第112話 神への挑戦②
前回から始まったバトル回の続きです。
カナデVS有弦ということで、2人の視点がイセノ表記を境に交互に行きかいます。初めはカナデ視点から、どうぞ。
「〝電磁バリア〟か。我の知らぬ技だな。」
そういう有弦は初見の技に対して、驚く素振りがない。いや彼にとっては、初見ではないのでしょうが。効果までは把握していないのは、こっちにとっては好都合。
「〝光壁〟以外にも防御を用意し、我の数あて対策をしてきたわけか。」
〝光壁〟? 〝シールド〟のことかしら。
「だがその技の弱点も容易に想像がつく。」
そういうと有弦は左手を前に向け、技を宣言する。
「【〝氷柱〟】」
Turn 5
Yugen 0pt Kanade 0pt
【〝icicle〟Lv.1(S1)】
R●●●●● R○○○○○
L●○○●● L○○○○●
我の宣言とともに、先端が鋭利な氷の槍が生成され、娘の左小指を射抜く。
「くっ……。」
娘はやはり苦悶の表情。
「我は過去にこの男が見てきた技もある程度把握している。〝電光石火〟や〝電気ショック〟だったか、電気の関連する技は特定の指が動くことが条件になっているのだろう。お前の使う〝電磁バリア〟も、そうではないのか?」
「さあ、どうでしょうね。」
と娘は強がってはいるが。かすかに伝わる声の震え、そして即否定しないところから図星だろう。
「【いっせいなで〝5〟】」
娘の数あて、しかし我も娘も指は一本も上げない。同型手か。
「〝ツインパワー〟……。」
全く、何から何まで今は呼び方が違うようだ。
同型手を起こした側には5点が入る。よって娘は5点を得たが、この先点数が使われても支障となる未来は見えぬ。ゆえに放置でよい。それよりもまずは。
「【一斉ノ手、〝2〟】」
我の数あては必中、したがって。
「【〝電磁バリア〟】」
娘は守りに入る。あの忌々しい稲妻の防御をなんとかせねばな。
Turn 8
Yugen 0pt Kanade 5pt
【〝e.m. barrier〟Lv.4(S1)】
R●●●●● R●●●●●
L●●●●● L●○○●●
これで2回。
〝電磁バリア〟は1回使うたびに、代償として未使用のレベル6以上の技1枚を使用不可にしないといけない。私は最初の〝電磁バリア〟で〝究極化〟を、そしてさっきので〝ゴッドウォール〟を封じた。この2つは初めから使えないだろうと割り切っていた、いうなれば〝電磁バリア〟のための捨て石。でもここから残っているのは使う可能性もある技たち。慎重に選ばないといけない。
さらにもう一つ。気を付けなければならないのは〝電磁バリア〟を使うための条件。
「【〝氷柱〟】」
再び有弦が放った氷の槍は、私の右中指に着弾。
ここは――。
「【〝手術〟】」
それを見て有弦はにやりと笑う。
「見えたぞ。」
そういうと彼は流暢に語りだす。
「娘、お前が持ち点を使わぬのは点を温存し大技につなげたいか、もしくは、技による攻撃を警戒しているから〝光壁〟を残しておるのだろう。裏を返せば、〝電磁バリア〟は数あて特化型の防御技。そして先ほど真っ先に中指を治したな。それは最低限その指が動かなければ、技を発動できないから、ではないのか?」
「……さあ、どうでしょうね。」
質問に答えてはいけない。私の与える情報は最小限にする。
「【〝氷柱〟】」
しかし有弦は三度、氷の槍を放つ。私の右中指めがけて。
このままだと〝電磁バリア〟が使えなくなるのは時間の問題。その前に手を打つ。
「【〝イリュージョン〟】」
Turn 12
Yugen 0pt Kanade 6pt
【〝illusion〟Lv.5】
R●●●●● R●●●○○
L●●●●● L●●●●●
All free
「私はすべての指を動かせる状態にする。」
娘がそう宣言すると、娘の右中指、左小指を覆っていた氷が消失する。この技も我の時代にはなかった技だ。
しかしこの技は見覚えがある。そう、我の復活直前で相手方が使っていた。効果は3刻の間、自分の指の状態を一括で指定する、だったな。見てくれだけが変わるのみ、実際は我の氷柱の効果が打ち消されたわけではない。
「大方〝電磁バリア〟を使うためのものだろう。わざわざ技板3枚を犠牲にしてまでご苦労なことだ……。」
ん?
