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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第9章
172/173

第163話 これからの話②

人間、やればできるもので。何とかバトル組めたので掲載します。

視点は一誠→ノーデです。それではどうぞ。


「決めるって、どうやって?」


 なんとなく答えは察しているが、俺は決めようといった張本人、落合君に確認する。そして彼は両拳をグーにしてくっつけながら言う。

「もちろん、〝イセノ〟だぜ。」

 やっぱりか。

「〝イセノ〟、ここにいる全員で?」

 カナデが周りを見ながら尋ねると、二人がそれを否定する。

「いや、拙者は辞退する。」

「わ、私もです。私たちは特性を持っていますから。」

 そう、千草さんには〝自由の女神(リベルタス)〟、ナユユには〝白衣の天使(ラファエル)〟がある。

「ってことで俺、尾関山、九山の3人で決めることになりそうだな。だが九山、お前は参戦しない方がいいんじゃないのか?」

 落合君、痛いところをついてくる。

 俺個人としては参戦したい。だけど、負けたらノーデが消える。だからうかつに勝負に参加できないことを、彼はわかったうえで発言しているんだ。

『弼さんは私たちが参加せず、三香さんと1対1となれば勝てると踏んでいるのでしょうね。』

 ノーデの言う通り、そして力量差的にたぶんそうなる。強気な発言なのも、確信があるからだろう。

『私としてはバトルに参加しても構いません。一誠の意思を尊重しますから。』

 そうは言うがな、そんなことでお前を失うのは嫌だ。

「3人でバトルした場合、ノーデさんの負け判定は1抜け、2抜け、どの範囲まで何でしょうか?」

『1抜けだけが勝利、それ以外は全部負け、でしょう。少なくともそう考えた方がいい。』

 というノーデの回答を質問者のナユユに伝えると、

「なら、九山君が不利じゃないですか。もっとほかの決め方もあるはずです。」

 少し、怒ってる?

