第18話 白衣の天使
何回もチェックしたからずれとかはないはず。
今日からお待ちかね?のバトルです。
よろしくお願いします。
「【いっせいのーで〝晴れ〟】」
一誠の攻撃。腕の振り下ろしとともに〝晴れ〟の日差しがマスターの右薬指のみに降り注ぎます。攻撃をくらった指は日焼けしたように赤くなっています。
「リアルな映像。」
「そうか、由多の使ってたのは当時最新式のもの。プロジェクターと連動して立体映像を投影できるものだった。」
ナユユさんもマスターも驚きをあらわにしています。どうやら、この教室の天井に設置されているプロジェクターが映し出しているようですね。空き教室に置いておくにはもったいない装置です。
「【いせので〝雨〟】
マスターは早口な言い方ですね。そして、マスターの宣言で発生した雨雲から水滴が一誠の両方の小指めがけて落ちていきます。
Turn 2
Issei 0pt Fukashi 0pt
【〝rainy〟Lv.1(S1)】
R○○○○● R○○○○○
L○○○○● L○○○○○
水滴が俺の両小指にまとわりつく。
最初の俺の攻撃で、薬指だけ挙げたのは間違いなく〝ツインパワー〟封じ。俺がポイントを得るのを警戒してるのか。
「なら」
俺は右薬指だけを上げて宣言を始める。
「【いっせいのーで、」
鋭人、俺なりにまねさせてもらうぜ。
「晴れ〟】」
Turn 3
Issei 0pt Fukashi 0pt
【〝sunny〟Lv.1(S1)】
R●●●●● R●●●○〇
L●●●●● L●●●●●
一誠は宣言時に右薬指を下げました。これは鋭人戦のあとに私、ノーデと勝負するうちに身に着けた方法。題して
「なんちゃって〝ツインパワー〟です。」
一誠、自分で言うんですね。
「なるほど、いい手だ。〝ツインパワー〟狙いに見せかけて、それを防ぐにはどこか指を上げざる負えないと私に錯覚させたわけか。」
マスターは冷静に分析。〝ツインパワー〟自体を発動させるのが目的ではないと見抜いていたようです。
「【〝手術〟】」
と宣言。右小指が青く発光します。
ここで瞬きタイム。
「近田先生、俺の動き読んでる気がする。」
『そうでしょうね。今までの攻撃に指1本ずつしかかかっていないのは不自然です。』
「こっちもポイントために行ったほうがいい気がするんだ。」
今は、そうしたほうがいいでしょう。
「【いっせいのーで〝雨〟】」
一誠は新たに自分の右人差し指、中指、薬指を下げたまま宣言しました。これで、もともと〝雨〟でかかっていた小指2本を合わせて、5本の指が固まっている状態です。
「なるほど、自分の指5本を固めて、次のターンで〝最高の手術〟をし、〝シールド〟分の5ptは確保しておこうということかな。」
一誠の狙いが読まれていますね。
「この腕輪なら、由多のあれも使えるはず。」
「あれ?」
「せっかくだ、見せてあげよう。特性を。」
「『特性!』」
再び、瞬きタイム。
『なんです、特性とは。』
「確か特定の人だけが持てるスキルみたいなものだ。でも、俺の周りに特性使うやついなかったから、実際に戦うのは初めてだ。」
『なるほど、それは厄介ですね。』
マスターは左手を掲げて宣言します。
「特性発動!」
蛍光灯よりもまばゆい光が、マスターの後ろからさしてきます。一誠含め、マスター以外の周囲の人間は腕で目を隠します。
「【〝白衣の天使〟】」
その言葉と同時に、光は人の形を帯び、やがて白い翼と装束に身を包んだ水色の長髪の女性へと姿を変えました。
「神々しい、本物みたい。」
「この映像覚えてる、無限の巫女さんが戦ってた時、出てたやつだ。」
「それに、後ろの天使みたいな人、ママに似てる。」
三人が呆気にとられてる中でマスターは静かに宣言します。
「【〝手術〟】」
その言葉を合図に天使は翼を広げ、目をつむり祈るのです。
Turn 6
Issei 0pt Fukashi 1→2pt
【〝operation〟Lv.0】
R●●●●● R○○○○●
L●●●●● L○○○○○
「俺の小指が治ってる。」
左小指が青く発光して、まとわりついていた水滴が消えた。つまり、自由に動かせる状態ってことだ。
「この特性の名は、〝白衣の天使〟。もともとはこの腕輪の持ち主である由多のものだが。効果は、自分だけでなく相手にも〝手術〟を施すことができるというものだ。医者にぴったりな特性だろ。」
戦う前からわかっていたけど、俺は今、〝無限の巫女〟の力に挑戦してるってことになるのか。
でも、あれ?
