め、薄手のピンクのTシャツを着た女性。凛とした表情でこちらを見つめている。五年前ならかわいいだったけど、今の感想はきれい、この一言に尽きる。

 カナデは最初、無表情だった。でも俺の姿を確認したのか、少し笑みをこぼしながらつぶやいた。

「一誠、だよね?」

「そうだよ、カナデ、本物のカナデなんだよな?」

 どこか面影があるけれど、5年たつと断言できない。知っているようで知らない人って感じだ。

「なに、まるで偽物がいたような言い草だけど。」

「偽物っていうか、幻想というか、夢というか……」

「なにそれ、変なの。」

 カナデは冗談と思って笑ってるけど、目をつむれば幼いカナデの姿をしたノーデがいるからな。

「いろいろ変わってるからちょっと驚いたんだ。」

「さすがに変わるわよ。もう一誠と最後に会ったのがだいぶ前だし、いろいろとね。」

「髪、伸ばしたんだね。」

 瞬きで映るノーデの髪型はショートカット、比べやすい。

「その方が、似合うかなって思って。」

「似合ってると思うよ。」

「一誠は、その独特な1のくせ毛、変わってないね。一目でわかったよ。」

「見た目はね。そういうカナデは、結構、成長したというか。」

「ふーん、もしかして、今胸のあたり、見た?」

 カナデがニヤリと笑う。いや確かに、子供の頃に比べて膨らんでるなとは思ったけど。

『目が踊ってましたね。特にカナデさんの真ん中あたりをチラチラと。』

 一瞬の瞬きでノーデもいじってくる。

「い、いや。見たっていうより、視界に入ってくるでしょ。」

 俺がしどろもどろしていると、後ろでガチャっと音がした。父さんと母さんだ。

「お、もう始めてるんだな。」

「こんにちは、カナデちゃん。」

「お久しぶりです、一誠のお父さん、お母さんですよね。」

「いやあ、久しぶりにこうして会うけど、成長したね。この前まであんな小さな子だったのに。」

「何年前の話ですか。まあ、育ち盛りですからね。お母さんの方は相変わらずエプロンなんですね。」

「すぐ料理に入れるし、気にいってるのよ。それにしても元気そうでよかったわ。」

「はい。こっちでも、うまくやっているので。」

「そっちは言葉や文化が違うから苦労したでしょう?」

「まあ、引っ越して最初のうちは。でも、いろんな人に助けてもらって、今では楽しく過ごせてます。こっちの友達もできましたし。」

 そうなんだ、ならよかった。

「カナデちゃんのお父さん、お母さんは元気してる?」

「はい、父は仕事で、母は今いて。」

 そういうとカメラが切り替わり、カナデと同じ金髪のきれいな女性が映る。

「母のルーシーデス。お久しぶりデス。」

 片言の日本語、カナデのお母さんはあっちの国の人だったな。

「一誠、覚えておけ。子は親に似るんだ。カナデちゃんも成長するとああなるぞ。」

 父さんが俺の耳元でささやく。

「それって私の時もそう思ったの?」

「えっと、それは……。」

 母さんの質問に戸惑う父さん。

「あとでゆっくり話しましょうか。」

 ニコリと笑って言う母さんに父さんは小さく「はい。」と返事して黙ってしまった。

「心配してたけど、あい変わらず元気そうでよかったわ。」

「ワタシの実家がこっちにありますカラ、カナデにも言葉や習慣は一通り教えマシタ。」

「じゃあ、安心ね。さて、顔を見れたことだし、たぶん子供たちの方が積もる話もあることでしょうから、私たちは退散するとしますか。」

「そうデスネ。会えてよかったデス。」

 母さんはそういうと、父さんを連れて部屋を後にした。このあと2人で長い話でもするんだろうか。そしてカナデのお母さんもいなくなって、俺とカナデだけになる。

「前置きはここまでにして本題。私と〝イセノ〟で対戦したいんだってね。」

「鋭人から聞いたのか?」

「うん、(えい)(にい)からね。どうする? 早速やっちゃう?」

 確かに勝負はしたい。でも、5年もたって、俺は今のカナデを知らない。

「少し話してからにしない? いろいろと伝えたいことがあるし。」

 勝負はまず相手を知ってから。それに5年前、勝負に挑んで勝てずに別れてしまった件についても言いたい。

「やっぱりそうよね。私も話したいこといっぱいあるし。」

 こうして近況報告会が始まった。



やっとカナデ登場、そしてやっとここまでかけました。

次回は7/1予定。

物語はまだまだ続きます、今後もよろしくお願いします。

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