「おいおい、リーダー。いや今はもう違うか近田さんよ。〝イセノ〟で使う腕輪なんだぜ。〝イセノ〟で決めなくてどうするって話よ。」

 ナユユの提案に落合君は反論する。そしてそれはもっともだと俺も思う。

「でもそれじゃ……。」

「いいんだ、ナユユ。」

 俺もこのバトルに参加するか否か、答えは決まった。


「ここは、あきらめ……。」

「私がやる。」


 予想外の一言だった。俺の言葉を遮ったのは……。


「一誠の代わりに、私が勝負する。」


 その言葉の発言者は、手を上げて堂々と宣言している、カナデだ。

「アンタはそもそも俺たちのチームじゃない、それに特性も持ってる。公平性に欠けるだろ。」

「だから特性はなしでいい。なんなら私のはここにおいて、一誠のものでやればいい話じゃない。」

 カナデはそういうと自分の腕輪を外し、オリエン優勝で得た腕輪の隣に置く。

「でもその、経験の差もあるだろ。アンタは世界まで行ったと聞いたが、それに比べたら俺達は素人だ。」

「でもこの感じだと私と弼君、三香の3人でやるんでしょ。複数人での試合なら私もあまり経験はないから、そこのレベルは同じだと思うけど。」

「だがな、この試合に勝っても、特性を得るのは九山ってことだぜ。アンタがでしゃばる理由がない。」

 落合君の言う通り。俺からしたら願ってもない提案だけど、なんでそこまで……。

「理由か、もともと勝手につけてきちゃった贖罪もあるけど……。」

 そういうとカナデは俺の方を向いて言う。


「私はこの場の中で特性を持つべき人物にふさわしいのは、一誠だと思ってるから。」


 素直にうれしい、言葉だ。

「えっと、ここまで言うとるんやし、カナデちゃんに参加してもらおうや。うちは、賛成やから。」

「拙者も異論はない。」

「わ、私もです。なんならその……カナデさんがだめなら私がやります。」

 尾関山さん、千草さん、そしてナユユも賛同してくれる。

『一誠も自分の意思は表明しといたほうがいいですよ。』

 ノーデ、それもそうだな。まあ目の前の誰かさんに突っ込まれる気はするが。

「一応、俺も賛成だから。」

「九山、お前は言わなくてもわかる。」

 と、完全に思惑が外れ、俺に八つ当たる落合君。予想通りだけど。

「教師の私がチームのことについてとやかく言うのは違う気がしますが、D2チームの5人中4人が賛成なのですから、三好さんに参加してもらってもいいと思いますが。」

 と、八田先生も擁護に回り、さすがに弼君も折れたようだ。

「わかったよ。ただ入学したての時とは違うってこと思い知らせてやるぜ。」

「えっと、とりあえず楽しんでいこうや。」

「一誠、ってことで貸してくれる?」

 と勝負する3人は各々、腕輪と技板を準備して優勝景品が置かれた机の周りを取り囲む。順番はじゃんけんの結果、落合君、尾関山さん、そしてカナデの順番となった。

「じゃあ、いくぜ。」

 俺たちが部屋の隅で見守る中、落合君はそう言って右手に力を込める。


 勝負が始まる。


「【るせーどーで〝ビーム〟】」


 1ターン目。光の線の行く先は、カナデの左小指。

「へえ、私狙い?」

「当然だろ。」

「掛け声、ずっとそのままなんだ。」

「副会長にまだ勝ててないんでな。」

 カナデと落合君の会話。この二人も何度か対戦しているからお互いの実力は分かっているんだろう。じゃないと落合君、カナデの参戦にあんなに反対しないだろうしな。

 となると、この二人にとって動きが読めないのは――。


「【せーので〝晴れ〟】」


 尾関山さんの攻撃。この部屋の天井で輝く太陽が焼けさせるのは、カナデの〝ビーム〟被弾箇所を除くと、落合君の指5本のみ。

 そしてカナデの番。


「【いっせいなで〝雨〟】」


 Turn 3

 Tasuku 0pt        Mika 0pt 

 R()()()○○          R○○○○○

 L○()()()()          L○○○○○


 Kanade 0pt 

【〝rainy〟Lv.1(S1)】

 R○○○○○           

 L()()()()()           


 3人の1巡目が終了。3人それぞれ手探りという感じですが、同時に多人数戦の傾向も少しずつ見えてきます。

 多人数戦では相手に対する効果は、誰か一人を指定します。対して自分も含めた全体に対する効果は当然、全員が受ける。つまり、指を固めることに関して言えば相手に対して、本数指定で固める技、例えば〝ビーム〟よりも、全体に対して上げ下げしたところすべてを固める〝晴れ〟や〝雨〟の方が必然的に被弾する数も多く、有利ということになります。


「【〝手術〟】」


 4ターン目。弼さんは左小指を治します。

「あれ、掛け声……。」

「つける必要ねえんだよ。」

 と、一誠の反応にはつくづく反応する弼さん。

 彼の掛け声を常につける戦略は、相手の不意をつき、相手と自分が同じ手の形になる〝ツインパワー〟を狙う意図があります。しかし、この試合では――。

「〝ツインパワー〟そのものが起きにくいからね。」

「〝ツインパワー〟って、うちとカナデちゃんに弼君、皆同じ手の形にならんと駄目なんよな。」

 ですからかなり起こる確率が低いわけです。

「むむむ、もはや、ツインではないな。」

 という千草さんの感想はごもっとも。

 さて、3人がそれぞれ戦い方を探る中、一番最初に戦局を動かすのは――。


「【せーので〝9〟】」


次回、5/9までに更新予定です。

さて、最後はちょっとしたクイズ。今回の試合は、本編で過程を描いた(最低でもイセノの表記が2つ以上ある)試合としては何試合目になるでしょう?

答えは、次回で。よろしくお願いします。



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