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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第2章 理由多き天使(小学生編Ⅱ)
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第23話 姉弟の再会

本日もよろしくお願いします。

それでは本編です。

 2030年12月27日。

 この日、俺とノーデは神杉神社に来ていた。

 神社は大みそかを迎え、ちらほら人がいた。ここに来る人の大半は参拝する人だが、俺たちはそうではない。

 近田先生が教えてくれた、ノーデのことに関して一番かかわりのある人。その人と話す約束をしているのだ。いろいろとあっちも年明けの準備の関係で今日になってしまったが。

「本殿は工事中で入れないけど、今日会う人はどこにいるのかな。」

『離れが残っているのでそこではないですか。』

 俺はこの神社で唯一、五年前から形を一切変えていない離れに向かった。その途中、一面砂利で覆われた一区画を見て、俺は思い出していた。

『どうしたのですか、足を止めて。』

「ちょうどここだった、五年前、無限の巫女さんが〝イセノ〟で対戦していた様子を俺が見たのは。」

 カナデといった夏祭りのあの日。催し物でちょっとした大会があった。俺は出場できなかったけど、この前見た、近田先生が出していた〝白衣の天使〟を従えた巫女さんの姿は鮮明に目に焼き付いている。

「九山一誠君、で合ってるかな?」

 そう声をかけてきたのは、平安貴族が来てるような服装でたぶん四十歳くらいの黒い長髪の男性だった。薄ら笑いを浮かべていて優しそうな人だ。

「はい、そうですけど。あなたが、神杉(かみすぎ)士義(しぎ)さんですか。」

「そうだ。」

 この人が神杉由多さんの弟にあたる、(かみ)杉士(すぎし)()さん。現神杉神社の宮司、つまり神杉家のトップでノーデのことをおそらく一番知っているであろう人物。

『トップの威厳がありますね。それはそうと右の人差し指に指輪をしているんですね。』

 瞬きを挟んだら、ノーデはまた変なところに気づいている。

「要件は聞いている。離れの中に案内しよう。」

 士義さんからそれだけ言われて俺たちは中に案内された。中は、お祓いの時の来客用だろうか、小さい木の長椅子が何列にも並べられていて、中央に大きな人物の銅像が鎮座している。

「あの像は、もしかして。」

「この神社で祭っている神、神杉有弦(ゆうげん)の像だ。」

 その像は左右の手を広げていて、ちょうど銅像に日の光が当たっている。穏やかな表情だけど、どこか見透かしたような眼で光の先を見つめており、ほかの偉人の像と比べて、何となく違うオーラを感じる。そして何より特徴的なのは、細かく再現された腕輪とそこに1つ1つつり下がった技板だ。

「未来を見据え、この地方の幾多の危機を救ったとされる。また〝イセノ〟における数当てもその時代、最も強かったと聞く。」

「授業でも、聞いたことがあります。有名ですよね。」

 でも、どことなく士義さんに似ている。祖先だからか、かな。

「要件は姉上のことだったね。いや、姉上の遺産とでもいうべきか。」

「はい、俺の頭のチップにある人工知能、AIのことで。」

 士義さんもノーデのことは一通り話がいっている。近田先生が事前に話してくれた内容だとあらかたのことは五年前の由多さん本人の口からきいていたようだ。

「その件については安心したまえ。君が心配する必要はない。」

「そうですか。でも、ノーデが生きられるリミットは最大でも一年、つまりあと9か月……。」

「ああ、だが心配する必要はない。」

 士義さんは断言した。それは俺を本当に安心させるために言っている、ただそれだけなのか?

「そのリミットまでには君の目標は達成されるだろう。」

「でも、俺は自分で決めた目標は果たせるように頑張りますけど。実際に9か月の間にカナデに勝てるかどうかわからないし。それにノーデとは9か月といわず、これからも……。」

「君の気持ちも理解できる。私も考えなしに言っているわけではない。解決策がある。」

「そうなんですか。どんなふうな策ですか?」

「今はまだ言えない。準備に時間を要するのだ。だが、タイムリミットの来年の9月ごろにはすべてが完了する。そのころには姉上、君がノーデと呼ぶ存在は記憶を保持したまま存在できるだろう。」

「そうですか! それはよかった。」

『一誠少し、変わってください。』

 脳内空間でノーデが俺の喜びを遮った。

「どうしたんだよ。お前がずっといれるよう準備してくれてるって。」

『話ができすぎです。私自身で確かめたい。』

「それは思ったけど……。でもあれだけきっぱりと言ってるんだ。たぶん大丈夫だとは思うけど……。」

「お願いです、由多さんの弟、私にとっても家族のような人です。話してみたい。」

 ノーデにも思うところがあるのだろう。

「わかったよ。Operation code 憑依(チェンジ)

 俺は体を動かすのをノーデと交代し、俺自身の意識は脳内空間に移った。右目を閉じ、左目の視界だけが入ってくる。

「今の君は、姉上か。」

 士義さんは俺の雰囲気が変わったことを瞬時に察知した。

『ほう、私が出てきたことを瞬時に見抜くとは。マスターにでも聞いたのですか?』

「いいや、知ってた。とうの昔から。」

 どういうことだ。近田先生からノーデとの入れ替わりを聞いていないということは、そのことも5年前に由多さんの口からきいたのだろうか。それともこの人ももしかして、神杉家の特定の人だけが持つ予知能力を持っているのか。

『単刀直入に聞きましょう。あなたが準備しているという、私を存続する方法、それは一誠に危険を強いるものですか?』

「危険、それはない。姉上も、一誠君ももれなく幸せな未来が待っている。」

『まるで夢のような話に聞こえる。』

「そうだな、夢のような話、だがいずれ現実になる。」

 お互い、探りあってる。そんな会話だ。

『一つ、勝負しませんか?』

「勝負? どんな?」

「それはもちろん、これでですよ。」

 ノーデは俺のズボンのポケットから技板を取り出した。

「〝イセノ〟で、かい?」

『そうです。勝ったら、その準備とやらの内容を具体的に教えてもらいます。』

「いいだろう。久しぶりの姉弟(きょうだい)喧嘩か。だが、今の姉上では勝てないよ。」

『それはやってみなくちゃわからないでしょう。』

 お互い、落ち着いている。それだけ勝つ自信があるんだろう。


 こうして、奇妙な対決が幕を開けることになった。


正直いうと、このエピソードは書くか迷ってました。

なぜならこの話を書くと、物語が壮大になりそうだから。

でも、納得のいくところまで書いた方がいいだろうということで腹をくくって書くことにしました。

ということで、次回は4/15です。よろしくお願いします。

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