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いっせいノーデ!  作者: 乙島仟
第6章 オリエンテーション編Ⅰ
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第96話 ランキング

久々に2週間がっつり時間いただき、お待たせしました。

今回で20時台の掲載はたぶん最後です。

それでは本編、どうぞ。

 湖での勝負は決した、そして。

「やっと、地に足着いた気分です……。」

 ボートは無事、船着き場に帰還。C4もD2もチーム全員が一人一人、白いコンクリートの護岸に足をつけていく。

「思ったより勝負長引いたしなぁ。奈湯ちゃん、慣れないボートでよう頑張ったわ。」

 と力が抜けてかがみこむナユユの背中を優しくたたく尾関山さん。

 さて、C4チームサイドは。

「ごめんなさい、皆さん。勝てませんでした。」

 深々と頭を下げる四苑君。悔しさを隠しきれてない声だ。

「あれはしょうがないよ。」

「激しく同意。」

「四苑君のせいじゃない。これはチームとしての負けだから、ね。」

「正直最後はあの魚が出てこなければなあ、少なくとも俺は上げないつもりだった。」

 最後の高君の言葉はたぶんその通りだ。はっきり言って、今回は運が味方して俺たちD2チームが勝てたようなもの。勝負だけみれば、今回のMVPは間違いなく四苑君だろう。

『まあ、人以外で見ればあの魚になるのでしょうね。』

 ノーデもそうつぶやいている。今アヒルさんボートにより引き上げられようとしている巨大な魚、勝負を決めた影のMVPがもう生きていないとは、かわいそうに。南無。俺は魚に向かって手を合わせる。

「それにしてもノーデもあの魚、気になるか。あんな大きな魚いたなんてびっくりだよな。」

『ええ、それにあの傷、まるで何かにぶつかったようですね。』

 傷? そういえば魚の胸びれの下に、なんか大きな傷があるな。

「この湖の岩にでもぶつけたんじゃないか?」

『もしくはだれかがつけたものか。』

 まさか、な。

 頭の中でそんな話をしているうちに、目の前に四苑君が近づいてくる。

「あとちょっとだったんだけど。やっぱり姉ちゃんにはかなわないや。」

「そやろ、まだまだやね四苑。」

「でもすごかったよ。ターン切れ狙うなんて普通考えないし、あの魚が出てこなかったらたぶん負けてたから。」

「ありがとうございます。でも、負けは負けです。約束ですからね、受け取ってください。」

 四苑君は自分の腕輪に釣り下げていた2枚の技板を渡す。ナユユはそれを受け取ると早速自分の腕輪に通し、技を確認する。

「えっと、〝白夜〟に〝台風〟ですね。」

「おいおい、本当にこれがお前らの1番、2番目にレベルの高い技板か? レベル6と5じゃねえか。」

 落合君が疑いの目を向ける。彼は技板総どり希望だったからな。

「本当ですよ。基本はレベル4以下の技がほとんどで。一番高レベルの〝白夜〟は使おうにも〝雨〟の技板がなくて腐ってましたし。」

「それは私も確認している。間違いない。この筋肉に賭けよう!」

 木戸先生の声。あの大魚をマークスリーさんと2人がかりで湖から出しながら叫んでいる。そこはさすがの筋肉。

「ちっ、まあそういうことにしといてやるよ。」

 先生の自信気な言葉に、落合君もそれ以上は追及しない。

「あの魚、どうなるんやろな。」

 疑問を口にした尾関山さんに英二さんが答えようとしたが、ぼそぼそぼそとしか聞こえない。アヒルさんボートから降りてまた聞き取りづらくなってしまった。

「生態調査されるだろうなって言ってます。」

 そして四苑君翻訳の復活。

「残念だ、食べられぬのか。」

「えっ。」

 千草さん? あれ食べるの?