「うーん? それって先生にメリットあるのかしら。」
母さんの言うとおりだ。先生が俺を固めても、それを先生が治して何か得なんてあるのか?
『いいえ、一誠。メリットはあります。〝手術ポイント〟をよく見てください。』
目を閉じた瞬間のノーデの一言で分かった。
「近田先生のポイントが増えてる。」
〝手術〟したとき空中に表示される〝手術ポイント〟の表示。さっきまで1だったのが2に変わっている。
「そう、この特性で〝手術〟すれば、〝手術ポイント〟は〝手術〟を施した側、すなわち私に入る。」
つまり、このままだと俺はポイントを貯められないってわけだ。
一度に多くのポイントを稼げる技だと〝最高の手術〟があるけど、それは固まった指5本までを治せる技。でも、今使ったら4か所しか治せない。確実に損だ。だから、次に近田先生に〝手術〟されることをみこして。
「【いっせいのーで〝雨〟】」
6か所を〝雨〟にかける。
「甘いな。」
手の指1本1本を互い違いに交差させて組み、天使は祈る。
「【〝最高の手術〟】」
近田先生の宣言ともに、俺の右手の指すべてが治された。
「〝最高の手術〟も……。」
「手術系の技ならすべてこの特性は適応される。」
やばいな。もしこのまま近田先生が10pt持ったら〝ブラックホール〟を打たれる。なんとしてでも〝シールド〟をできるようにしないと。
「もう一度、【いっせいのーで〝雨〟】」
これで、今度こそ俺の指は6か所固まった。俺の〝最高の手術〟で確実に5ptは入る。
だが、近田先生はにやりと笑う。
「素人が手術するものではない、手術は医者に任せておくものだ。」
「なに!」
「【いせので〝降霜〟】」
Turn 10
Issei 0pt Fukashi 7→2pt
【〝frost〟Lv.3(S1)】
R●●●●● R○○○○●
L●●●●● L●●●●●
その名の通り、白く染まった一誠の指。
「とにかく今は【〝最高の手術〟】……。」
一誠の宣言、しかし技板は光りません。
「〝手術〟できない。」
「〝降霜〟は相手の手術系の技を相手のターンで数えて3ターンの間封じる。一誠君に治す手段はほかにあるのかな。」
「……ない。くっ、【いっせいのーで〝晴れ〟】」
勢いよく振り下ろし、一誠は宣言。しかし、マスターの指で新しく固まったところはありません。
「【〝手術〟】」
そして、一誠の指は治され、マスターにポイントがたまっていきます。
『これは厄介なコンボにはまってしまったようです。』
マスターは〝降霜〟で一誠の指の回復手段を封じ、一誠に攻撃以外の選択肢を与えない。さらにどういうわけか、マスターは一誠の攻撃を読んでいて、特性で一誠の指を治しながら、ポイントをためていく。対して一誠は指を治せないどころか、〝トリック〟でマスターとのポイントと交換することもできない。
「【いっせいのーで〝雨〟】」
一誠の攻撃は当たっていません。
『一誠……。』
「大丈夫、まだ大丈夫だ。」
一誠の目はまだピンピン生きています。私が心配するのはまだ早い。
小ネタ
2章タイトル「理由多き天使」は登場人物である由多と今回登場した特性の名前をかけたものです。
次回は3/23です。よろしくお願いします。




