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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
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第99話 封殺の番犬

最近のあとがきは引きを意識してシンプル目、ちょっと中二っぽい?

それでは本編どうぞ。

「俺の先攻!」

 瞬きをすれば、苦しむノーデの姿。助言や憑依(チェンジ)での入れ替わりは期待できない。俺一人の手で、一刻も早く、助け出さないと。

「【いっせいのーで〝雨〟】」

 俺の宣言とともに、フード男が橋に突き刺した刀から投影される灰色の雲。しかし、肝心の〝雨〟は降らず。お互いに下げている指が1つもないからだ。〝ツインパワー〟、これで俺に5ptが入る。

 だけどこれは。

「【〝トリック〟】」

「【〝シールド〟】」

 こうやって、ポイントを消化されて振り出しに戻るやつだ。ただし、相手のターンからになるが。

「見えにくいな、お前の指。なら。」

 フード男は指をパチンと鳴らす。直後、俺の目の前に出現した4、5倍はありそうな大きな両手。フード男の方も同様に手が出現している。

「これで見やすくなった。」

 自分の指を動かすと連動して目の前に投影された手も動かせる。湖のときと同じ、あの刀の投影装置、結構ハイスペックのようだ。

「【いッしんのーで〝0〟】」


 Turn 4

 Issei 0pt   hood man 0pt 

              【〝0〟】

 R○○●●●        R●●●●●

 L○○●●●        L●●●●●


「上げたか。」

 フード男の数あては外れます。

「【いっせいのーで〝雨〟】」

 5ターン目。一誠の技は今度こそちゃんと発動し、上空の雲から2つの水滴がフード男の右親、人差し指に降り注ぎます。

 一誠はさっきより冷静ではありますが、宣言のスピードが速い。おそらく私の様子を見て焦っているのでしょう。しかしこれもあのフード男の作戦のうち。あの人は一誠の平常心をかき乱しています。

『い……。』

 本当は、『一誠、私のことなど気にせずに、冷静に戦ってください。』といいたいのですが。もうまともに声も出せない私は、ただ戦いを見守ることしかできません。

「【〝ビーム〟】」


 Turn 6

 Issei 0pt    hood man 0pt 

            【〝beam〟Lv.1(S1)】

 R()●●●●        R()()○○○

 L○○○○●        L●●●●●


 光は俺の右親指に着弾。この位置……。

「〝ツインパワー〟対策か。」

 この人、身体能力だけでなく〝イセノ〟の腕も手馴れている。ここは〝手術〟すべきか、いや、まだ所詮1か所かかっただけだ。

 攻める。

「【いっせいのーで〝雨〟】」

 かかったのはフード男の左中指より下3本。

「【〝最高の手術〟】」

 しかし呆気なく治され、フード男の指は全回復。まるでこの技をしたいがために追加で3本かかったような。

「【いっせいのーで〝4〟】」

 俺の数あて、しかしフード男のあげたのは2本。俺と合わせて合計は3。

「危ない、危ない。」

「全然危なそうに聞こえないな。」

「お、やっと勝負が始まって宣言以外で口を開いたな。少し慣れてきたか。」

「なれるわけないだろ。」

 ロープ巻き付けてやっとだぞ。橋が揺れてまともに立ってすらいられないのに、これで指の上げ下げをするのも何倍も体力を使う。

「【いッしんのーで〝雨〟】」


 Turn 10

 Issei 0pt    hood man 5pt 

            【〝rainy〟Lv.1(S1)】

 R()○○○○        R○○○○○

 L()()○○○        L○○○○○


「〝ツインパワー〟は避けたか。」

 フード男はこういっていますが、彼が一誠に指を下げさせたの方が正しいでしょう。〝雨〟を避けるためにはすべての指を上げるしかないですが、それでは〝ツインパワー〟となってしまいます。そうなれば、フード男のポイントは一気に10pt、大技を出されるのはまず間違いないと言っていい。

「【いっせいのーで〝雨〟】」

 一誠は続けざまに〝雨〟を放ちますが。攻撃はかわされます。

 いけない。この極限状況下、一誠の癖が出ている。

「さあて、ここからが面白いところだ。見せてやろう。」

 あの自信ありげな口調。

 これは、何か来ます。おそらくフード男の切り札が。


「【〝流星〟】」


 彼の技の宣言とともに上空から落ちてくる青白い光。それは徐々に大きくなり、隕石そのものがはっきりと目視できたのも束の間、一誠の右親指に着弾。黒く、死滅させます。


 Turn 12

 Issei 0pt    hood man 5→0pt 

           【〝meteor〟Lv.3(S1)】

 R×●●○○        R●○○●●

 L()()●○○        L●●●●●


「くっ。」

「〝流星〟は相手の固まっている指1か所を指定し,3ターンの間死滅状態に変える技だ。」

 死滅状態、厄介だな。

 この状態になった指は〝手術〟系の技では治せない。俺の持ってる技だと治せるのは万能回復効果のある〝タイムスリップ〟か〝ゴッドウォール〟くらいだろう。だけどそうするより、時間がたつのを待つのが得策か。

「そしてこれで、条件を満たした。」

 条件?

 フード男の背後に何か、まさか。

「特性、発動。」

 フード男は右腕を天に掲げる。その瞬間、まがまがしい邪気とともに現れるのは3つの頭を持つ、空想上の生物。

封殺の番犬(ケロべロス)、顕現!」

 今にも襲い掛かってきそうに、よだれを垂らしながら俺をにらみつける黒い番犬。

「さあ、食いちぎれ!」

 フード男の宣言で吠える封殺の番犬(ケロべロス)。そして獲物を見つけたかのように俺に襲い掛かる。

「うわあああ。」

 思わず右手で頭をガードするほどだ。投影された俺の右親指は番犬に食いちぎられ、血しぶきを上げて赤黒く壊死する。

「たぎるな、映像といえど、血が流れる瞬間は。」

「お前……。狂ってるな。」

「そうか? お前らの時代が生ぬるいんだろ。」

 時代? こいつ、かなり昔の人物かもしれない。千草さんの帯刀にさほど驚く様子もなかったし、ノーデだってもとをたどれば〝無限の巫女〟の生まれ変わり。それにOperation(オペレーション) code(コード)も扱えていた。

 そうか。

「お前、もしかしてノーデと同じAI、それもかなり昔の人物なんじゃないか。」

「へえ、察しはいいんだな。」

 声色が変わった。ゾッとする声。でも核心に触れている証拠だ。

「まあ、俺のことを詮索するより先に、自分の手元を見たらどうだ?」

「なにっ。」

 封殺の番犬(ケロべロス)はすごかったけど、所詮は映像、俺の体に傷はない。ただ、特性だ。〝イセノ〟をするうえでなにか影響はあるはず。

 俺の手元、よりグロく死滅した右親指。見るのもためらわれるがここに何か……。

 いや違う。

 そこよりもっと根元、右手の腕輪に垂れ下がっている俺の透明な技板たち。そのうちの1つが。


「黒くなってる――。」


フード男の特性、封殺の番犬(ケロべロス)。その権能とは。

次回12/7までに更新予定,よろしくお願いします。

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