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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第7章 オリエンテーション編Ⅱ
112/180

第105話 曇り、のち②

前回からの続き、ノーデ&大数視点です。そして今回登場の〝曇り〟、実はしっくりくる効果が思いつかず登場を見送っていましたがこの度ようやくお披露目。

それでは本編どうぞ。


 僕は示さなければならない。


 僕の予知能力がおじい様にばれたその日、おじい様は言っていた。


「由多が死んで、しばらくは予知を持つものは現れまいと思っておうたが、こんなすぐ現れるとは。」

「おじい様、このことはお父様には……。」

「わかっておる。士義はその力を憎んでおるからの。まず間違いなくお前を遠ざける。じゃがわしはお前の父に伝えはせん。それとも、わしが話す未来でも見えるのか?」

「いや、そこまでは……。」

「ならそれが未来のわしは内容を話していない証拠じゃ。未来は常に決まっておる。だが予知が覚醒した以上、わかっておるな。」

「……勝負で負けは、許されない。」

「そう、わしが望むのはそれだけじゃ。先祖代々、この町は我が神杉の一族が天から賜った予知の力で導いてきた。だが、無限の巫女の死、神社の火事、神杉は間違いなく衰退の一途をたどっておる。だからじゃ、だからたとえ、どんな状況であっても示さねばならん。」


