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第76話 同じ存在――もう一人の“創る者”

夜。


エルドラは静かだった。


―――


昼の喧騒が嘘のように、街は落ち着いている。


灯りがぽつぽつと揺れ、遠くで人の声がわずかに響く。


―――


「……いい夜だな」


城壁の上。


俺――アルクは空を見上げる。


―――


星。


―――


だが、前とは少し違う。


―――


「……増えてる?」


隣で、リナが言う。


―――


「星の数が?」


―――


「うん」


一拍。


―――


「前より“見えてる”」


―――


その言葉。


少しだけ引っかかる。


―――


「……そうかもな」


―――


世界が変わった。


固定が消えた。


―――


だから。


―――


「隠れてたものが見えてる」


―――


「うん」


リナが頷く。


―――


そのまま、少しだけ沈黙。


―――


風が流れる。


―――


「……アルク」


―――


「ん」


―――


「なんかさ」


―――


少しだけ言いづらそうに。


―――


「変な感じしない?」


―――


「変?」


―――


「うん」


一拍。


―――


「見られてる感じ」


―――


空気が変わる。


―――


「……どこから」


―――


「分かんない」


―――


だが。


―――


「確かにある」


―――


その瞬間。


―――


“何か”が揺れる。


―――


空の一部。


―――


ほんのわずか。


―――


「……今の見たか」


―――


「うん」


―――


確実に。


―――


“いた”。


―――


「……行くか?」


―――


「うん」


―――


その瞬間。


空間に触れる。


―――


今は簡単だ。


―――


“外側”への干渉。


―――


「開く」


―――


夜空に、わずかな裂け目ができる。


―――


その向こう。


―――


「……違うな」


―――


見慣れた“外”じゃない。


―――


「もっと……深い」


リナが言う。


―――


「行くぞ」


―――


「うん」


―――


一歩。


踏み込む。


―――


静寂。


―――


音がない。


光もない。


―――


「……何もない?」


―――


いや。


―――


「……いるな」


―――


気配。


―――


だが。


―――


“似てる”。


―――


「……アルク」


リナが小さく言う。


―――


「これ」


―――


「分かってる」


―――


同じだ。


―――


“創る側”。


―――


その瞬間。


―――


「――遅かったな」


―――


声。


―――


振り向く。


―――


そこにいた。


―――


“俺”。


―――


「……は?」


―――


同じ顔。


同じ雰囲気。


―――


だが。


―――


「……違うな」


―――


“ズレている”。


―――


「ようやく来たか」


そいつが言う。


―――


「……誰だお前」


―――


少しだけ笑う。


―――


「お前だよ」


―――


沈黙。


―――


「正確には」


一歩、近づく。


―――


「“別の選択をしたお前”」


―――


空気が凍る。


―――


リナが息を呑む。


―――


「……分岐か」


―――


「そう」


―――


そいつが頷く。


―――


「お前が“選ばなかった側”」


―――


「全部」


―――


「ここにある」


―――


理解する。


―――


無限分岐。


―――


その先。


―――


“収束しなかった世界”。


―――


「……マジかよ」


―――


思わず笑う。


―――


「面白いだろ」


―――


「まぁな」


―――


だが。


―――


「なんでここにいる」


―――


「簡単だ」


―――


一拍。


―――


「俺も“気づいた”からだ」


―――


空気が変わる。


―――


「……何に」


―――


「上があるってことに」


―――


沈黙。


―――


「……お前もか」


―――


「そうだ」


―――


「だから」


―――


少しだけ笑う。


―――


「来た」


―――


その言葉。


―――


重い。


―――


「……で?」


―――


「何しに来た」


―――


「決まってるだろ」


―――


一歩。


踏み込む。


―――


「比べに来た」


―――


空気が変わる。


―――


「どっちが“上”か」


―――


その瞬間。


―――


圧がぶつかる。


―――


完全に同質。


―――


だが。


―――


“違う”。


―――


「……アルク」


リナが言う。


―――


「これ」


―――


「分かってる」


―――


“最初の敵”だ。


―――


だが。


―――


「一番ヤバいやつだな」


―――


同じ力。


同じ立場。


―――


だからこそ。


―――


「面白い」


―――


少しだけ笑う。


―――


「やるか?」


―――


「やる」


―――


その瞬間。


―――


新しい戦いが始まる。


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