なるほど、違和感はあったがそういうことか。
「車内が薄暗くて気づきにくかったが、娘、お前が先ほど使った技は技板3枚を使用不可にするはずだ。しかし、今お前の下げている技板、黒い技板がもう2枚ほどあるな。」
娘は何も言葉を発さない。しかし我にはわかる、それは「気づかれた。」という表情だ。
「我の数あてが防がれたのも2回。つまり〝電磁バリア〟なる技は中指を含む指が動き、かつ技を1つ犠牲にしなければならない、のだろう。」
おおよそ、種は割れた。
娘の持っている技板は15枚ほど。うち5枚は黒くなっていて使用不可だ。つまり数あてを防げるものも10回、今ある得点を加味しても11回が限度。まあそこまで使わせることはないが、じわじわと詰めていこうではないか。
ただ、念には念を入れるがな。
「【一斉ノ手、〝6〟】」
「……【〝電磁バリア〟】」
「【一斉ノ手、〝雨〟】」
Turn 15
Yugen 0pt Kanade 6pt
【〝rainy〟Lv.1(S1)】
R●●●●● R●●●○○
L○○○○○ L○○○●●
All free
さっきの3回目の〝電磁バリア〟で、〝ハーフゴッドウォール〟を失った。どのみち〝ハーフゴッド〟を張っても数あては防げない、だからこの神とは相性は悪いっていう判断で。
それにしても、今の〝雨〟、不自然ね。
有弦は自分の指5か所を固めた。ポイントをために行く気? 普通の人ならポイント差を埋めようとするからわかるけど、相手は数あての神。〝電磁バリア〟の効果はあらかた気づいたのだからずっと数あてし続ければ私は守れなくなるっていうのに。
単にじわじわいたぶろうとか、そういう趣味? それとも、私の真の狙いも勘づき始めている?
もし後者だとしたらまずい。かすかにある勝利の可能性が潰えることになる。
幸い5か所固まったのは私も同じ。〝最高の手術〟でポイントをさらに増やして。
って、考える前に。
もう一度、確認しておきたい。
「【いっせいなで〝3〟】」
私は指を1本も上げず、有弦が上げているのは2本のみ。外れた。
「無駄だ。お前の宣言する数字はすべてわかっている。」
やっぱり。
私の数あてでの勝利は絶望的だ。なら、あの作戦で行くしかない。
「「【〝最高の手術〟】」」
お互いに固まっている指を治し全回復。これで有弦は5pt、私は11pt。〝イリュージョン〟の効果はこのターンで切れてしまったけれど、今は正真正銘、全部の指が動く。
「【一斉ノ手、〝2〟】」
「【〝電磁バリア〟】!」
だから防御は可能。でもこれで〝白夜〟が犠牲になり、私の使える技は、残り7つしかなくなった。悠長なことは言っていられない。
もう、仕掛け時だ。
「【〝氷塊〟】」
Turn 21
Yugen 5pt Kanade 11pt
【〝ice block〟Lv.3(S1)】
R○○○○○ R○○●●●
L●●●●● L○○●●●
我の放つ、氷柱よりも大きい氷の塊は空中で割れ、3方向に飛び散る。
この技は氷と名の付く技を3回使うことで使用できる技だ。相手の指を3か所まで下げて固める。我は中指2か所、それと一応、小指1か所を指定しておいた。
「さあ、防ぐか?」
「……いいえ。」
娘は、これを防がない。
娘の特性、晴れの神がある以上、下げて固める技を多用せねばならぬのは面倒ではあったが、これで中指は封じた。〝電磁バリア〟もこの先使用されることはない。
だが防がなかったということは、そう。
娘も仕掛ける。腹を決めた、力強い宣言とともに。
「【〝サンシャイン〟】!」
両者の見据える、未来は――。
次回は3/29までに更新予定です。よろしくお願いします。
♦♦以下、少し補足♦♦
今回は補足が2つあります。
1つ目。有弦は昔の人なので基本技名は日本語で言います。〝シールド〟は〝光壁〟って感じです。ただし現代で新しく作られた技はそのまま呼びます。〝電磁バリア〟なんかがそうです。
2つ目。電磁バリアは英語だとelectromagnetic barrier なのですが、少し長いためイセノ表記上ではe.m. barrier と略しています。
以上補足でした。