 ――神杉家、ここにありと。


 Turn 12

 A3 team 0pt  D1 team 0pt 

            【〝cloudy〟Lv.4(S1)】

 R()()()()()          R●●●●●

 L()○○●()          L

 All free


 〝曇り〟の宣言でA3チームの上空は雲に覆われます。

「大数君に任せて正解ね。」

 カナデさんの発言。1巡目の順では本来カナデさんの番ですが、順番を入れ替えての宣言は、作戦のようですね。

「雲が……。いったい何をやったんだ?」

 困惑する小奴可さんに秋津さん達が解説します。

「〝曇り〟、それは上がっている指の本数の合計で効果を発動できるかが決まる。偶数なら何も起こらないけど奇数なら、相手は次のターン何も宣言できない。」

「要は成功すればターンスキップできる技ですの。」

「まてよ。ではさっき上がっている指は7本だから奇数。つまり……。」

「してやられましたわね。」

「くそっ。ということは〝電光石火〟の効果も。」

「無駄になった。」

「なんてことだ。」

 悔しさをあらわに、頭を抱える小奴可さん。

 一方。フード男はつぶやきます。

「数あてに、この成功。やはり、見えているな。」

 見えている? この言葉の真意は……。

 さて、13ターン目は飛ばされ、雲は消失。14ターン目、カナデさんが宣言するようです。

「ターンスキップをしてまで、いったい何をするつもりだ。」

「安心して。〝曇り〟直後の自分のターン、宣言できるのは〝雨〟か」

 小奴可さんに向けてカナデさんは拳を閉じたまま突き出し。

「〝晴れ〟のみ。」

 それを広げます。何か仕掛けようとしてますね。

「じゃあ、いくね。【いっせい」

 宣言時にカナデさん以外のD1チーム全員の指が上がり

「なで〝晴れ〟】」

 下げる。


 Turn 14

 A3 team 0pt  D1 team 0pt 

             【〝sunny〟Lv.1(S1)】

 R()()()()()          R●●●●●

 L()()()()()          L

 All free


 A3チームで動けた3本も今の攻撃で動けなくなった。三好さん提案のフェイクも成功。

「掛け声中に上げ下げ動作……。しかも5人で連携してくるとは、さすがの仕込みですわね。」

「相手、しかも5人が担当している指以外の指も含めて一斉に上げる動作をされたら、反応して指を動かしたくなる気持ちもわかる。」

 七塚さんや秋津さんたちにも感心されている。

「さあ、〝イリュージョン〟の効果も切れて。正真正銘あなたたちの指は全滅したんだけど。どうする?」

「治すに決まっているだろ。向原!」

「【〝最高の手術〟】」

 これでA3チームは右手全部の指を治し、ポイントを得た。

「本庄君。〝トリック〟よ。」

「えっ、でもその技板は。」

 僕たちD1チームは〝トリック〟の技板を入手していない。でも。

「大丈夫、私たちには鏡がある。」

「鏡? ああそうっすね。」

 互いに動く指の本数は5本、そしてすでに相手チームが〝トリック〟を使っている以上、それを写し取ることはできる。

「【〝ミラー〟からの〝トリック〟】っす。」


 Turn 16

 A3 team 5→0pt  D1 team 0→5pt

                【〝mirror〟Lv.4】

               【〝trick〟Lv.2(S1)】

 R●●●●●          R○●○●●

 L()()()()()          L


「ポイントを奪われたか。ならこちらも〝トリック〟で奪い返して。」

「駄目だよ。〝イリュージョン〟の効果はもう切れてる。」

「ならもう一度〝イリュージョン〟を。」

「いいや、〝イリュージョン〟は一度使うと5ターンのインターバルがないと次に使えない。あと2ターン経たないと。」

「それに〝イリュージョン〟は技板3枚を毎回使用不可にして使う技。使うタイミングは重要だ。」

「だが、5pt、〝シールド〟1枚分あるのは厄介だぞ。」

 A3チームは小奴可さん筆頭にペースが乱れています。その様子を見かねた縦ロールの少女は手をたたきます。

「はい、注目ですわ。たかが、戦術の1つや2つ破られたところで負けたわけではありませんのよ。」

「戦いは、戦術がすべてじゃない。どんなに不利な状況でも心の弱さは負けに直結する。」

「じゃあ、どうしろってんだ、七塚さんに、秋津さんよ。」

 どうやら縦ロールの少女の名は七塚さんというようですね。それはそうと、答えたのは秋津さんです。

「私が最初に、この戦術は最終的に何をするための技といった?」

「それは……。」

「そこにただひたすら進めばいい、おやつ。」

「……俺はおぬかだ。」

 今ので小奴可さんは察したようで。A3チーム内でこそこそ話をした後。

「ただひたすら攻めるのみ!【いちれんのー〝雨〟】」

 この攻撃に大数さん以外のD1チーム全員がかかります。その様子を見て思わず

「【〝シールド〟】」

 東城さんは宣言してしまうのです。

「そこは使わなくてもよかったのに。」

 カナデさんの言葉も遅く。

「【いちれんのー〝晴れ〟】」

 A3チームは攻撃の手をゆるめません。D1チームは伊原さん担当の小指がかかります。

「【ちっちっちのー〝5〟】」

 その伊原さんの数あては外れ。

「【いちれんのー〝雨〟】」

 降ったりやんだりの天気。東城さんの指が水滴に覆われます。

「ここまで来たらもう数あてしかない。【いっせいなで〝5〟】」

 カナデさんも数あてしますが、結果は6。

 そして雨と晴れを繰り返した天候はどっちつかずの状態に移行します。この技の宣言によって。

「【〝サニーレイン〟】」


 Turn 23

 A3 team 0pt  D1 team 0pt 

【〝sunny rain〟Lv.4(S1)】

 R○○○○○          R()()()()()

 L()()()()()          L


「すまん、俺が〝シールド〟を使ったばっかりに。」

 確かに〝シールド〟を残していればS1の〝サニーレイン〟は防げていただろう。でも。

「いや、私の作戦ミス。基本的に技の宣言は順番性で任せていたし、東城君のせいじゃない。」

「そうっすよ。あれは大数っち以外のメンバーが全員攻撃にかかってしまったから起こったっすし。あれは4人の責任っす。」

「僕もその、責めたりはしてないから。」

 そう、これは決まっていた未来。僕の上げ下げどうこうでどうにかなる話じゃない。それにこの未来がはっきりと見えたのは勝負が始まった後。助言のしようもなかった。

「そうだ、落ち込むな。それに次はその大数先生の番だぞ。」

「先生って大げさな。」

「いいや。間違いなく今日一番調子いいのはお前じゃないか。お前が数あて、外している姿まだ見てないぞ。」

「いや……。それはたまたまで。」

「たまたまだとしても。さっきの〝曇り〟のときもすごかったし、私は行けると思う。」

「三好さん……。」

 いや、無理なんだ。だってこの先の未来は。

「見えないのか?」

 顔を上げて横の茂みに目を向ける。すると、そこにはさっきまでいなかったフードで顔を隠した人が。

 そしてこの光景、僕の知ってる未来はここまでだ。

「神杉の小僧、お前だけ驚くそぶりがないな。他の物は少なからず動揺の色が見えるというのに。」

「あなた、誰ですか?」

 僕の問いにフード男はこう答えた。

「俺は、亡霊だ。」


フード男、その真意はいかに――。

次回2/1までに更新予定です。よろしくお願いします。


♦♦以下、少し裏話♦♦

前回から始まったA3VSD1戦、実は試合の展開を少しミスっていまして。

D1チーム、1巡目の通りなら12ターン目は大数君の番ではなくカナデの番でした。しかし、一度掲載した以上あまり展開を変えたくない、あと単純に修正するのが面倒というのに加え、幸いカナデならそういう戦術もやりそうということで今回のお話に組み込みました。(これが週刊連載?のライブ感です。)

誰がそんな細かいとこ見てるんだと思う方もいらっしゃるでしょうが、作者的には気になってしょうがなかったので。一応そういう経緯ですので、温かい目で見守っていただけると幸いです。

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