「お話はこれくらいにして食べましょう。さすがに何か食べたいです。」

「休憩室にどうぞ、もう寿司は準備していますよ。」

 ナユユの発言に呼応するかのように板前さんが登場。その人に俺たちは案内されて中の休憩室のテーブルに着く。

「「「「「おおおおお。」」」」」

「マグロの赤身とトロ、サーモンにイクラ、通常のエビと甘エビ、真鯛にイカ、アナゴと卵の特上寿司10貫、お待ちどうさまです。」

『どうやら上下の並びはそれぞれ共通点のあるネタのようですね。』

 ノーデに言われて考えてみれば、俺から見て左から順にマグロ系、鮭系、エビ系、白系? ふわふわ系? って順になってるな。

『イセノ表記のようですね。右親指にマグロのトロ、右人差し指にサーモンという感じで見ていくと……。』

 確かにマグロ系が親指、鮭系が人差し指と考えると――。やばい、だんだんそう見えてきた。

「変な事吹き込むなよ。」

『どうせ私は食べられませんからね。』

 ああ、そうか。こいつ、寿司食べられなくて拗ねてるのか。

「ノーデ、食べたかったのか。じゃあ変わろうか。」

『一誠……。』

 嬉しそうに期待してるな。でも。

「なんてな。今回はだめ。お前は何もしてないだろ。」

『一誠も意地悪ですね。』

 上げて落とすのは何もお前の専売特許じゃない。アップルデニッシュの時のお返しだ。

「おいしそう!」

「じゃさっそく……。」

「待てーーーーい。」

 落合君が箸でつまもうとした瞬間に板前さんが大声で止める。

「おしぼりで手を拭きなさい。そして食べる前には言うべき言葉があるだろう。」

「そうだぞ、弼殿。礼儀作法は心得ておくべきだ。」

 そういう千草さんはちゃんと念入りに手を拭いている。お嬢様らしい一面だな。

『いや、普通ですよ。一誠。』

 ぐっ、こういう時に痛感する、自分と常識のずれを。

「へいへい。」

 ちなみに落合君は渋々従った。

 そして

「「「「「「いただきます。」」」」」」

 いざ実食。

「おいしい。これも……。」

 俺はこの程度しか言葉を発していない。ほかのみんなも黙々と箸が進む。食レポらしい食レポをしたのは。

『しっかりとした味の赤身とは別に口に入った瞬間溶けていくトロ、脂の乗ったサーモンに1粒1粒はじけるイクラ、ぷりぷり触感のエビたち、淡白な中に甘い味わいの真鯛に噛むたびに溶けていくイカ、ふわふわであったかいアナゴに卵。まさに最高級、私も食べてみたかったです。』

 といった、一口も食べていないノーデであった。

「寿司食べたかった……。」

「見るんじゃない。俺たちはこれで我慢するんだ……。」

「仕方ないです、これが敗者の末路です。」

「うわ、げろ味。外れだ。」

「や、やっぱり見ましょう。寿司を食べてる気持ちでパンを食べるんです。」

 と、菓子パンをほおばるC4チームの視線は少し気まずくなったが。

 そんな中。

 ピンポンパンポン。

「この音は……。」

「皆さぁん、お食事は無事に済ませられましたかぁ?」

 本日2度目の上戸先輩による園内放送。皆食事の手が一瞬止まる。

「ほとんどのチームが食事中、もしくは終えて次に向かおうとしていると思いますがぁ、ここでぇ、イベントの中間結果を発表いたしまぁす。チーム名と、集めた技板の合計レベルを上位3チームまで行きますよぉ。」

 中間結果、知らせてくれるのか。

「現在のトップはA1チーム、合計レベルは驚異の103。これは全チームを見ても唯一の100越えとなりまぁす。いやぁ、この時点で100越えは私もびっくりですぅ。」

 俺たちも頑張っているはずだけど、20以上差をつけられてる。やっぱりすごいな。

「そしてそれを追いかける第2位は、D1チーム、合計レベルは91。」

 D1チーム、カナデや大数君がいるところだ。優勝候補とかささやかれていたし、やっぱり入ってくるよな。

「そして第3位、合計レベル75、D2チームですぅ。」

「俺らか!」

「3位、いや一番最初はどうなることかと思いましたけど。」

「75、ってことはさっきゲットした技板も入ってるな。」

「つまりまさに今、この瞬間の順位、ということだな。」

「いい順位つけとるで。」

 と、D2チーム全員が結果に納得の様子。

「そのほかのグループはこの後メールをお送りしますので、そこで確認してくださぁい。さて、この結果を聞いたチームの中にはもう優勝は無理だとあきらめるチームも出てくるかもしれません。」

「そうだそうだ!」

 園内放送に対し、早速隣で食べているC4チームから声が上がる。

「しかぁし。逆転のチャンスはまだまだぁ、ありますよぉ。それが今から発表する第2のイベントぉ。」

 そして上戸先輩はイベント名を声高に読み上げる。


「ずばぁり、『倒せ、上級生の壁!』ですっ。」


次回は11/16までに更新予定です。

次は21時台でお会いしましょう。よろしくお願いします。

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