第20話 突破口
今更ですが、R15指定必要なかったんじゃないかと思ってます。グロいシーンなんて序章しかないですからね。まあでも、一応そのままにしとくんですが。
ということで今回もよろしくお願いします。
〝神の防壁〟
それは手術ポイント20ptで張れる永続的な〝シールド〟。その一番の特徴は普通の〝雨〟、〝晴れ〟、そして〝ブラックホール〟さえも利かなくなることだ。
しかし。
「俺の放った〝大雨〟は、普通の〝雨〟として通用してますよね。」
「ああ、だから〝手術〟で治せる。」
近田先生は中指を治しながら言った。
その時女性陣はというと、解説タイムに入っていた。
「いまどっちが有利なのですか?」
「今、というか終始あなたのお父さんペースって感じかしら。」
「でも、〝ゴッドウォール〟って、名前を聞いた感じ、守る技ですよね。普通守りに入ると不利って印象があるんですけど。」
「〝ゴッドウォール〟は特別。あれは簡単に言えば永続的にシールドが2枚分張られている状態なの。だから、攻撃力がS2までの技は防げてしまうの。」
「でもさっき九山君が放ったのは確か〝大雨〟でしたよ。」
「〝大雨〟は攻撃力S3、効果は簡単に言えば3回分の〝雨〟を一気に放つ技ね。でも、〝神の防壁〟はS2、つまりシールド2枚分だからその分攻撃は弱体化して、結局普通の〝雨〟になる。今の一誠が使える技はほとんど攻撃力S1だから、技はほとんど通用しないといっていいわ。」
「じゃあ、どうすればいいのでしょうか?」
「一応、〝ウォール〟って名の付く技はほかの防御技と併用ができなくて、張っている本人が別の防御技、例えば〝シールド〟なんかを張れば消えてしまうけど、それをするには一誠がかなりの大技を打たないといけない。それに、そもそも近田先生はまだ新しく〝シールド〟を張れる分のポイントを持っていないし。唯一〝ウォール〟が普通の〝シールド〟と違うのは数当てが利くこと、だから当てるしかないでしょうね。でも、それも時間の問題ってところかしら。今のままだと、一誠が勝つのは難しい。」
母さんがナユユにそう解説している。
本当に数当て、しかないのか。もしそうなら、俺はこれから2回当てなきゃいけなくなる。でも、先生が〝手術〟で自分の指を治しきったら、必ず俺のポイントを〝トリック〟で奪いに来る。俺は〝シールド〟をしても結局ポイントを消費してしまう。
逆に今の俺の使える技は
Lv.0 手術
Lv.1 雨、晴れ
Lv.2 トリック、シールド、幸運の手術
Lv.3 最高の手術、タイムスリップ、大雨、快晴
Lv.4 狐雨、雹、スーンシールド
Lv.5 ブラックホール、強化シールド
Lv.7 雷魔切り
Lv.9 ゴッドウォール
あとは残りすべてが持ちターン。
通用しそうな技は、〝あの技〟だけど……。
「どうすれば……。」
『一誠の使いたがっていた〝あの技〟を使うのです。』
脳内空間、俺の真正面に立つノーデがそう言っている。
「ノーデ、まだ出てこなくても。」
『いいえ、絶妙なタイミングですよ。ここで一歩間違えば負けます。今回はナユユさんの進路がかかっていますから口を出させてもらいます。』
ノーデの真剣な目。俺はもうわがまま言っていられないと思った。
「そうだな、お前がそう言うのなら。でも、さっきの言葉は。」
『一誠も同じこと考えていると思いましたが。現状の〝ゴッドウォール〟に通用しそうなのは、数当てを除けば、〝あの技〟くらいなものですから。』
「そうだけど、あの技はたしか3つの条件がそろわないと……」
『うち、2つはクリアしてます。1つ目の条件、自分のターンで10ターンの経過。これはもうすでに16ターン目に突入ですからクリア。2つ目の条件、コストとなる〝手術ポイント〟ももう一誠は持っているでしょ。』
「でも、問題は3つ目だ。自分の親指だけを動く状態にしないといけない。でも、そんなの無理だ。今でさえ、6つの指が動くのに。それに、近田先生の特性〝白衣の天使〟で俺の指は治されてしまう。」
『大丈夫です、そこは私に考えがあります。というか、私にやらせてください。』
「どうしたんだよ、急に。」
