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第71話 定義の檻――決められた世界の正体

“それ”は、再び動いた。


だが――


「……遅いな」


俺――アルクは静かに言う。


さっきまでの“完全な動き”が、わずかに崩れている。


―――


「揺れてる」


リナが小さく呟く。


その目は、もう完全に“見る側”から“読む側”に変わっていた。


―――


「さっきの一撃で」


一拍。


「“決められてた部分”が崩れた」


―――


つまり。


―――


「完全じゃないってことだな」


―――


「うん」


リナが頷く。


―――


その瞬間。


敵が踏み込む。


―――


だが。


―――


「見える」


―――


リナの声。


―――


「ここ」


一点。


―――


「そこだ」


―――


俺も同時に動く。


―――


錬金術。


―――


「揺らす」


―――


空間に、わずかなズレを生む。


―――


その瞬間。


敵の動きが“遅れる”。


―――


「……効いてる」


―――


「もう一回」


―――


今度は連続。


―――


「ズラす」


「歪める」


「揺らす」


―――


敵の動きがどんどん崩れていく。


―――


「……これなら」


―――


「いけるな」


―――


一歩、踏み込む。


―――


「分解」


―――


今度は通る。


完全に。


―――


敵の体が崩れる。


―――


だが。


―――


「……再構成」


―――


元に戻る。


―――


「……面倒だな」


―――


「アルク」


リナが言う。


―――


「これ、“自動で戻してる”」


―――


「誰が」


―――


一瞬の沈黙。


―――


リナが、上を見る。


―――


「……上」


―――


空。


―――


だが。


ただの空じゃない。


―――


「……あるな」


―――


俺も感じる。


―――


“視線”。


―――


「……観測者じゃない」


―――


もっと上。


―――


「……これを“維持してる何か”」


―――


その瞬間。


空間が歪む。


―――


声が響く。


―――


「――修正対象確認」


―――


低い。


冷たい。


―――


「逸脱行為、検出」


―――


「……来たな」


―――


空の一部が“降りてくる”。


―――


形になる。


―――


さっきの敵とは違う。


―――


より“濃い”。


―――


「……上位か」


―――


「うん」


リナが言う。


―――


「これ、“管理者側”」


―――


空気が重くなる。


―――


「――定義逸脱を確認」


―――


「再定義を実行」


―――


その瞬間。


―――


世界が“書き換わる”。


―――


「……っ!?」


―――


地面が変わる。


空気が変わる。


―――


「アルク!」


―――


「分かってる!」


―――


だが。


―――


「……今のはヤバいな」


―――


一瞬で。


“こちらのルール”を消された。


―――


「……強いね」


リナが言う。


―――


「完全に“上”」


―――


だが。


―――


「面白い」


―――


少しだけ笑う。


―――


「アルク?」


―――


「やることは同じだ」


―――


一歩、踏み込む。


―――


「揺らす」


―――


空間に干渉。


―――


だが。


―――


「……効かない」


―――


「……っ」


―――


完全に拒否される。


―――


「……さすがに違うな」


―――


その瞬間。


上位存在が動く。


―――


消える。


―――


次の瞬間。


目の前。


―――


「……速い!」


―――


回避。


だがギリギリ。


―――


「……っ!」


―――


肩をかすめる。


―――


「アルク!」


―――


「大丈夫」


―――


だが。


―――


「……これはキツいな」


―――


さっきの敵とは次元が違う。


―――


「リナ」


―――


「うん」


―――


「見えるか」


―――


少しの沈黙。


―――


「……見えない」


―――


その一言。


―――


重い。


―――


「定義が……深すぎる」


―――


つまり。


―――


「直接は無理か」


―――


一瞬、思考する。


―――


そして。


―――


「なら」


―――


「外す」


―――


「え?」


―――


「定義ごとズラす」


―――


その瞬間。


錬金術を展開。


―――


今までと違う。


―――


“世界そのもの”に干渉する。


―――


「……何してるの」


リナが呟く。


―――


「土台を動かす」


―――


その瞬間。


空間が揺れる。


―――


ほんのわずか。


―――


だが。


―――


「……ズレた」


―――


上位存在の動きが、止まる。


―――


「……今!」


―――


リナが叫ぶ。


―――


「ここ!」


―――


一点。


―――


「分かった」


―――


踏み込む。


―――


「創る」


―――


揺れを叩き込む。


―――


上位存在に。


―――


「……っ!」


―――


初めて。


―――


“崩れる”。


―――


「……効いた」


―――


「いける!」


リナが言う。


―――


その瞬間。


上位存在が後退する。


―――


「……再評価」


―――


「危険度上昇」


―――


そして。


―――


「――上位層へ報告」


―――


空気が凍る。


―――


「……まだ上いるのかよ」


思わず笑う。


―――


リナも苦笑する。


―――


「どこまであるんだろうね」


―――


「さあな」


―――


だが。


―――


「全部行く」


―――


その言葉に。


リナが笑う。


―――


「だね」


―――


固定された世界。


―――


その“檻”の正体が、見え始めた。


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