『いえ、なんでしょうね。由多さんの意思が介入しているはずはないのですが。私がやらなければならない気がして。』
そういえば、ノーデの元って先生の奥さん、〝無限の巫女〟だったな。こいつなりに何か思うところがあるのかもしれない。
「ただし、あの技を使うにしても、1回は数当てして片手抜けしなきゃいけない。」
『そうです、しかも次のターンで当てなければかなり厳しい。まあ、私なら当てられる自信がありますが。』
かなりの自信だな。
「でも、そこは譲りたくない。」
鋭人の時みたいに、こいつに頼りっぱなしじゃいけないんだ。俺一人でも当てられるようにならないとこの先も……。
『……わかりました。このターン当てたら、私に変わってください。』
「考えとく。」
いずれにしろ、このターン当てなきゃいけないってことはわかってる。
「数当てする、それに変わりはない。」
「なるほど、この先〝トリック〟で10Pt奪われるくらいなら、ここで数当てで決めてしまおうという魂胆か。」
近田先生の声。
しまった、口走った。時々やっちゃうんだ。ノーデとのおしゃべりで夢中になると、つい、現実に戻るタイミングを忘れてしまう。
先生にも聞こえてしまったし、100%当てられる自身があるわけでもない。今のうちに詫びるのもありか。
「ナユユ、勝てなかったらごめんな。」
俺は軽い気持ちでそう言った。
「いいえ……大丈夫です。もともとは言い出せなかった私が悪いのですし。負けても私は受け入れます。」
なんで、もう負ける前提なんだ。俺の不利ではあるけれど。
とにかく気を取り直して、当てに……。先生のほうへ、顔を向きかけた。
「ただ、勝ってほしかったな。」
思わずナユユの顔をみた。少し暗い、諦めた目。
そう、懇談のときに浮かべていた表情と同じだ。ナユユにとってはこれは大切な勝負なんだ。俺のわがままでここで負けてしまうことがあっていいのか。
これは俺一人の勝負じゃない。ナユユの人生がかかってる。なら今は最善を尽くすべきだ。俺たちの最善を。
「ノーデ、当ててくれ。」
『一誠、どうしたのですか。』
「負けられなくなった。数当てなら、お前のほうが得意だろ。」
『一誠……。』
「だけど、あくまで一時的な選手交代だ。〝あの技〟は俺がする。俺が〝あの技〟を使って勝つ。それが今の俺のこだわりだ。」
『いいでしょう。しかし、あの技を使う方法、わかってるんですか?』
「まだ、わかってない。でもほら、脳内空間だと現実より時間の流れゆっくりだろ。だから考える時間が欲しい。ほんの少しでいい。」
俺はじっとノーデを見つめていった。
『わかりました、それでいきましょう。ならいいですか。』
「ああ。」
「『operation code 憑依』」
俺とノーデは息を合わせていった。そして、俺は暗い脳内空間に、ノーデは片目を閉じて俺の体の主導権を握る。
「あれは片目モード!」
「一誠も本気のようね。」
お母さんとナユユが反応しているのが、遅れて伝わってくるが今はそれどころではない。
考えろ。俺が今使える技なんて、そう多くない。
親指だけを動く状態にする。普通なら〝雨〟や〝晴れ〟で自分の指を固めるのだろうけど、近田先生にはその手は通用しない。俺に対しての〝手術〟で確実に治されるからだ。しかもポイントは先生にたまるから同じことを繰り返せば、こっちが不利だ。
つまり、先生が〝手術〟をできない状況に追い込む必要がある。いや、〝手術〟はできても俺に対しては無理って状況でもいい。
となると、〝降霜〟? いや、それはそもそも俺はその技の技板を持っていないから使えない。使えたとしても〝あの技〟のコストが確保できなくなるから、もう5ptためる必要が出てくる。
だめだ、わからない。
こうしてる間にも、ノーデはこのターンできっと当てる。いや、ほぼ確実に。あいつの実力は俺が一番知ってる。そして近田先生は次にすぐ〝大雨〟にかかったところを手術して、俺の番が回ってくる……。
待てよ、そうか。
徐々に複雑なバトルになってますが
ぶっちゃけると、この勝負考えるのに半年かかってます。
(勝負内容自体はね、これ書く前の下書きがあってね。)
まあでもこういうのが書きたかったんで。
次回は3/25です。よろしくおねがいします。




